映画「おもひでぽろぽろ」のワンシーン
前回、電卓に0で割る計算をさせるとエラーが返ってくることを取り上げました。これはマシンエラーではなくヒューマンエラーであるということです。a÷0の場合、aの値によってきちんと答を返せば“エラー”ではなくなります。
今回も小学校の算数です。私が毎月行っている玉川髙島屋 玉川テラス「大人の数学カフェ」、7月17日(日)のテーマは「驚異の小学校1年生の算数教科書」です。
「小学校の算数はカンタン、高校の数学はムズカシイ」
このことがいかに誤っているかを小学校1年生の算数を取り上げてみていきます。小学校1年生の算数のムズカシサを理解できるには大人にならないと分からないということです。
小学校1年生の算数は連載でいつか取り上げたいと思いますが、今回は小学校高学年で習う分数のわり算です。
とにかく、演算としての分数は問題だらけです。中でも分数の割り算は大問題です。「分数のわり算はひっくり返してかける」を計算手順として覚えてしまうところです。
ヤエ子:分母と分子をひっくり返してかけりゃいいだけじゃないの。学校でそう教わったでしょ。
タエ子:うん。
ヤエ子:じゃあ、どうして間違ったの。
タエ子:分数を分数で割るってどういうこと?
3分の2個のリンゴを4分の1で割るっていうのは、3分の2のリンゴを4人で分けると1人何個かってことでしょ。
だから、いち、に、さん、し、ご、ろくで、1人6分の1個。
ヤエ子:ちがう、ちがう、ちがう、ちがう。それはかけ算。
タエ子:えっ、どうして。かけるのに数が減るの。
ヤエ子:3分の2個のリンゴを4分の1で割るっていうのは・・・。とにかく、リンゴにこだわるからわかんないのよ。かけ算はそのまま、わり算はひっくり返すって覚えればいいの。
これは、映画「おもひでぽろぽろ」(高畑勲監督・脚本、1991年スタジオジブリ)における主人公タエ子と姉ヤエ子との会話です。