阪急電車(2011)
監督:三宅喜重 出演:中谷美紀、宮本信子、戸田恵梨香 公式サイト
「宝塚~西宮北口間を約15分で走る、えんじ色の車体にレトロな内装の阪急今津線。その電車に、さまざまな“愛”に悩み、やりきれない気持ちを抱えながら、偶然乗り合わせただけの乗客たちがいた」高校時代の三年間、今津線を使って登校しつづけた身としては見ないわけにはいかない……!
これ、まず何が凄いって、主要登場人物が八人。アヴァン・タイトルで延々キャラクターの紹介をして、全員紹介し終わるまでに30分もかかる。で、いろいろ悩んでる八人が登場するんだが、本気で問題があると思われるのは結婚式直前に彼氏を後輩に奪われたOL(中谷美紀)くらい。あとはミリオタの大学生と野草を取って食うのが趣味の野生派女子大生(谷村美月)なんて、紹介された瞬間に結ばれるとわかるし、彼氏のDVに悩んでる女子大生(戸田恵梨香)の決断は……って延々引っ張ってるんだけど、最後は別れを告げるメールを!ってそんなの五分で終わるだろ! 宝塚出て宝塚南口に着くまでに決断しろよ!
関西学院に入りたくてでも学力が足りずに悩んでいる女子高生は毎日関学の前に立ってじっと校舎を眺めているのだが(そんなヒマがあったら単語のひとつでも覚えろ!)ついに意を決して学生に声をかける!「あのー、やっぱりいっぱい勉強しましたか?」それで「そりゃあしたよ!むっちゃ頑張ったよ!」って言われて「やっぱそうですよね!」って悩み解消するんだが、それ、どういう意味なのか全然わからない! 彼女は結局関学受けたの?
この話における「片道15分の奇跡」はほぼ婆さん(宮本信子)が担当していて、宮本信子が説教をかませばほとんどすべて解決してしまう。その宮本信子が中谷美紀にするアドバイス。「あなた、顔色悪いわ。小林駅はいい駅だから、ちょっと降りて休んでいきなさい」小林駅がいい駅ってなんだよ!!! 地味な駅ばかりの今津線の中でもいちばんなんの特徴もない駅だよ!
やっぱり今津線を舞台にするなら今津駅で運命の待ち合わせがあるけどあと五分。でもまにあう!と思った瞬間に西宮北口で踏切が降りて神戸線がガタンガタンと入線……だろ!(←もう平面交差はありません)
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コメント
西宮北口の平面交差はなぜか阪急100周年記念グッズとして昨年模型化!線路だけのジオラマで29000円!たけえ!需要あるのか?
当時阪急の車内刷り広告で普通に宣伝されてました
http://rail.hankyu.co.jp/railfan/topics/071004diamond_cross.html
投稿: 正刈草雄 | 2011-05-11 22:59
人間の人生って大きい問題だけじゃないでしょう。
他の人にとっては些細なことだって自分には困った問題であることだって沢山あるでしょう?
この作品はそういう自分には困った問題を大切に描いているんです。そこに「今までの件は省略できるだろう」とか、筋違いだと思います。
ではあなたの人生は全くもって無駄が無くってくだらないことで絶対に悩まないって自信を持って言えるのですか?
女子高生の"えっちゃん"や、"ミサ"のように悩んでしまうことはないのですか?
えっちゃんは自分の今までの勉強量と関学生の勉強量は違っていて、自分の実力ではかなわないんだという現実を受け止められたのがきっとあのシーンでしょう。「ねえ、なんで最後まで言わないの、はっきりさせてよ。」それは彼女自身の中でその問題が解決してるからでしょう。
それにあそこまで言ったらあとは読解力とかそういうもので補えますよね?後追いして「彼女は関学を諦めた」とかいちいちナレーション入れてたらくどい映画になってしまう。そういうところまできちんと理解してほしかったです。
長くなり、申し訳ないですが映画評論は自分の中でまとめてからしてはいかがですか。これは筋違いも甚だしいと思いますよ。
投稿: 有川ファン | 2011-06-02 15:04