2024年7月10日、日経平均株価は史上最高値の4万2224円2銭を記録した。その一方で、8月には過去最大の暴落幅を記録し、株価乱高下の時代に突入している。インフレ時代の今、自分の資産を守り抜いていくために私たちはどのような対策をすべきなのか。NVIDIA急成長の背景や新NISAとの向き合い方を見直しながら、日本経済の未来について考えていかなくてはならない。
本連載では世界的経済アナリストのエミン・ユルマズ氏と第一生命経済研究所の永濱利廣氏が語る日本経済復活のシナリオを、『「エブリシング・バブル」リスクの深層』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『「エブリシング・バブル」リスクの深層』連載第45回
『「トランプ再選は日本にとって追い風」!?…安倍元総理を失った日本がこれから迎える「光と闇」』より続く
高まる台湾有事の可能性
永濱:トランプ再選でアメリカが国際紛争から手を引く、というシナリオをマーケットは恐れています。アメリカがウクライナ支援を減らせば、ロシアが勝利する可能性も高くなります。ただ、そうなれば「侵攻したもの勝ち」になりますから、戦争を仕掛ける国が増える観測が強まります。当然、台湾有事に対する警戒も高まるでしょう。
エミン:トランプ氏は台湾を守ると明言していません。むしろ、台湾のせいでアメリカの半導体産業が蝕まれていると、敵視するような発言さえしています。中国側が「トランプ政権は台湾を守らない」と判断し、台湾侵攻を実施する、というシナリオに現実味が出てしまうわけです。
ただし、トランプ氏の発言はあくまで有権者向けのもの。トランプ政権が現実に実施する政策はまた別だと見たほうがいいでしょう。
前回のトランプ政権時のスタッフを見ると、特に外交チームは共和党のタカ派で占められていました。次のトランプ政権でも、アメリカの「台湾を守る」方針は結局継承されると思います。
むしろ、トランプ氏がやってきそうなのは、危機に乗じて日本などにアメリカ製の兵器を売りつけてくることでしょう。前回政権時はアラブに対してたくさん武器を売っていました。