親小沢系の民主党衆院議員16人が岡田克也幹事長に民主党会派からの離脱届を突きつけ、新会派「民主党政権交代に責任を持つ会」を結成した。
16人の行動に対して「民主党に籍を残しながら、会派離脱とは筋が通らない」とか「民主党の比例代表候補として当選して議員バッジをつけたのだから、会派離脱するなら離党し議員辞職すべきだ」という批判がある。
しかし、そんな批判はまったく表面的な議論である。
事の本質は、いよいよ「菅直人政権の自己崩壊が始まった」という点にある。このコラムで繰り返し指摘してきたように、政権は外部からの批判では倒れない。必ず内部からの反乱によって崩壊プロセスが始まるのだ。
それでなくても、予算関連法案の衆院再議決をにらんで、菅政権がすがる思いで接近した社民党が離反姿勢を強める中、16人のうち数人でも造反して反対票を投じれば、法案を可決成立させるのは絶望的になる。
新会派の会長に就任した渡辺浩一郎は会見で予算関連法案について「政権公約(マニフェスト)に照らして判断する。党の決定とは別になることもありうる」と語っている。
本当にまとまって造反が起きれば、菅内閣に残された道は事実上、衆院解散・総選挙か内閣総辞職以外になくなる。予算こそが政治であり、予算案を成立させられない内閣は存在する意味がないからだ。
つまり「16人の反乱」とは、当人たちがどう説明しようとしまいと、客観的には倒閣運動そのものとみるべきだ。まさに、民主党の内部から菅政権に対する倒閣運動が始まったのである。
なぜ、こうした事態に至ったのかと言えば、菅の自業自得としか言いようがない。
菅は先の参院選で、ろくな党内論議もせずに唐突に消費税増税を打ち出して、敗北した。いったんは反省したかのような姿勢を見せたが、内閣改造では自民党政権下で重要閣僚を歴任した与謝野馨を経済財政相に起用し、再び「改革なき大増税路線」を鮮明にした。