高山駅
高山駅(たかやまえき)は、岐阜県高山市昭和町一丁目にある[1]、東海旅客鉄道(JR東海)高山本線の駅である。駅番号はCG25[広報 1][3]。
高山駅 | |
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東口(乗鞍口)新駅舎(2018年8月) | |
たかやま Takayama | |
◄飛騨一ノ宮 (6.9 km) (4.6 km) 上枝► | |
所在地 | 岐阜県高山市昭和町一丁目22-2 |
駅番号 | CG 25 |
所属事業者 | 東海旅客鉄道(JR東海) |
所属路線 | ■高山本線 |
キロ程 | 136.4 km(岐阜起点) |
電報略号 | タヤ |
駅構造 | 地上駅(橋上駅) |
ホーム | 2面3線 |
乗車人員 -統計年度- |
1,408人/日(降車客含まず) -2019年- |
開業年月日 | 1934年(昭和9年)10月25日[1][2] |
備考 |
駅長配置駅(管理駅) JR全線きっぷうりば 有 |
概要
編集日本有数の観光地で「小京都」とも称される旧・高山市地域の代表駅として、年間を通して賑わいを見せる。
すべての特急「ひだ」が停車し、特急の約半数が当駅を始終着としている[4]。また一部列車は当駅で車両の増解結を行う[4][5]。
2001年(平成13年)9月30日までは名古屋鉄道(名鉄)から特急「北アルプス」が「(ワイドビュー)ひだ」(当時)に併結されて当駅まで1日1往復乗り入れていた。
歴史
編集1934年(昭和9年)10月25日に高山本線開通に合わせて高山駅として設置された[1]。開業時に建設された駅舎は木造大壁造の2階建ての駅舎で、2014年(平成26年)まで約80年に渡りそのまま使用されてきた[6][7][8][9]。
高山市では、高山駅周辺の交通結節点としての機能強化や中心市街地の活性化を目指して、駅東西の一体的な整備を図る「高山駅周辺土地区画整理事業」を1998年(平成10年)度から開始した[10][広報 2]。2000年(平成12年)にJR東海と高山市の間で新駅舎の建設が合意され、2016年(平成28年)秋までに東西をつなぐ自由通路を備えた駅舎を完成させることになった[9]。新しい駅舎は橋上駅舎で約1200平方メートルあり、エレベーターとエスカレーターを各ホームに備える。また東西自由通路にもエレベーターとエスカレーターを備える[広報 2]。デザイン監修を建築家の内藤廣が、設計を東海旅客鉄道およびジェイアール東海コンサルタンツが行い[11]、総工費は約43.1億円である[12]。
2014年(平成26年)11月30日に建て替え前の駅舎の市民への一般公開が行われ、昭和天皇が使った貴賓室などが公開された[9]。翌12月1日から仮駅舎での営業に移行し、旧駅舎は取り壊されることになった[9]。これに対して駅舎の取り壊し・建て替えの必要性に疑問を呈して意見を述べる動きもあった[13]。2016年、新駅舎と東西自由通路が完成し、10月2日に供用を開始した[広報 3][12][14][15][16]。
年表
編集- 1934年(昭和9年)10月25日:高山本線の飛騨小坂駅 - 坂上駅間開通とともに[17]、駅開業[1]。旅客・貨物営業を開始[2]。
- 1947年(昭和22年)11月2日:高山市内に昭和天皇の戦後巡幸。お召し列車が発着[18]。駅前奉迎には約18万人が詰めかけた[19]。
- 1968年(昭和43年)
- 1969年(昭和44年)10月:無煙化に伴い、構内の給炭設備を解体。
- 1972年(昭和47年)11月1日:旅行センターを開業[20]。
- 1980年(昭和55年)5月27日:駅構内にて高山本線電化の起工式を開催。ただし電化工事はその後中止されている。
- 1986年(昭和61年)11月1日:貨物の取扱を廃止[2]。
- 1987年(昭和62年)
- 1993年(平成5年)
- 2000年(平成12年)12月:電子連動装置使用開始[広報 4]。
- 2007年(平成19年)4月1日:JR貨物の駅が廃止され、貨物営業を終了。
- 2014年(平成26年)12月1日:駅舎建て替え工事のために従来の駅舎の使用を終了し、仮駅舎の使用を開始[9]。
- 2016年(平成28年)
-
旧駅舎(2009年)
-
開業当時の駅舎(1934年)
駅構造
編集島式ホーム1面2線と単式ホーム1面1線の地上駅。ホームは東側から1番線、隣のホームが2・3番線となっている。1番線が上り本線、2番線が下り本線、3番線が副本線という扱いで、岐阜方面からはどのホームも下り・上り方面ともに出発到着が可能。猪谷方面へはどのホームからも出発できるが、2番線には到着出来ない。駅舎橋上化前は下りの特急からも段差なしで改札口(旧駅舎)を抜けられるように、2010年3月改正ダイヤから2016年10月1日までは、原則としてすべての特急が1番線に停車していた。ホームは多客期に増結した特急「ひだ」が停車可能なように、全て10両編成に対応している。
ホーム西側には留置線が広がる。往年の高山機関区所在時よりも規模は縮小されたが、高山運輸区も併設された拠点駅である。1番線と2番線間にはホームに面しない線路があり、列車の待機や留置で使用される。また1番線の南東側にも旧貨物ホームを改造した留置線があり、ここにも列車が留置されることがある[22]。
駅長・駅員配置駅(直営駅)である。管理駅として、渚 - 杉原駅間の各駅を管理している。JR全線きっぷうりばが設置されている。売店(キヨスク)があり、駅弁も販売されている。
2016年(平成28年)に完成した現在の駅舎は、外壁に黒い格子(市街地の町家をイメージ)が設置されており[16]、東西自由通路「匠通り」で東口(乗鞍口、乗鞍岳に由来)と西口(白山口、白山に由来)を結んでいる[12][16]。駅舎の天井や壁は飛騨産のヒノキ製で、1階にはコインロッカー[16]やカフェがあり、2階の待合室には東海キヨスクが運営する店舗「ベルマート」がある[23]。
駅玄関には、音声案内の駅案内板が設置してある。自動券売機はあるが、自動改札機はない[16]。列車別改札を実施している。駅舎橋上化により[12]エレベーターとエスカレーターが各ホームと各出口に設置されている。また、東西自由通路「匠通り」には高山祭で使用される屋台の実物大模型が展示されている[16]。
旧駅舎は木造大壁造で、1934年(昭和9年)の開業時に建設されたものである。改札口は駅舎中央にあり、駅舎北側に団体専用の改札口があった。ホーム間は地下道でつながれていた[7]。かつては扇形車庫[10]、転車台[10]、高架水槽といった蒸気機関車時代の機関区の設備や建物も残されていたが[4]、1993年(平成5年)に解体された。跡地は現在、駐車場になっている[10]。2016年(平成28年)10月2日に駅周辺の整備事業の一環として、東口(乗鞍口)や東西自由通路「匠通り」とともに西口(白山口)が開設された[広報 5][10]。
のりば
編集番線 | 路線 | 方向 | 行先 |
---|---|---|---|
1・2・3 | 高山本線 | 上り | 美濃太田・名古屋方面 |
下り | 飛騨古川・猪谷方面 |
(出典:JR東海:駅構内図)
駅弁
編集利用状況
編集「岐阜県統計書」と「高山市のあらまし」によると、2019年度の1日平均乗車人員は1,408人である[統計 1]。高山本線の駅では、起終点の岐阜駅と富山駅(在来線はあいの風とやま鉄道の管理駅)を除くと、美濃太田駅の次に利用者が多い駅となっている[25]。
近年の1日平均乗車人員は以下の通り。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
2000年 | 2,436 |
2001年 | 2,330 |
2002年 | 2,331 |
2003年 | 2,205 |
2004年 | 1,959 |
2005年 | 1,868 |
2006年 | 1,793 |
2007年 | 1,849 |
2008年 | 1,762 |
2009年 | 1,567 |
2010年 | 1,515 |
2011年 | 1,543 |
2012年 | 1,568 |
2013年 | 1,625 |
2014年 | 1,564 |
2015年 | 1,539 |
2016年 | 1,550 |
2017年 | 1,507 |
2018年 | 1,360 |
2019年 | 1,408 |
駅周辺
編集当駅は高山市街地の西端に位置する。市街地中心は東方向であり、高山の象徴である上三之町の古い町並みへは徒歩で約10分程度かかる。
東口(乗鞍口)
編集バスセンター・古い町並み方面
- 国道158号
- 岐阜県道74号
- 宮川
- 高山濃飛バスセンター[6]
- 飛騨高山観光案内所[6]
- 飛騨国分寺 - 大銀杏は国の天然記念物[26]。
- 高山郵便局
- 高山市役所
- 岐阜地方裁判所高山支部
- 岐阜家庭裁判所高山支部
- 高山簡易裁判所
- 法務省
- 高山警察署駅前交番
- 日本年金機構高山年金事務所
- 財務省
- JAひだ 高山支店
- 岐阜県立飛騨特別支援学校
- 高山赤十字病院
- 高山陣屋[27]
- 三町 - 重要伝統的建造物群保存地区
- 高山市郷土館
- 東急ステイ飛騨高山 結の湯
- チサングランド高山(旧ベストウェスタンホテル高山、2021年に運営権譲渡)[28]
- 宮川朝市
西口(白山口)
編集バイパス方面
バス路線
編集隣の駅
編集※特急「ひだ」(一部当駅始発・終着)の隣の停車駅は列車記事を参照のこと。
脚注
編集広報資料・プレスリリースなど一次資料
編集- ^ 『在来線駅に駅ナンバリングを導入します』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道、2017年12月13日 。2022年8月16日閲覧。
- ^ a b “自由通路整備について”. 高山市. 2017年11月20日閲覧。 “Internet Archiveによる2014年12月23日時点のアーカイブページ。”
- ^ a b 『高山本線 高山駅 橋上駅舎及び自由通路の供用開始について』(PDF)(プレスリリース)東海旅客鉄道、2016年8月25日。オリジナルの2020年12月19日時点におけるアーカイブ 。2020年12月23日閲覧。
- ^ 「高山線高山駅・美濃太田運輸区に導入した 新形電子連動装置LD-1」『京三サーキュラー』第52巻第3号、京三製作所、2001年5月、20 - 21頁。
- ^ a b 『JR高山駅の東西出入口・自由通路の愛称が決定しました』(プレスリリース)高山市、2017年9月14日。オリジナルの2020年12月23日時点におけるアーカイブ 。2020年12月23日閲覧。
出典
編集- ^ a b c d 澤井 2016, p. 190.
- ^ a b c d e 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 II』(初版)JTB、1998年10月1日、167頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ “名古屋は「CA-68」、高山は「CG-25」 JR東海が在来線に駅ナンバリング導入”. 乗りものニュース (2017年12月13日). 2022年8月16日閲覧。
- ^ a b c 澤井 2016, p. 191.
- ^ “富山駅発着の特急「ひだ」高山駅まで7両編成、うち2両がグリーン車”. マイナビニュース (2022年3月6日). 2022年8月16日閲覧。
- ^ a b c d e f 澤井 2016, p. 194.
- ^ a b 坂本圭佑 (2016年9月30日). “New高山駅 消えゆく昭和のなごり 市 歴史継承し再活用も”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 飛騨版 22
- ^ “高山で新駅舎の意見交換会”. 飛騨経済新聞 (2014年11月26日). 2022年8月16日閲覧。
- ^ a b c d e “築80年、高山駅舎に別れ 取り壊し前、住民招き内覧会”. 岐阜新聞 (2014年12月1日). 2014年12月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月16日閲覧。
- ^ a b c d e 片山さゆみ、坂本圭佑 (2016年10月1日). “New高山駅 飛騨の玄関口 新しい風 あす利用開始 駅西発展期待の声 暮らしやすい場所へ”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 飛騨版 22
- ^ “鉄道建築協会賞(作品部門)2017年度作品”. 一般社団法人鉄道建築協会 (2018年12月8日). 2018年12月8日閲覧。
- ^ a b c d e “東西連結たくみに 高山・新駅舎完成”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 夕刊 1. (2016年10月1日)
- ^ “高山で新駅舎建て替え計画についての意見交換会-市民有志が企画、市の担当者招く”. 飛騨経済新聞 (2014年11月26日). 2022年8月16日閲覧。
- ^ “一面ヒノキの「玄関口」 JR高山駅新駅舎を公開”. 岐阜新聞 (2016年9月22日). 2016年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月16日閲覧。
- ^ a b “橋上駅舎など使用開始”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (2016年10月4日)
- ^ a b c d e f g 飛騨高山観光公式サイト JR高山駅新駅舎 平成28年10月2日供用開始 - 飛騨・高山観光コンベンション協会
- ^ 澤井 2016, p. 35.
- ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、98頁。ISBN 978-4-10-320523-4。
- ^ 宮内庁『昭和天皇実録第十』東京書籍、2017年3月30日、533頁。ISBN 978-4-487-74410-7。
- ^ 「12駅の貨物取扱廃止 名鉄」『交通新聞』交通協力会、1972年9月17日、1面。
- ^ 片山さゆみ (2016年3月11日). “JR高山駅 愛称決定 東口 「乗鞍口」 西口 「白山口」 自由通路は「匠通り」に”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 飛騨総合版 23
- ^ 祖田圭介「高山本線の線路配線を探る」『鉄道ピクトリアル』第1008号、電気車研究会、2023年2月、61 - 62頁。
- ^ 片山さゆみ (2016年9月22日). “JR新駅舎公開 ヒノキ使い高山らしく”. 中日新聞 (中日新聞社): p. 朝刊 岐阜総合版 19
- ^ 『JTB時刻表 2024年3月号』JTBパブリッシング、2024年、512,513頁。
- ^ 澤井 2016, p. 195.
- ^ “大銀杏”. 国指定天然記念物 大銀杏 醫王山 飛騨国分寺. 2022年11月13日閲覧。
- ^ “【岐阜】江戸へ昭和へひとっ飛び 高山陣屋と飛騨高山レトロミュージアム 岐阜県高山市”. 中日旅行ナビぶらっ人 (2022年1月20日). 2022年8月16日閲覧。
- ^ “「ベストウェスタンホテル高山」運営の高山マネジメントが自己破産 コロナで宿泊客が半減”. 岐阜新聞Web. (2021年12月21日). オリジナルの2021年12月21日時点におけるアーカイブ。 2022年8月16日閲覧。
- ^ 澤井 2016, p. 192.
- ^ a b “【飛騨乗り物探訪】白川村までバス旅 ターミナルで各地のバス「顔合わせ」”. 岐阜新聞Web. (2022年2月28日). オリジナルの2022年2月28日時点におけるアーカイブ。 2022年8月16日閲覧。
統計資料
編集- ^ “5.運輸・通信” (PDF). 令和2年度 高山市のあらまし. 高山市 (2021年2月12日). 2021年3月26日閲覧。
参考文献
編集- 澤井泰『高山線の全駅乗歩記』文芸社、2016年10月15日。ISBN 978-4-286-16551-6。
関連項目
編集- 日本の鉄道駅一覧
- アルピコ交通上高地線 - 高山への延伸を計画。
外部リンク
編集- 高山駅 - 東海旅客鉄道
- 高山駅周辺土地区画整理事業 - 高山市都市政策部都市計画課