CO2排出量増大のピンチ!
脱原発に舵を切ったドイツは今どうなっているか?
グラーフェンラインフェルト原発 〔PHOTO〕gettyimages
6月27日、ドイツ南部、バイエルン州のグラーフェンラインフェルト原発が停止した。ドイツでは福島第一原発事故の後、17基の原発のうち8基が止まり、残り9基が動いていたが、まず、そのうちの最初の1基として、最古参の同原発が33年の歴史に幕を降ろしたのだ。脱原発の計画では、2022年までに残りの8基もすべて停止することになっている。
停止の前夜、原発施設の巨大な冷却塔のコンクリート壁に、「3000億キロワット時のCO2フリーの電気をありがとう!」という文字が電光で浮き出しになった。同社の原発の電気を販売しているMAXATOMSTROM社からの追悼の言葉だ。また、同原発の持ち主であるE.ON社では、幹部が、見ているほうが涙が出そうになるほど悲痛な表情で記者会見をした。
一方、反原発派の人々はお祭り気分。原発が止められた土曜日の夜、その周りに続々と集結し、派手にカウントダウンをして、大いに盛り上がった。
脱原発の成否は、高圧送電線にかかっている
2011年、福島第一の事故の後、ドイツは急激な脱原発に舵を切った。原発の分の電気は再生可能エネルギーで賄い、2020年までにCO2を1990年比で40%、2050年までに80%削減するというのが最終的な目標だ。
以来、急激に増えたのが太陽光と風力。全量20年間、固定価格で買取りという法律も効いている。ただ、太陽光はCO2は出さないが、お天気により、1日のうちでも、1年のうちでも、発電量にムラがありすぎて、原発に代わって産業国の電力を賄うことはまだ無理。
当てにできるのは、比較的安定したドイツ北部の風力だ。風力は、瞬時の増減が激しいものの、全体でみると太陽光ほど気まぐれではなく、夜中も発電できる。すでに、北部にはたくさんの陸上風力タービンが立ち並び、大量の発電が可能になっている。