【舛添都知事日記】10年後、20年後、30年後、未来にわたる「世界一の街、東京のグランドデザイン」を描きたい!
安倍首相のしたたかな政治手法
安倍首相が、衆議院を解散し、総選挙に打って出ることになった。4月の消費税増税後、消費の伸びが予想以上に低い。円高の影響で、輸入品の価格が上がる一方で、賃金は伸びていない。実質賃金が増えない状況では、こうなるのは当然である。GDP500兆円のうち、6割の300兆円は個人消費である。
そもそも、消費税を8%に増税後、わずか1年半で10%に引き上げるというシナリオが非常識であった。上げるなら、一気に上げるか、あるいは、毎年1%ずつ上げて、5年かけて10%にするかというのが、賢明な手ではなかったのか。庶民の生活感覚が分からない官僚が主導すれば、今回のような結果になってしまう。8%から10%に上げるには、3年くらいは必要である。したがって、2017年4月に10%というのは、国民に受け入れられやすい判断であろう。
消費税増税の時期を変更することについて、国民の信を問うというのが、今回の安倍首相の決断である。もちろん、いつ解散すれば政権維持にとって好都合かという政治的計算があるのは、当然である。かつて麻生内閣当時、私は厚生労働大臣であったが、解散時期を誤っていなければ、民主党へ政権を渡すことはなかったと、今でも思っている。
それにしても、外遊中に、解散総選挙の段取りをここまで上手くつけていくというのは、したたかな政治手法と言わなければならない。日中首脳会議も実現したし、日韓首脳が言葉を交わすこともできた。北京、ソウルと都市外交を展開してきた立場からは、喜ばしいかぎりである。
小笠原諸島周辺での中国漁船による違法操業については、日本政府に対して海上保安庁、水産庁を中心に徹底して取り締まるように要請するとともに、中国政府に対して、しっかりと取り締まるように要求した。小笠原諸島は東京都に属しており、都知事として看過しがたいと、北京に厳重に抗議したところ、中国政府からは、全力で対応するとの回答があった。その言葉通りにならなければ、さらなるアクションをとるつもりである。