なぜマスコミの人間が「一般社会ではいいオトナはやらない行為を平気でするのか」がよくわかる奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第20回】→追記あり
(追記 3/10 1:20)
このエントリーに関して表現がつたなくて、アスペルガー症候群など発達障碍で困っている方やそのご家族を傷つけたのであれば、その点をお詫びします。
今回取り上げた奥村氏の連載は、ご本人が
「息子と僕のアスペルガー物語」
と題されたものなので、これは変更しようがありません。また、今回取り上げた
第20回
は、奥村氏自身が書かれていることに沿っているのであり、
アスペルガー症候群を克服して社会的に成功している成人からの立場
で
テレビ局勤務をどう考え、奥村氏自身の「特徴」と向き合ったか
についてコメントし、
アスペルガー症候群など発達障害を貶める意図はない
ことを明言しておきます。
(追記おわり)
学校の同級生の何人かがマスコミ業界にいる。
その一人は、職場では「鬼」と呼ばれているらしいのだが(わたしに対してはそんなことはないし、昔と変わらないが)、それでもこんなことを言っていた。
人間としての規範を踏み外せる奴がマスコミでは出世する
と。花形とかエースとか呼ばれる記者やディレクター等は大体、普通の社会では受け入れられない、あるいは普通の人間なら躊躇うことを
やってしまう
から
成功
するのだ、と。そして
やってしまったことを反省などしない
のだと。いまならネットで非難囂々となって炎上するようなやり方で、実績を積み重ねてきたのが、
現在、新聞社の編集委員やテレビ局のプロデューサーといったお偉いさん
だと思えば、あまり間違いがないらしい。さすがに最近はコンプライアンスがうるさくなったから、昔みたいなひどいことがまかり通ることは少なくなっている。ただ、一般社会で生きている普通の人間からすれば
まだまだとんでもない
ことは続いている。
その一つには
マスコミ人特有の「マン・マンインターフェイス」が一般社会では通用しない実装
だというのがある。昨日もとあるところで
マスコミの取材
について、愚痴が複数の口から漏れた。衆目の一致するところは
足を運ばず、自分の都合で電話を掛けてきてそれで「取材終了」とする記者の多い媒体は朝日とNHK
ということだった。
現地に来もしないで、デスクに座って現地の記事を書くんだから
という話も聞いた。ま、相変わらずですな。
そうしたマスコミの、ここではテレビ局内の
空気が読めず、他人を傷つけるようなことを平気でやる人間達
の話を、
アスペルガーを克服して、社会的に成功しているテレビ人の立場
から連載しているのが、現代ビジネスで連載されている
僕と息子のアスペルガー物語
である。毎週土曜日に更新され、今日は第20回。
奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第20回】 最高の職場と、空気を読まない超優秀な先輩たち
だ。ここには、アスペルガーの特長を生かせる職場として
テレビ局
を選び、そこで出会った
「僕と似た性行」を持つ優秀な先輩
の様子が綴られている。奥村氏は
僕がハッピーな気分になった理由は簡単だった。周囲の人たちの多くが、「時間に細かい」「数字が好き」「些細なことにこだわる」「記憶力がよい」「人の気持ちを考慮せず、事実関係のみに基づいて議論する」など、僕と似た特徴を持っていたからだ。前の席の記者の先輩も、隣の席のディレクターの先輩も、そして直接の上司となる部長も・・・。
「なんだ、同じ仲間ばかりじゃないか」と、僕は半分嬉しく、半分拍子抜けしたような気持ちになった。当時の僕は、まだ発達障害という概念を知らなかったが、自分と共通する傾向(つまり発達障害を持つ者に独特の言動)を見せる人が職場に明らかに多いことはすぐにわかった。
もちろん、医師が同僚たちを診断したわけではないので発達障害だと断言はできないし、テレビ局という職場でも、さすがに発達障害を持っていない人の方が多かったと思う。でも、「今考えると、たぶん俺と同じASDだったんだろうな」と思わせる人の割合は、社会一般よりもかなり高かったし、何よりも重要なのは、そういう人たちも別に職場で嫌われているわけではなく、むしろ、尊重されている雰囲気があったことだ。
と書いているけれども、発達障害であったとしても、なかったとしても
一般社会ではあまり容認されない個性がマスコミでは「よいもの」として受け入れられている
ことを嬉々として例示していくのである。
コンプライアンスについては、こんな記述がある。
いつだったか、僕も入社してからずいぶん年数が経ち、そろそろ中堅どころに差しかかっていた頃のことだった。当時、社会的に「日本企業はもっとコンプライアンス(法律、規則、社内規範などを守ること)を重視しなければならない」という風潮が高まっていた。僕の会社でも、各部署の社員たちを集めて、コンプライアンスの大切さを説明する2時間くらいの研修が開かれた。
(略)すると、Aさんがやにわに手を挙げて、こう発言した。
「常務が部長だった頃、私は部下としてお世話になりましたが、当時の常務の口癖は『俺たちの仕事では、グレーな部分に踏み込んで結果を出さなきゃいけないことがある。役人みたいに法律や規則を守ってばかりで、視聴者の心に届く良いものが作れるはずがない。リスクを取って、一線を越える覚悟を持って仕事をしろ。向こう傷の二つや三つがあって、初めてテレビ屋と言えるんだ』でした。私はその通りだと思い、今は同じことを後輩たちにさんざん言い聞かせています。
それが突然、同じ常務の口から、『コンプライアンスが大切だ』と反対のことを言われても、どうしたらいいのでしょうか。今さら後輩に違うことは言えません。ハシゴを外されたようなもので、困ってしまいます」
ま、テレビに限らず、これが
コンプライアンス重視が提唱される以前のマスコミ業界の「常識」
だったと考えておけばあまり間違いはないだろう。
マスコミの取材を受ける一般社会の普通の人の対策は
相手は人間の姿をしているが、中身は自分たちとは違う
と思って相手をするくらいでちょうどだろうと思うよ。
同じ人間だと思ってしまうから、つけ込まれるんだ
と覚えておいた方が後々イヤな目に遭わずに済む。
(続き 3/10 1:20)
大坂洋さんから次のようなコメントを頂いたので再掲する。
富山大学経済学部に勤務しています大坂洋と申します。息子がアスペルガー症候群です。osakaecoというハンドルではてブしました。他にもいろいろ意見が寄せられております。必ず返答願います。
ということなのだが、原則として、はてブでのやりとりは行わないませんので、ごめんなさい。理由はコメントで申し上げたとおり、目が悪いからです。
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コメント
富山大学経済学部に勤務しています大坂洋と申します。息子がアスペルガー症候群です。osakaecoというハンドルではてブしました。他にもいろいろ意見が寄せられております。必ず返答願います。
投稿: 大坂洋 | 2013-03-10 01:08
大坂洋さん、コメントありがとうございます。ご子息がアスペルガー症候群とのこと、日々大変かと存じます。
申し訳ないのですが、はてブは見ていませんし、コメントもしません。わたし自身、視覚障碍があり、1日にものを見る量が限られているためです。あしからずご了承下さい。
身内に自閉症を含む、重複障碍を持つ子どもがおりました。子どもの障碍は、周囲の理解が得にくい場合が多多あり、子どもの方も、いろいろと思い通りにならないことでパニックを起こしたりします。どうやって、社会とうまくやっていくのか、家族は毎日思い悩みつつ、過ごしました。
投稿: iori3 | 2013-03-10 01:16
はてブは見ていませんが、考えてみてほしいことが二つあります。
一つめは、アスペルガー症候群と健常者の間に明確な線引きができるのか?ということ
二つめは、アスペルガー症候群は「一般社会の普通の人」の外にいる存在ではなく、中にいる存在ではないか、
言い換えると、アスペルガー症候群もそうでない人もひっくるめて「一般社会の普通の人」ではないのか?ということです。
投稿: JSJ | 2013-03-10 20:15
JSJさん、コメントありがとうございます。
自分もそうですが、その他の「マスコミの取材を受けた人たち」が共通にもつ
嫌な感じ
について、基本的に考えているのは、
なぜ普段メディア等とのつきあいのない人がマスコミに取材されると厭な目に遭うのか
ということです。何か問題があるとすればそれは
マスコミが取材技術として容認している「対人インターフェイス」
だろうと思います。
そうした行動を支えているのは、
メディアはなにをしてもよい
という考え方でしょうが。
投稿: iori3 | 2013-03-11 13:04