また、検討会議においては、三菱総合研究所の協力を得て、わが国におけるAIネットワーク化の経済効果も試算しました。
その結果によると、AIネットワーク化の経済効果を見込まない場合と比較して、2045年の時点で、直接的効果だけで121兆円の市場規模が見込まれます。ここで「直接的効果」とは、AIネットワーク化による効率化や生産増など、AIネットワーク化自体の文字どおり直接的な影響です。
AIネットワーク化の経済効果としては、試算の対象とした直接的効果以外にも、AIネットワーク化の効果が社会の各分野に波及していくことに伴う産業構造の変化、新産業の創出、地方経済の拡大といった、さまざまな「波及的効果」が生ずることも考えられますが、これら「波及的効果」は、試算の対象からあえて外しました。
それは、これら波及的効果は、AIネットワーク化の直接的効果である効率化や生産増などのほかに、制度、経済情勢、人口、地方の状況などAIネットワーク化以外の要因に左右されるところが大きいと考えられるからです。「波及的効果」は、試算の対象から外しはしましたが、その規模は相当なものと考えられます。
雇用への影響については、国内外における各種機関の定量的な予想の例を紹介するにとどめており、検討会議独自の定量的な予想は示すことはしていません。定性的には、さまざまな分野において、定型的な業務のみならず、知性が要求される業務についても、AIネットワークシステムを活用しての自動化が進んでいくことから、そのことに伴う雇用への影響が考えられます。
その一方で、AIネットワーク化の進展に伴い、AIネットワークシステムの構築や運営に関する就労機会が発生するほか、AIネットワークシステムを活用する新たな事業が創出されることに伴う就労機会も新たに発生し得るものと考えられます。また、AIネットワーク化の進展に伴って人間の能力が総合的に向上することが期待されるため、従来であればリタイアせざるを得なかった高齢者が活躍し続けることが可能になることも考えられます。これらの影響の規模や前後関係がどうなるのかは、一概には言えません。