虹をつかむ男
『虹をつかむ男』(にじをつかむおとこ)は、西田敏行主演、山田洋次監督の喜劇映画シリーズ。2作が制作され、1996年と1997年に公開された。
シリーズ製作の経緯
[編集]松竹は『男はつらいよ』第49作『男はつらいよ 寅次郎花へんろ』を予定し1996年秋からの撮影を控えていた。しかし、同年8月4日に車寅次郎役の渥美清が死去したことにより制作は中止となり、『男はつらいよ』シリーズは終了することとなった[1]。『虹をつかむ男』は渥美を追悼して、1996年9月26日に制作発表が行われ、『寅次郎花へんろ』のキャストがほぼそのまま移行して制作された作品である[2][3][4]。
劇中の映画館のセットは、静岡県島田市の映画館「みのる座」(2010年03月13日に閉館)がモデルとなっており、
また、同映画館の大田修平経営者が主人公のモデルの一人となっている。
※山田洋二監督自ら、「みのる座」閉館時のトークショーにて上記旨の発言をしている。
※山田洋二監督と、大田修平経営者とは、50年前の映画館関係者のパーティーで出会い、その後親交が深まり、
「男はつらいよ」の撮影地として同市の蓬莱橋、
「母べえ」「武士の一分」など同市周辺が撮影地に選定地となったことに繋がった。
このシリーズは2作で終わったが、『男はつらいよ』に代わるものとして、1988年から『男はつらいよ』と同時上映が恒例だった西田主演の『釣りバカ日誌』シリーズが松竹の看板映画となった。
名称は1950年のアメリカの映画『虹を掴む男』から。
シリーズ概要
[編集]第1作
[編集]虹をつかむ男 | |
---|---|
監督 | 山田洋次 |
脚本 |
山田洋次 朝間義隆 |
出演者 |
西田敏行 吉岡秀隆 |
音楽 |
山本直純 山本純ノ介 |
撮影 | 長沼六男 |
編集 | 石井巌 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1996年12月28日 |
上映時間 | 120分 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 5億8000万円[5] |
次作 | 虹をつかむ男 南国奮斗篇 |
第1作『虹をつかむ男』(1996年12月28日公開、ロケ地:徳島県美馬郡脇町(現・美馬市))。同時上映は『サラリーマン専科 単身赴任』。
この映画の舞台となる「オデオン座」(脇町劇場)は、1995年に閉館し取り壊しが予定されていたが、この映画で一躍注目を集め、後に町指定文化財として修復されて一般公開されることとなった。吉岡秀隆演じる亮が親と喧嘩し家出し物語が展開するのは『男はつらいよ ぼくの伯父さん』以降の吉岡演じる諏訪満男と同様である。またエピローグにおいて渥美清演じる寅さんがCG合成ではありながら登場する一場面がある。その後EDに渥美清が歌う「男はつらいよ」の主題歌が途中まで流されている。但しエンドロールには渥美のクレジットはない。ラスト近くに「敬愛する渥美清に、この映画を捧げる」とのメッセージが添えられている。
あらすじ
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キャスト
[編集]- 白銀活男:西田敏行
- 平山亮:吉岡秀隆
- 十成八重子:田中裕子
- 平山春子:倍賞千恵子
- 平山章:前田吟
- 平山咲枝:佐藤仁美
- 十成修次郎:笹野高史
- 十成かおり:宮下順子
- 常さん(映写技師):田中邦衛
- 和尚:すまけい
- 赤羽(郵便局員):柳沢慎吾
- 鏡子(薬屋):松金よね子
- 茂(弁当屋):神戸浩
- 吉井巡査:鶴田忍
- 安徳先生:永瀬正敏
- 斉藤課長:柄本明
- 村長:下條正巳
- 親族代表:三崎千恵子
- お遍路のおばさん:山田スミ子
- 新しく亮の代わりにオデオン座で雇われる男:上島竜兵
- 八重子の父:高原駿雄
- ハローワークで亮が見ていた求人を奪い取る男:佐藤蛾次郎
- その他マキノ佐代子、北山雅康、笠井一彦
スタッフ
[編集]- 監督:山田洋次
- 脚本:山田洋次、朝間義隆
- プロデューサー:深澤宏、本木克英
- 制作者:中川滋弘
- 音楽:山本直純、山本純ノ介
- 撮影:長沼六男
- 美術:出川三男
- 照明:熊谷秀夫
- 編集:石井巌
- 録音:鈴木功
- 監督助手:阿部勉、荒井雅樹、花輪金一、伊藤匡史、平松恵美子、石川勝己
- 方言指導:川先宏美
- 音響効果:伊藤亮行、吉村龍美
- CG技術:日立製作所
- 現像:東京現像所
- 協力:徳島県、脇町、貞光町、美馬町、穴吹町、半田町、日本エアシステム、キリンビール、徳島プリンスホテル、四国旅客鉄道、柴又神明会、日本ヘラルド映画、エースピクチャーズ、ロアイヤル
映画内で使われた映画
[編集]- トイレの花子さん
- ニュー・シネマ・パラダイス
- 鞍馬天狗・天狗廻状
- 野菊の如き君なりき
- かくも長き不在
- 雨に唄えば
- 禁じられた遊び
- 東京物語
- 男はつらいよ
- バック・トゥ・ザ・フューチャー(亮の実家のテレビで偶然流れていた日曜洋画劇場の映像で、淀川長治の解説の一部が流れた)
キャッチコピー
[編集]- 世界一の金持ちになった気分よ、今は。
- 97年、お正月映画が変わります。
第2作
[編集]虹をつかむ男 南国奮斗篇 | |
---|---|
監督 | 山田洋次 |
脚本 |
山田洋次 朝間義隆 |
出演者 |
西田敏行 吉岡秀隆 |
音楽 | 山本直純 |
撮影 | 長沼六男 |
編集 | 石井厳 |
配給 | 松竹 |
公開 | 1997年12月27日 |
上映時間 | 112分 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 3億9000万円[6] |
前作 | 虹をつかむ男 |
第2作『虹をつかむ男 南国奮斗篇』(1997年12月27日公開、ロケ地:奄美群島)
「巡回上映」が舞台となっている。
前作から一年後を舞台にした続編ではあるが、銀(前作の白銀から変更)活男演じる西田敏行と平山亮演じる吉岡秀隆以外のキャストは変更されている。その中で、『男はつらいよ』時代から前作を通して吉岡とは「母親」役として長きにわたり‘‘親子‘‘を演じていた倍賞千恵子であったが、今回も吉岡とは共演しているものの、親子ではなく別の配役となっている。またオデオン座も前回は徳島県所在であったが、本作は鹿児島奄美群島に変更されていおり、映写技師(サブ)や亮の父親の職業、副業(たこ焼き屋)、社用車なども大きく変更となった。
兄妹のストーリーは未制作になった49作目『寅次郎花遍路』のプロットから生かされている[要出典]他、『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』上映予定の看板が置いてある場面があるがこれは当時『ハイビスカスの花』特別編が同時公開だったためである。
あらすじ
[編集]この節の加筆が望まれています。 |
キャスト
[編集]- 銀活男:西田敏行
- 平山亮:吉岡秀隆
- 麓松江:松坂慶子
- 祝節子:小泉今日子
- 祝清治:哀川翔
- 祝幸吉:田中邦衛
- 祝文子:八木昌子
- 平山肇:笹野高史
- 平山綾:角替和枝
- 平山咲枝:星野真理
- 絹代:倍賞千恵子
- サブ:小籔千豊
- 村井主任:田山涼成
- 漁師:神戸浩
スタッフ
[編集]- 監督:山田洋次
- 脚本:山田洋次、朝間義隆
- 音楽:山本直純、森村献
- 撮影:長沼六男
- 美術:出川三男
- 照明:熊谷秀夫
- 録音:岸田和美
- 編集:石井巌
- 監督助手:阿部勉、荒井雅樹、花輪金一、伊藤匡史、平松恵美子、石川勝己、木村陽亮
- 音響効果:伊藤亮行、吉村龍美
- 技斗:宇仁貫三
- 移動映画オペレーション:鈴木映画
- 協力:奄美群島(奄美大島、喜界島、徳之島)、日本エアシステム、大島運輸、東京都立亀戸技術専門校、キリンビール、第一興商
- プロデューサー:中川滋弘、深澤宏、平野隆
- 制作協力:大船撮影所
映画内で使われた映画
[編集]- 雪国(1965年、松竹)
- 風の谷のナウシカ
- 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花(映写機の故障で上映はされていない)
備考
[編集]テレビ放送は、1999年1月2日21:00 - 23:18にTBS系列で放送された。同時間帯には同じ西田が主演した時代劇『けろりの道頓 秀吉と女を争った男』が22:03 - 24:00まで関西テレビ制作、フジテレビ系列にて放送された。『けろりの道頓』を制作した関西テレビはTBS本社に出向き『虹をつかむ男』の放送日時を再考するよう要請したが平行線をたどり両番組とも当初の予定通り放送した[7][8]。
脚注
[編集]- ^ その後、第49作、第50作が制作されている
- ^ 山田洋次・名作映画DVDマガジン2013年6月25日号.解説、あらすじ、ストーリー
- ^ 2008年1月27日放送.アメトーク男はつらいよ芸人
- ^ 役者人生、泣き笑い 著者: 西田敏行
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)564頁
- ^ 「1998年日本映画配給収入」『キネマ旬報』1999年(平成11年)2月下旬号、キネマ旬報社、1999年、175頁。
- ^ 『朝日新聞』1999年1月1日付テレビ欄。
- ^ 関西テレビの自己検証番組『月刊8チャンネル』1999年1月31日放送の「視聴者Q&A」のコーナーにおいて「けろりの道頓」と「虹をつかんだ男」が重なったためどちらも見なかったという視聴者の意見に対する関西テレビ側の回答。