北東北
北東北(きたとうほく)は、東北地方北部の、青森県・岩手県・秋田県の3県の総称である。「北東北3県」「北奥羽(きたおうう)」という場合もある。
北東北のデータ | ||
三県の合計 | ||
国 | 日本 | |
面積 | 36,558.18 km2 (東北6県比:54.6%) (2018年10月1日)[1] | |
国勢調査 | 3,610,978 人 (東北6県比:40.2%) (2015年10月1日)[2] | |
推計人口 | 3,199,824 人 (東北6県比:39%) (2024年12月1日) | |
人口密度 | 87.5 人/km2 (2024年11月1日) |
対して、東北地方の南部3県は南東北(みなみとうほく)と呼ばれる。
概要
編集北東北3県の合計面積は、付属諸島を除いた九州島単独の面積 (36,750 km2) に匹敵する[1]。東北6県における北東北3県と南東北3県の面積割合はおよそ55対45で北東北の方が広く、人口は4対6で南東北の方が多い。
本州の最北部に位置する。律令時代には、畿内を地盤とする朝廷側からは、「まつろわぬ(従わぬ)民」と目された蝦夷(えみし)の居住する地域であった。平安時代に東北地方全域が日本の領域に組み込まれた後も、奥州には安倍氏や奥州藤原氏など半独立政権が存在した。畿内の政権が実権を握っていた時代には陸奥は関東地方の奥に位置する日本の東端、出羽は北陸のさらに北に位置する日本の北端と認識され、畿内の視点からの両者の一体性は薄かった。奥羽としてひとまとめにする観念が生まれるのは鎌倉時代以降のことである。
社会
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1990年代半ば以降、青森県・岩手県・秋田県の北東北3県で政治連合が結成されており、当地における行政一体化の検討や合同事業がなされている。また、北海道を含めた1道3県の枠組みでも同様な活動を行っている。県の自主財源比率は、全国平均と比べて北東北3県ともに低いが、食糧自給率においては他に抜きん出ている。
- 自主財源比率(歳入総額に対する地方税の比率。2000年度[1][2])
- 全国平均:32.1%
- 北東北3県:青森県14.8%、岩手県14.6%、秋田県14.5%
- 南東北3県:宮城県30.4%、福島県23.7%、山形県17.5%
小売業年間商品販売額は青森県が一番多く、第2位に岩手県、第3位秋田県となっていて概ね県人口と同じ順序となっている。2015年度 [3]
- 青森県:1兆4305億円
- 岩手県:1兆3688億円
- 秋田県:1兆1256億円
また製造製品出荷額は年によって順位が異なるが、例年八戸市、金ケ崎町、北上市がTOP3に入っており、高速道路と大規模港湾の利便性を活かし様々な業種が集まる青森県八戸市周辺 [4]や、高速道路を活かし自動車関連産業の集積が見られる金ケ崎町・北上市周辺は東北地方でも屈指の工業地帯になっている。
青森ねぶた祭、弘前ねぷたまつり、八戸三社大祭、秋田竿燈まつり、さんさ踊りなどの祭りや、遠野の座敷わらしや男鹿半島のなまはげなど、民話や郷土芸能の盛んな地方で、民俗学の宝庫と呼ばれる地域も少なくない。
人口
編集3県の人口は、青森県123.8万人、岩手県121.1万人、秋田県96.0万人(令和2年国勢調査 [5])、人口密度は青森県128.4人/km2、岩手県79.3人/km2、秋田県82.5人/km2となっており人口・人口密度ともに青森県が最大となっている。青森県は東北地方全体でも宮城県、福島県に次ぐ三番目の人口・人口密度となっている[3]。
3県の県庁所在地は、青森市28.5万人、盛岡市29.4万人、秋田市30.8万人とほぼ同規模である。都市圏人口は、青森都市圏34万人(八戸都市圏33万人、弘前都市圏32万人)、盛岡都市圏48万人、秋田都市圏43万人となっている(2000年都市雇用圏)。このように各県・各地域のプライメイトシティは存在するが、北東北3県を一体と見た場合には存在しないため、北東北3県に商圏が及ぶ物販(小売)・サービスの絶対的中心都市は存在せず、南部に行くほど仙台や東京への依存傾向があがる。
また、日本国内において、最も人口減少が激しい地域の一つである。特に2017年以降は、都道府県別の人口減少率ワースト1位〜3位を、減少が激しい方から秋田県、青森県、岩手県の順で北東北地方の3県が占めている[4]。社会増減率、平均寿命、自殺率のほか、合計特殊出生率などの各指標も全国平均に比べて悪い傾向があり、これを受けて、青森県では都道府県全体としては全国で初めての給食費無償化を実施[5]、岩手県では交際成立カップルへ5000円分の食事券配布を行う[6]など、対策が急がれている。
北東北3県の県域放送
編集青森県
編集- NHK青森放送局
- 青森放送(RAB、テレビは日本テレビ系列、ラジオはJRN・NRN系列。「radikoプレミアム」参加局)
- 青森テレビ(ATV、TBS系列)
- 青森朝日放送(ABA、テレビ朝日系列)
- エフエム青森(JFN系列)
岩手県
編集- NHK盛岡放送局
- IBC岩手放送(IBC、テレビはTBS系列、ラジオはJRN・NRN系列。「radikoプレミアム」参加局)
- テレビ岩手(TVI、日本テレビ系列)
- エフエム岩手(FMI、JFN系列、「radikoプレミアム」参加局)
- 岩手めんこいテレビ(mit、フジテレビ系列)
- 岩手朝日テレビ(IAT、テレビ朝日系列)
秋田県
編集- NHK秋田放送局
- 秋田放送(ABS、テレビは日本テレビ系列、ラジオはJRN・NRN系列。「radikoプレミアム」参加局)
- 秋田テレビ(AKT、フジテレビ系列)
- 秋田朝日放送(AAB、テレビ朝日系列)
- エフエム秋田(JFN系列、「radikoプレミアム」参加局)
県域放送の概要
編集青森県は民放テレビが3局、岩手県は民放テレビが4局、秋田県は民放テレビが3局となっている。民放局数では岩手県が最も多い一方で、青森市では青森ケーブルテレビにてuhb(フジテレビ系列局)とTVh(テレビ東京系列)を含む民放テレビ5局が全て視聴可能であるなど、3県で視聴環境は大きく異なる。東北地方の県庁所在地で、テレビ東京系列の受信手段が存在するのは青森市が唯一である。秋田県に無いJNN系列局、青森県に無いフジテレビ系列局は、大館ケーブルテレビにてATVが、秋田ケーブルテレビにてIBCが[注釈 1]、由利本荘市CATVセンターにてTUYが、青森ケーブルテレビにてuhbとTVhが、風間浦村営共聴システムにて在札全局が、三沢市ケーブルテレビにてmitが、八戸テレビ放送・田子町ケーブルテレビにて在盛全局がそれぞれ再送信されている[注釈 2][注釈 3][注釈 4]。またIBCは秋田県の地元紙「秋田魁新報」TV面に、mitは青森県の地元紙「東奥日報」と「デーリー東北」TV面にそれぞれフルサイズで掲載されている(デーリー東北はラジオ&第2TV面に在盛局のIBCラジオ・FM岩手を掲載、mit以外の在盛テレビ全局は最終面にハーフサイズで掲載。東奥日報はラジオ&第2TV面に在盛局のIBCラジオ・FM岩手と在札局のHBCラジオ・STVラジオ・AIR-G'・FMノースウェーブをそれぞれ掲載し、在札テレビ全局とmit以外の在盛テレビ全局もハーフサイズで掲載)。
地域
編集東北地方の県域は、江戸時代の旧藩の境界とは一致していない。北東北3県においては、青森県の西側は弘前藩、青森県の東側から岩手県内陸側北部と秋田県鹿角地方が盛岡藩、青森県南(現在の八戸市周辺域)と岩手県沿岸北部が八戸藩、岩手県南部(から宮城県)が仙台藩、秋田県は南部藩が治めた鹿角地方と本荘藩、亀田藩、矢島藩領等があった由利地方を除いて久保田藩の版図であった。
しかし、旧藩の領域とは異なる地域圏も存在している。秋田県沿岸から山形県・庄内地方にかけての日本海沿岸地域は、古代から東北地方と畿内との間の最短路であり、かつ、海運による最速路・大量輸送路で、江戸時代には北前船などで繋がり、現在は陸路での繋がりも強い。また、奥羽山脈を挟んで接する岩手県・北上盆地と秋田県横手盆地は、双方とも奥州藤原氏の版図であるための文化面の繋がりや、秋田道経由の流通や内陸工業の発達で同質性が見られる。青森市や下北地方は、江戸時代以来の長年の物流から、函館市などの道南地方との経済的繋がりが深い。
高速道路や新幹線の発達で、東北地方内の移動が容易になる一方、秋田都市圏や青森都市圏では、空路で東京と直接的な経済交流があり、上述の大枠の地域特性や、地域圏ごと、都市圏ごとに異なる経済地域が形成されており、「北東北3県」という1つの経済圏には統合されていない。
自然地理
編集盆地や高原が広い地方で、太平洋沿岸には、三陸海岸に象徴されるリアス式海岸が広がる。脊梁山脈である奥羽山脈は北上市近辺で高度が下がり、太平洋からは親潮に乗って「やませ」と呼ばれる冷風が吹く。北東北は太平洋側を含めて全域が豪雪地帯である。
交通網
編集鉄道
編集各県駅別1日平均乗降客数トップ10
編集北東北各県における、2018年度(平成30年度)の駅別1日平均乗降客数トップ10の合計は、多い方から岩手県、青森県、秋田県の順となっている。JR東日本の支社は盛岡支社と秋田支社が置かれている(青森県は東半分を盛岡支社に、西半分を秋田支社に分割管轄されている)。
1日平均乗降客数 | |||||
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県内 順位 |
県名 | 出典 | |||
青森県 | 岩手県 | 秋田県 | JR | 他 | |
1 | 青森駅 | 盛岡駅 | 秋田駅 | [7] | [8] |
15,650[詳 1] | 47,481[詳 2] | 21,466[詳 3] | |||
2 | 弘前駅 | 一ノ関駅 | 土崎駅 | ||
11,788[詳 4] | 8,796[詳 5] | 4,152[詳 6] | |||
3 | 八戸駅 | 北上駅 | 大曲駅 | ||
11,308[詳 7] | 7,556[詳 8] | 4,086[詳 9] | |||
4 | 新青森駅 | 花巻駅 | 追分駅 | ||
7,866 [詳 10] (JR北除く[注釈 5]) |
6,574[詳 11] | 3,306[詳 12] | |||
5 | 野辺地駅 | 矢幅駅 | 横手駅 | ||
2,656[詳 13] | 6,048[詳 14] | 2,494[詳 15] | |||
6 | 本八戸駅 | 岩手飯岡駅 | 羽後本荘駅 | ||
2,314[詳 16] | 4,682[詳 17] | 2,453[詳 18] | |||
7 | 五所川原駅 | 水沢駅 | 新屋駅 | ||
2,314[詳 19] | 3,718[詳 20] | 1,842[詳 21] | |||
8 | 三沢駅 | 青山駅 | 大館駅 | ||
2,100 [詳 22] | 3,449 | 1,812[詳 23] | |||
9 | 浪岡駅 | 仙北町駅 | 鷹ノ巣駅 | ||
1,884 [詳 24] | 3,374[詳 25] | 1,636[詳 26] | |||
10 | 筒井駅 | 厨川駅 | 八郎潟駅 | ||
1,590 [詳 27] | 3,209 | 1,584[詳 28] | |||
計 | 59,470 | 94,887 | 44,831 |
対東京年間輸送人員
編集JR東日本によると、北東北の県庁所在地における2018年度(平成30年度)の対東京年間輸送人員は、新幹線では「東京 - 青森間」と「東京 - 盛岡間」がほぼ同数で最も多く、航空機では「東京 - 秋田間」が最多、新幹線と航空機の合計では「東京 - 青森間」が最多となっている。
2018年度(平成30年度)
北東北の対東京年間輸送人員(千人) | ||||
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区間 | 新幹線 | 航空機 | 合計 | 出典 |
東京 - 青森 | 2,620 | 748 | 3,368 | [9] |
78% | 22% | 100% | ||
東京 - 盛岡 | 2,621 | -[注釈 6] | 2,621 | |
100% | 0% | 100% | ||
東京 - 秋田 | 1,357 | 972 | 2,329 | |
58% | 42% | 100% |
道路
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 鹿角郡小坂町十和田湖地区では十和田湖テレビ中継局からの在青局電波を直接受信可能。ただし地元在秋局は十和田湖地区に中継局を置いておらず、当該地区への光ファイバーなどによる在秋地デジ再送信も実施されていない。
- ^ mitは八戸地区の企業・店舗・イベントCMを流す頻度が在盛他局より高い(同局八戸支社の営業部門が三八上北地方におけるCM契約を多数獲得しており、八戸地区への商業貢献度が在盛他局より大きいという特色から、mitは地デジ化後も八戸地区CATVでの再送信を継続)。
- ^ 秋田県沿岸部では鶴岡中継局からの在形局電波(YBC・YTS・TUY・SAY)も、青森県三八上北地方では二戸中継局からの在盛局電波(IBC・TVI・mit・IAT)も、津軽・下北地方では函館山からの在札局電波(HBC・STV・HTB・uhb・TVH)もそれぞれ直接受信可能(地元局視聴用と隣県局視聴用にUHFアンテナを2本立てている世帯も多い)。
- ^ 陸奥湾と津軽海峡に面した津軽北部&下北、岩手県寄りの三八上北地方が直接受信又はCATV経由で隣県の放送を視聴可能であるのに対し、津軽地方南西部(弘前市・五所川原市・つがる市・平川市・黒石市周辺)は周囲を山に囲まれているため隣県放送の直接受信がほぼ不可能となっており、弘前・五所川原地区CATVは隣県にあるフジ系列局(mit・AKT・uhb)再送信を実施していない。
- ^ JR北海道管轄である北海道新幹線の乗車人員は未発表のため含まれていない。
- ^ 岩手県と東京都の間に航空機は運航されていない。
出典
編集- ^ a b 全国都道府県市区町村別面積調(国土交通省国土地理院)
- ^ 平成27年国勢調査 最終報告書「日本の人口・世帯」統計表 人口及び人口の指数-全国,都道府県(大正9年~平成27年)(総務省統計局)
- ^ “令和2年国勢調査 人口等基本集計結果 結果の概要”. 総務省・経済産業省. 2024年4月5日閲覧。
- ^ 日本人、全都道府県で減少 調査開始後初、計80万人
- ^ “小中学生の給食費無償化、青森県が10月から 全県実施は全国初”. 教育新聞. 2024年4月7日閲覧。
- ^ “岩手県、交際カップルに食事券 人口減対策で本部会議”. 日本経済新聞. 2024年4月7日閲覧。
- ^ “各駅の乗車人員(2018年度)”. JR東日本. 2024年10月27日閲覧。
- ^ “国土数値情報(駅別乗降客数データ)(平成30年度)”. 国土交通省国土政策局. 2024年10月27日閲覧。
- ^ “FACT BOOK 2024”. 東日本旅客鉄道. 2024年11月7日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 北東北広域連携推進協議会
- 北東北三県観光立県推進協議会
- 青森県庁 - 地方分権のホームページ[リンク切れ]
- 岩手県 - 地方分権のホームページ
- 秋田県 - 秋田県・「道州制」等に関する研究会[リンク切れ](平成14年12月)
- ^ 乗車人員(JR5,397人と青い森鉄道2,428人)それぞれ2倍の計
- ^ 乗車人員(JR17,944人)の2倍とIGRいわて銀河鉄道乗降客数11,593人の計
- ^ 乗車人員(JR10,733人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR4,497人と弘南鉄道1,397人)それぞれ2倍の計
- ^ 乗車人員(JR4,398人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR2,076人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR4,489人と青い森鉄道1,165人)それぞれ2倍の計
- ^ 乗車人員(JR3,778人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR2,043人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR3,933人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR3,287人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR1,653人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR294人)の2倍と青い森鉄道乗降客数2,068人の計
- ^ 乗車人員(JR3,024人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR1,247人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR1,157人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR2,341人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR1,088人)の2倍と由利高原鉄道乗降客数277人の計
- ^ 乗車人員(JR840人と津軽鉄道317人)それぞれ2倍の計
- ^ 乗車人員(JR1,859人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR921人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR1,050人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR906人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR942人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR1,687人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR581人)の2倍と秋田内陸縦貫鉄道乗降客数474人の計
- ^ 乗車人員(JR795人)の2倍
- ^ 乗車人員(JR792人)の2倍