fc2ブログ

プロフィール

ハラナ・タカマサ

Author:ハラナ・タカマサ
     【原名高正】
誕生日:ニーチェ/フーコーと同日
職業 :サービス労働+情報生産

日本版ポリティカルコンパス
政治的左右度:-7.6 
経済的左右度:-5.19
【位置 リベラル左派】

前ブログ: 『タカマサのきまぐれ時評

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

ブロとも申請フォーム

脳は「入力」より「出力」で覚える(池谷裕二)

海馬研究を軸とする脳科学池谷裕二氏の「潜在“脳力”を活かす仕事術」シリーズ(日経ビジネス)の連載第1回を転載。


【第1回】脳は「入力」より「出力」で覚える
2008年4月7日 月曜日 池谷 裕二
keyword  ライフハック  仕事術  思考法  スキルアップ 

 勉強は教科書を復習するより問題を解くほうが効果的だ──。そんな論文が『サイエンス』誌の2008年2月15日号で報告された。

 米パデュー大学のカーピック博士の研究だ。より専門的に説明すれば「入力を繰り返すよりも、出力を繰り返すほうが、脳回路への情報の定着がよい」ということになる。カーピック博士はよく練られた実験デザインを活用して、この面白い事実を発見した。実験内容は次の通りだ。

 ワシントン大学の学生を多数集めて、スワヒリ語40個を暗記する試験を行う。adahama=名誉、farasi=馬、sumu=毒…といった具合に単語のペアを5秒ずつ提示して次々に覚えさせる。しかし、名門大学の学生とはいえ、40個を一回で覚えることはほぼ不可能である。そこで何度も繰り返して覚えてもらうのだが、この時、学生たちを4つのグループに分けて学習してもらった。

 1つ目のグループには40個を通しで学習させ、その後に40個すべてについて確認テストする。この学習とテストの組み合わせを、完璧に覚えるまで何度も繰り返す。2つ目のグループは、確認テストで思い出せなかった単語だけを選んで学習させる。ただし、確認テストでは毎回40個すべてを試験する。そして、テストで満点が取れるまで学習と試験を繰り返す。


 3つ目のグループはこの逆のパターンだ。覚えていない単語があったら、初めから40個すべてを学習してもらう。そして、先ほど覚えていなかった単語だけを確認テストする。そして、満点が取れるまで学習と試験を繰り返す。

 最後のグループは、学校の授業でしばしば使われるパターンである。確認テストで思い出せなかった単語だけを学習して、再確認テストでも先ほど覚えていなかったものだけを試験する。そして、再試験すべき単語がなくなるまで学習と試験を繰り返す。

 面白いことに、この4つのグループには習得の速さには差はなかった。実際、5回も学習と試験を繰り返すと、全員が40個すべてを覚えることができた。そこでカーピック博士は、1週間後に再テストを行うことにした。さて、成績はどうだったか。グループ1と2は約80点と好成績であったのに対し、グループ3と4はともに約35点しか取れなかった。


 さて、話が込み入っているので、丁寧にデータを再考してみよう。
 グループ1と2に共通するプロセスは何かといえば、確認テストで40個すべてをテストしながら覚えたという点である。一方、グループ3を見てみると、学習は毎回40個について行っているが、確認テスト、つまり思い出す練習は、苦手な単語に対してのみ行った。

 これで随分と見通しがよくなっただろう。つまり、私たちの脳は、情報を何度も入れ込む(学習する)よりも、その情報を何度も使ってみる(想起する)ことで、長期間安定して情報を保存することができるのだ。

 言うなればこれは、参考書を繰り返し丁寧に読むより、問題集を繰り返しやるほうが、効果的な学習が期待できるというわけだ。営業職のビジネスパーソンなら、自社製品の技術資料を繰り返し読むより、顧客先で何回もプレゼンテーションをこなす方が、製品の情報がよく頭に入るということだろうか。

 入力よりも出力を重視 ── 脳はそうデザインされているらしい。

------------------------------------------
■要するに、A=出力 B=入力、と a=全部 b=未定着分、という、学習・記憶効果を調査した。■その結果わかったことは、Aa,Ab ≒ 80点前後、Ba,Bb ≒ 35点前後と、①再入力というかたちでの復習するだけでは、ひどく効率がわるい。■②全部チェックすることと、未定着分だけにしぼることで、差がない=全部チェックするのはムダ。という概要がつかめたということ。

■この実験は、④あくまで、全然基礎知識がない語学的暗記という領域についてにすぎないこと。■⑤1週間後の定着度という点で、そのあとはどうなるのか、わからないこと。■⑥1回きりの実験であって、3回以上の学習経験を直後とか、ある程度の時間後におこなったばあいにどうなるのか、わからないこと。…等々、ものすごく限界がある研究成果といえる。
■しかし、ただ 再入力するだけのお勉強が、だいぶ非効率らしいことだけは、なんとなくわかる(笑)。■つかってみる。しゃべったり、かいたり、ほかの素材として利用してみるなど、主体的・積極的な運用をしない、うけみの勉強は、時間のムダの可能性がたかいと。

■心配なのは、100マス計算だの、漢字のかきとりとかを、アホみたいに正当化する先生が、学校や塾でふえそうな点だ(笑)。「基礎は反復が大事」とか、いってね。

テーマ : 心、意識、魂、生命、人間の可能性 - ジャンル : 心と身体

<< 年金問題は、記録モレだけじゃない | ホーム | 社説ウオッチング:映画「靖国」上映中止 毎日など5紙、表現の自由に懸念(毎日) >>


コメント

「ひらめき脳検定」(http://cert.yahoo.co.jp/feature/brain/)などという検定もあり、ますますおそろしい脳中心社会になりそうです。

もっとも、対抗となる言説として『現代思想』(青土社2008年4月号)は教育特集をかかげ、『論座』(朝日新聞社2008年5月号)は「公教育の理想と現実」という記事を掲載し、『週刊金曜日』(2008年4月4日号)は愛国教育を批判しているので、教育制度や教育イデオロギーによる対抗に人権派が活路を見出そうと資源の集中投下をしているようにも思えます。昨今の野党人気からすると、今度こそ大きな反体制の政治潮流をきずけるのかもしれませんが、結果はどうなりますことやら。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP