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おっさんのロックンロールな日記

カナレットとヴェネツィアの輝き その2
 さて,前回に続きまして,東京・新宿のSOMPO美術館での「カナレットとヴェネツィアの輝き」です。この2024年を振り返ると,我々は,今回も含めて計4回,美術展覧会に足を運びました(どれも文句なしに,素晴らしい展覧会でしたよ)。その4回の内,何と半分に当たる2回がSOMPO美術館だったので,少し意外と言えば意外です。これって,何ですかね,相性みたいなものもあるのか知らん。2024年に限っては,僕達のラッキー・ミュージアムだったのかな。


 さて,第2章からですが,カナレットの作品の最大の見所は,線遠近法を駆使した都市空間の精緻な表現や,細部まで描かれた豊かな人物表現でしょう。これらの技術は,幼少期に父について学んだ舞台美術の影響を強く受けているそうです。特に評価が高いのはヴェネツィアの中心部を流れるカナル・グランデで行われるレガッタや昇天祭などの祝祭を描いた作品群ですね。観客の熱狂が画面から生々しく伝わるだけでなく,当時の文化風俗を正確にとらえているというコトで一級の歴史資料とも捉えられるそうです。

 
 カナレット6


 カナレットがヴェドゥータを描き始めたのは1719年頃からとされ、当初は光と影の効果を重視した雰囲気の描写が特徴的でした。それが次第に,すっきりと澄んだ空に,定型的な水の波紋、定規を用いて堅固に描かれた建物といった画風が定着していきます。また,彼は画面のあちらこちらに様々な仕草の人物を好んで描くようになりました。ヴェネツィアに生まれヴェネツィアに没したカナレットの描く,整然とした街並み,輝く水面,華やかな祝祭の情景は,同地の典型的イメージとして定着するほど絶大な人気を博しました。


 この第2章は,好きな作品ばかりですね。特に「カナル・グランデ:パラッツォ・バルビから北東にリアルト橋を望む」,「サン・マルコ湾:北を望む」,「サン・ヴィオ広場から見たカナル・グランデ」,「サン・マルコ広場」の4つは,本当に気に入りました。また,カナレットはヴェネツィアだけでなく、パトロンからの需要に支えられ,ローマやロンドンなどでもヴェネツィア同様に観光スポットや景勝地を描いています。


 サン・マルコ広場


 ロンドン・カナレット


 古代遺跡から文化の香り漂うローマ,のどかな水辺や田園風景が美しいロンドンなど、カナレットの描いた都市景観から、約200年前のヨーロッパ各都市の違いを見比べるのも楽しいものです。「ロンドン・,ヴォクスホール・ガーデンズの大歩道」や「ナヴォナ広場の景観」なんて実にイイですね。続く第3章は,「カナレットの版画と素描―創造の周辺」と題された創造の秘密についてですね。カメラ・オブ・スキュラと呼ばれる、カメラの祖先となる原始的な光学機器には興味なかったけれど,版画やデッサンは素敵でした。


 ナヴォーナ広場 カナレット


 そして第4章「同時代の画家たち,継承者たち-カナレットに連なる系譜の展開」ですが,カナレットの活躍により時代が動いた後のコトです。その画風に倣ったフォロワーたちも続々と活躍の場が与えられることになります。ウィリアム・マーロー,フランチェスコ・グアルディなんて,実にイイですね。カナレットに続くヴェドゥータの名手たちの作品も,次々と披露されています。先駆者の作風を踏襲しながらも,少しずつカナレットとは違う個性の表出も感じられます。水と都市の風景,どれも美しい。この第4章も,ホントに気に入りました。


 マーローのカプリッチョ
 ウィリアム・マーローです。


 マリエスキのリアルト橋
 フランチェスコ・グアルディです。


 「カナレットの遺産」と題された最終章では,風景画の世紀とも言える19世紀の英仏の画家たちに焦点を当て,カナレット以後のヴェネツィアの表象の変遷を辿ります。ロマン主義的思潮を背景に,裏町や狭い水路などヴェネツィアの「裏」の顔を切り取る画家も登場しました。ドラマがあって,これもまたイイ。以上,こんなところですが,もう思う存分に楽しむコトが出来ました。今年2024年に訪れた展覧会は全て,もう一度行きたいと思いましたね(残念ながら,実現しなかったけれども)。


 帰りは「いつも通り」というコトで,ミュージアム・ショップでポスト・カード数枚を買い求めました。でも,種類は少なかったですね。やっぱり,日本では(なのかな?),無名みたいなんですよね。知る人ぞ知るとか,そんな感じなのですかね。あ,それでね,後で調べたのですが,東京ディズニー・シーの水辺に「リストランテ ディ・カナレット」というイタリアン・レストランがあるそうです。そんなコトは露知らず,帰りに僕達は「しゃぶしゃぶ」を「お腹イッパイ」に食べたのでした。



 カナレット4




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