田園風景にそびえる泊原発。一番手前が3号機。2号機は8月26日に定期検査で停止。3号機だけが現在、稼働する〔PHOTO〕橋本 昇(以下同)
「北海道は需要のピークが冬に来る。電力不足を理由に凍死者を出すことは、知事として許されない」
8月17日、北海道の高橋はるみ知事(57)は臨時記者会見を開き、調整運転を続けていた北海道電力の泊(とまり)原子力発電所3号機の営業運転再開の容認に踏み切ったことを明らかにした。
福島第一原発の事故以来、原発の危険性に不安が高まるなか、全国初となる原発の営業運転の再開が決まったのだ。地元・泊村では、知事がゴーサインを出したことをどう受け止めているのか。ある住民は、胸の内をこう話す。
「北電さんには、これだけのことをしてもらっているのだから、とても反対なんてできない。そんなことをすれば、村から出ていけと言われてしまうさ」
全国の原発立地地域と同様、人口2000人に満たないこの村も巨額の原発マネーで潤ってきた。泊原発が運転を始めた'89年度から'09年度までの21年間で、この村に支払われた原発関連の交付金や固定資産税の総額は約546億円にも上る。この間の歳入の6割近くにあたる額である。