2014.04.05
# 企業・経営

小保方晴子氏を「犠牲者」にした独立行政法人・理研の組織的欠陥

ノーベル賞受賞者の野依良治理化学研究所理事長。独法化して理研が成果主義に陥ったことが「小保方問題」の背景にあるという                              photo gettyimages

新型万能細胞「STAP細胞」論文で理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーの研究手法に不正があったとして、同研究所の野依良治理事長は4月1日、記者会見して謝罪、論文の取り下げを正式に勧告するなどと説明した。

「小保方問題」は起こるべくして起きた

同時に小保方氏の処分も検討するという。論文の共著者である笹井芳樹氏(理研発生・再生総合研究センター副センター長)と若山照彦氏(山梨大学教授)については、研究不正は認められなかったとした。

理研の対応を見ていると、小保方氏個人の「不正」として片付けようとしているように映る。果たしてこの問題は、有識者らが指摘しているように小保方氏の研究者としての「倫理観の欠如」から発生したのだろうか、あるいは小保方氏の研究手法を早計に「不正」と断じていいのだろうか、といった疑念がわいてくる。

筆者も文系ながら、かつて大学院の博士後期課程で学んで学位論文(ベンチャー論)を書こうと試みていた時期があり、国立大学法人でも2年間特任講師を経験した。期間は短いとはいえ、アカデミックな分野での経験は多少ある。こうした経験も踏まえて、今回の問題を考えてみたい。

そこで筆者は、理研のベテラン研究者に、なぜ、この問題が起きたのかを聞いてみた。匿名を条件に率直に語ってくれたところからは、予想通り、理研という組織や日本の科学技術政策の「欠陥」などが浮かび上がってきた。

その研究者によると、「小保方問題」は起こるべくして起き、小保方氏は理研という組織の「犠牲者」といった側面がある。

関連記事