■「
生活保守主義としての「食の安全」意識とナショナリズム14」のつづき
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世界の環境ホットニュース[GEN] 676号 08年04月13日
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毒餃子事件報道を検証する【第15回】
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毒餃子事件報道を検証する 原田 和明
第15回 毒物は東京を目指す。
食中毒事件発生と発表された1月30日の時点で、明らかになって いたのは、メタミドホスが検出されたという千葉市、高砂市、市川市の3事件でした。ところが、それに先立って事件を予感させる事態は、すでに昨年10月から始まっていました。東北エリアでの異臭騒ぎです。それらを含め一連の事件を時系列に地図上に並べると、毒物は次第に東京を目指しているように見えるのです。それは単なる偶然でしょうか? それとも何かのメッセージでしょうか?
中国製餃子中毒事件の経過は次の通りです。(神戸新聞社ホームページより引用)
2007年
10月26日 仙台市青葉区の女性が中国・天洋食品製の「CO・OP手
作り餃子」を食べ、異常に気付く。
11月10日 「CO・OP手作り餃子」を購入した福島県喜多方市の生協
従業員が異臭に気付く。
12月27日 大阪府枚方市のスーパーが天洋食品製「中華deごちそう
ひとくち餃子」の袋外側がべたついていると返品。
12月28日 千葉市稲毛区で家族2人が「CO・OP手作り餃子」を食べ
中毒症状。
2008年
1月5日 兵庫県高砂市の家族3人が「中華deごちそうひとくち餃子」
で中毒症状。
1月22日 千葉県市川市の家族5人が「CO・OP手作り餃子」で中毒。
5歳女児が一時重体。
1月29日 兵庫、千葉両県警がメタミドホスを検出。
1月30日 両県警が事件を発表。日本たばこ産業と日本生活共同
組合連合会は天洋食品製商品の自主回収を発表。
以上が、マスコミ報道から得られる事件の経過です。これだけをみると、毒物が入れられた商品は、東日本エリアの「CO・OP手作り餃子」と関西エリアの「中華deごちそうひとくち餃子」の2系統があるようにみえます。そして、千葉、兵庫両県警は、どちらの商品からもメタミドホスが検出されたと発表しています。毒物は共通というわけです。
しかし、1月30日の発表の時点で、兵庫県警は「中華 de ごちそうひとくち餃子」を食べた被害者の胃洗浄液からチオグリコール酸しか検出できていません。そのことが地元紙に伝わると兵庫県警はあわてて情報隠しに奔走して、サンプルもないのに、被害者の便を分析したなどと口走り、墓穴をほるという失態を演じています。
さらには枚方市のスーパーから回収した「中華deごちそうひとくち餃子」のひとつは密封状態の袋の内側からメタミドホスが検出されたと発表しましたが、兵庫県警はサンプルのカウントを間違えるなど偽装工作をしています。しかも、ジェイティフーズの分析からはメタミドホスは検出されていません。従って、大阪府枚方市のスーパーから回収された商品に関する兵庫県警発表は信用するには根拠に乏しく、今のところ、「中華deごちそうひとくち餃子」からはチオグリコール酸の検出だけが確認されていると考えられます。
一方、千葉県警では「CO・OP手作り餃子」ばかりが鑑定対象でした。そして、千葉市の事件や東北エリアの異臭騒ぎにまったく無関心で、無視しているようにさえ見えます。しかし、生協の分析でメタミドホスやジクロルボスが検出されていますので、生協の分析結果は、千葉県警の捜査内容が恣意的で、発表内容についても疑惑が多いことをあぶりだしています。さらに、未調理の餃子からメタミドホスが検出された千葉市の事件では被害者が口に入れるとすぐに異常に気付いて吐き出しているのに、市川市の家族は全部を食べてしまったという違いがあるため、千葉県内の2つの事件は毒物が異なる可能性を排除できません。千葉県警も1月30日の時点では「特定できていないが、有機リン系農薬を検出」と千葉県内の2つの事件は毒物が異なる可能性を臭わせています。(1.31 朝日新聞)
千葉県市川市の事件では千葉県警が検便からメタミドホスを検出していますが、メタミドホスはアセフェートの代謝物であることから、市川市の餃子には検出されたというメタミドホスではなく、メタミドホスを加工したアセフェートが入れられていたという可能性を残しておきたいと思います。
以上のことを考慮して、事件の発生日、発生地点、毒物、毒物が混入された商品を整理してみます。ここで、事件の発生日は、被害者が食べた日ではなく、購入日とします。犯人が毒物入りの商品を店頭に戻したという前提で考えると、購入日が犯人にとって事件を起こしたい時期と考えられるからです。兵庫県高砂市の事件では、次男がたまたま毒物の入っていない一列を年末に食べ、残りは1月5日に消費されて事件が発生していますので、購入時期は事件発生より2週間ほど早い2007年の年末でした。一方、唯一被害者に縮瞳が確認されている市川市の事件では、被害者の餃子購入日を、読売新聞(1.31付)は「年末」としていますが、東京新聞(1.31 付)は事件当日の「1月22日」としています。どちらが正解か断定することはできませんが、食料の買い溜め需要が高い年末年始に40個入りの餃子袋が冷蔵庫に1か月も残っていたとは考えにくく、東京新聞の説を採用したいと思います。以上を考慮して、それぞれ商品購入日を基準にして、事件を時系列に並べると次のようになります。
2007年
10月5日 みやぎ生協富谷生鮮セットセンターで従業員が餃子5袋からの異臭
に気付く。
10月8日 仙台市の生協組合員が、共同購入の餃子(CO・OP 手作りギョーザ)
から異臭、返品。
11月10日 福島県喜多方市の生協従業員が自家用に購入した餃子から異臭、返
品。
12月25日 兵庫県加古川市(イトーヨーカ堂)で購入した餃子で高砂市の家族
3人が1月5日発症。
12月28日 千葉市内の千葉コープ店で購入した餃子の一部を食べた母娘が発症。
2008年
1月22日 千葉県市川市の千葉コープ店で購入した餃子の一部を食べた母娘が
発症。
購入日、購入場所、毒物を抽出すると、
2007年
10月8日 宮城県仙台市 ジクロルボス 《CO・OP手作り餃子》
11月10日 福島県喜多方市 ジクロルボス 《CO・OP手作り餃子》
12月25日 兵庫県加古川市 チオグリコール酸《中華deごちそうひとくち餃子》
12月28日 千葉県千葉市 メタミドホス 《CO・OP手作り餃子》
2008年
1月22日 千葉県市川市 メタミドホス(アセフェート?)
《CO・OP手作り餃子》
こうしてみると、兵庫県高砂市の事件が唯一、異色の存在であることがわかります。商品が生協ブランドではありませんし、毒物も唯一、有機リン系農薬ではありません。高砂市の事件を除いて考えると、毒餃子は東日本を次第に南下して、東京に近づくに従って、毒物も「臭いの きつい」ものから、無臭で 味の異常に気付いてもそのまま食べてしまうものへと変化していっていることがわかります。
これは一体何を意味しているのでしょうか? 東北エリアで混入されていたジクロルボスは臭いがきつくて、毒入り餃子を口にすることはありませんでしたから、私は東北エリアの異臭騒ぎを「予告」であると考えました。そして、千葉市で混入されていたメタミドホスは口にしても気付いてすぐ吐き出しています。それに食べてしまっても致死量には達しない程度の混入量でした。ですから千葉市の事件は「警告」と推定しました。それに対して、千葉県市川市の事件では、明らかに中毒を発生させて事件にすることを目的としています。これらの毒物混入事件にメッセージ性があるとすれば、日本国民を人質とした日本政府に対する脅しという意味合いが感じられます。警察庁の恣意的な捜査も、犯人のメッセージを国民に知らせまいとする意図があるとみえなくはありません。
ただし、犯人のメッセージ(あるとすれば)は おろか、事件の存在 そのものも様々な要因で市川市の事件まで誰も気付かなかったのです。高砂市の事件では犯人は事件発生を目論んでいたはずですが、次男が奇跡的に毒物の混入していない一列を食べるという偶然が重なり、年明け早々に事件が起きても兵庫県警は被害者宅の冷蔵庫内での毒物混入を疑って内密に家族の交友関係のトラブルについて捜査を続けていました。千葉県警も市川市の事件だけを追いかけていましたから、警察庁が犯人のメッセージを国民に知らせまいとして、情報操作を繰り返したと考えるのは買いかぶりのような気がします。警察庁が市川市の事件と高砂市の事件を共通の事件として発表しようとしたのも、千葉市の事件と高砂市の事件を取り違えたというチョンボが原因と考えられ、その後の兵庫県警による情報操作は、警察庁のチョンボを隠蔽するための工作と考えられます。ただ、警察庁は、市川市の事件発生直後には何かを知っていたということだけは間違いなさそうです。
さて、一連の毒物混入事件は10月に「予告」、11月に「警告」、12月に「実行」と次第にエスカレートし、そのターゲットが首都・東京だとすると、符合する事実はあります。安倍晋三首相が所信表明演説を済ませた直後に突然辞任し、福田内閣が誕生したのが9月末でした。
2007.9.27 朝鮮日報は、福田内閣誕生を伝える記事の中で「福田首相は父・福田赳夫元首相のアジア重視路線を引き継ぎ、首相が靖国神社を参拝することに反対し、対北朝鮮関係で対話を優先させるなど、これまでの小泉・安倍政権とは異なる外交路線を主張している。」と紹介しています。
また、Wikipedia によると、福田康夫は、「中国や韓国等の、靖国神社参拝に反対している国の意見などにも一定の配慮をすべきこと、憲法改正には周辺国の理解が必要と主張していることなどから、反米保守(ナショナリスト)グループから『親中派』、『媚中派』などと批判されることもある。」とあります。
小泉内閣から続いた「親米反中」路線から、福田内閣誕生によって「親中」路線へと大きく方向転換しようとする日本外交の転換期と期を一にして発生した中国製毒餃子事件との関係は?
そして、警察庁が情報操作までして「製造段階での混入」を国民に刷り込んだ意図は不明ながらも、世論を「反中国」に向かわせ、福田内閣の「親中」路線を妨害する役割を果たす結果となっています。-------------------------------------------------
■最後の推測というか、表題のような仮説については、実行犯があがらないかぎり、真相はあきらかにならないだろう。■その意味では、原田さんらしからぬ 「憶測」の域をこえないので、あまり興味をおぼえない。
■むしろ、一連の騒動は、明確な意図をもった組織的犯行が、大体の目的を達成しつつある、といった仮説でもってよみとるより、ずっと重要な問題をかかえているとおもう。■簡単にいえば、死者がでない程度の薬物中毒を計画できる人物が悪意をもって行動すると、とんでもない方向に世論が暴走するし、それを警察当局や主要メディアは抑止するというより、加速化するような、危険な装置と化すということだ。
■すでにのべたとおり、①個人主義的・無政府主義的な意味での経済至上主義がはびこって、長期的信用などは二の次の中国市民が急増している。■②そういったアナーキーな経済倫理を包囲するのは、「中韓」に「過去の自分のすがた」をみてとっている日本の大衆の蔑視である。■③中国の急速な経済大国化に不安をかかええている政官財と大衆の共犯的な蔑視イメージは、「安全性などを無視した野蛮な我利我利亡者たち」あたりだった。■④しかし、それは、現実的に「世界の工場」に「依存症」的にもたれかかっている日本の生産・消費システムを、卑劣にも「わすれた」ことにする、自己欺瞞だった。■⑤今回の「毒入りギョーザ」の犯人は、以上のような総体からして、絶対に中国人でなければいけなかった。…。
革命でもない限り中国の体制は変わらない
以下私のブログから引用したものです。
『食品製造の監視でも問題が絶えない。SFDAには職員が1700人いるが、中国の食品製造者の80%(約35万社)は従業員数10人未満の小企業で、安全基準をよく理解していないことが少なくない。そしてこの場合も、違反業者を厳しく取り締まろうという意欲が地方政府にはほとんど見られない。「地方政府が食品安全規則に違反する業者をすべて業務停止処分にしたら、膨大な数の労働者が失業することになる」と、北京にある中国農業大学の食品科学・栄養科学院院長、羅雲波(ルオ・ユンボ)氏は言う』。
しかし、この体制根本的には革命でもおこらない限り是正されることはないと思います。このようなことは、いつまでも、続くはずはありません。このようなことが終わるときが、中国分裂の時だと思います。
私のブログでは、ここ数回にわたって「中国分裂の筋書」を掲載しています。是非ご覧になってください。
誤解のないように、補足いたしますが…
■魅力的な分析のブログを紹介いただき、ありがとうございます。おりをみて、おじゃまいたします。
■ただ、当方は、中国大陸についての巨視的見解として、おそらく かなりことなった視座にたっております。
■①中華帝国の版図が物理的・社会的に おおきすぎるという絶対的矛盾=ムリはあるにせよ、漢民族のナショナリズム=求心力と人口圧力は、周囲の少数民族の抵抗できるような次元ではなさそうであり、分裂不可避論は、マルクス経済学の恐慌→革命と、あまりかわらない楽観論ではないか?
■②中国大陸の経済至上主義のあさましさが めにあまるようにみえるのは、ほんの数十年まえ、いや現在もそれと通底する野蛮をくりかえしてきた日本人の劣等意識の投影物であって、近代日本の政官財の一部は同様なことをいまでもやりかねない体質をかかえている。■たとえば、原発震災リスクを軽視・さきおくりする電力会社とか、膨大な産廃を東海地域ほかにまきちらした石原産業とか、日本列島は、うすぎたない連中がうようよする空間です。
■ですから、世界平和と人権保障のために、アメリカ・ロシア・中国という超大国はすべて解体され、福祉体制の単位がもうすこしちいさな面積・人口でおこなわれるべきだし、長期的にはそのヘンにおさまるとはおもいますが、中期的にそういったのぞましい国際秩序(この表現自体が、既存の国家体制による「共存」を前提にしていますが)が必然的にもたらされるかといえば、かなりの紆余曲折があるかとかんがえております。
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