コンテンツにスキップ

リュカ数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

リュカ数(リュカすう、: Lucas number)とは、フランス数学者エドゥアール・リュカに因んで名付けられた数であり、n 番目のリュカ数を Ln で表すと

で定義される数列にある項のことである。つまり、初項(最初のリュカ数)を 2、次の項を 1 と定義し、それ以降の項は前の2つの項の和になっている数列のことである。

最初の50項

[編集]

2, 1, 3, 4, 7, 11, 18, 29, 47, 76, 123, 199, 322, 521, 843, 1364, 2207, 3571, 5778, 9349, 15127, 24476, 39603, 64079, 103682, 167761, 271443, 439204, 710647, 1149851, 1860498, 3010349, 4870847, 7881196, 12752043, 20633239, 33385282, 54018521, 87403803, 141422324, 228826127, 370248451, 599074578, 969323029, 1568397607, 2537720636, 4106118243, 6643838879, 10749957122, 17393796001.(オンライン整数列大辞典の数列 A000032

負の番号への拡張

[編集]

漸化式 Ln+2 = Ln + Ln+1 を全ての整数 n に対して適用すると、n が負の整数である場合に拡張できる。例えば、-5 ≤ n ≤ 5 に対するリュカ数は次の値になる。

-11, 7, -4, 3, -1, 2, 1, 3, 4, 7, 11

さらに、一般には L-n = (-1)nLn となる。

数学的性質

[編集]

リュカ数は、フィボナッチ数と共に自然界に多く存在する。またフィボナッチ数 Fn との間に多くの関係式があり、例として

などが挙げられる。また同じ項番号のフィボナッチ数とリュカ数の比 Ln/Fn は、n が大きくなるにつれて 5 = 2.23606798… に収束する。

フィボナッチ数と同様に、リュカ数も隣接する2項の比 Ln+1/Lnn が大きくなるにつれて黄金比 = 1.61803398… に近づく。

n 番目のリュカ数は以下の式で表される。

ここで は黄金比である。

リュカ素数

[編集]

リュカ素数(リュカそすう、: Lucas prime)とは、リュカ数である素数である。

リュカ素数 Ln の最初のいくつかの項は以下の通りである。

2, 3, 7, 11, 29, 47, 199, 521, 2207, 3571, 9349, 3010349, 54018521, 370248451, 6643838879, ….(オンライン整数列大辞典の数列 A005479

Lnn は以下の通りである。

0, 2, 4, 5, 7, 8, 11, 13, 16, 17, 19, 31, 37, 41, 47, ….(オンライン整数列大辞典の数列 A001606

n = 0, 4, 8, 16 の場合を除いて、Ln が素数ならば n も素数である[1]。しかし、n が素数でも、Ln が素数になるとは限らない。

参考文献

[編集]
  • 中村滋『フィボナッチ数の小宇宙(ミクロコスモス) フィボナッチ数、リュカ数、黄金分割』日本評論社、2002年9月。ISBN 4-535-78281-4 
    • 中村滋『フィボナッチ数の小宇宙(ミクロコスモス) フィボナッチ数、リュカ数、黄金分割』(改訂版)日本評論社、2008年1月。ISBN 978-4-535-78492-5 
  • Carmichael, R. D. (1913), “On the numerical factors of the arithmetic forms αn±βn, Annals of Mathematics 15 (1/4): 30-70, doi:10.2307/1967797, JSTOR 1967797, https://jstor.org/stable/1967797 
  • Lucas, Edouard (1878), “Théorie des Fonctions Numériques Simplement Périodiques” (フランス語) (PDF), American Journal of Mathematics (Johns Hopkins University Press) 1 (2): pp.184-240 et 289-321, doi:10.2307/2369308, http://edouardlucas.free.fr/oeuvres/Theorie_des_fonctions_simplement_periodiques.pdf 

脚注

[編集]
  1. ^ The Prime Glossary: Lucas prime”. 2019年8月22日閲覧。

関連項目

[編集]

外部リンク

[編集]