老いぼれヨーロッパ(EU)の認知症2024/06/08

今年のGデイ(ノルマンディー上陸記念日――連合軍の対ナチス勝利を決定づけたと言われる)は、英米仏メディアでは大きくとりあげられた。アイゼンハワーが率いたこの作戦、ヨーロッパをナチスから取り戻すという作戦がいままたクローズアプされている。EU首脳が「レコンキスタ」を口にする時代だ(共同通信がそれに乗って特集を組んでいる――しかしやっているうちにその「倒錯」にも気が付いてきたようだ)。つまりヨーロッパは今、アラブ・アフリカのイスラーム勢力や東方のスラブ人からの侵蝕を受けている(移民難民問題・テロリズム、ウクライナ問題)。キリスト教ヨーロッパがその「失地回復=再征服」をすべき時、という意識だ。米軍に押されてのノルマンディー上陸作戦が、その端緒になるという意識。

 何という倒錯!全世界を植民地として支配し、遅れから解放するとして「自由」を押しつけてきたのは欧米である。そこから「自立」を求める国々が台頭すると(国では動けないから民がばらばらに動くと)、自分の地位が脅かされる、安全安心が脅かされると言って(イスラエルも同じ)拳を振り上げる。

それに、ナチス・ドイツはヨーロッパ自身が生み出したものではないか。その身内を倒したからといって、世界に自慢できる話ではない。そしてそれをヨーロッパの外に投影するなど、盗人たけだけしいと言わざるをえない。

従来はDデイの式典に、ベルリン陥落の主力だったソ連(その後継のロシア)も招かれていたが、いまはロシアは呼ばない(プーチンがヒトラー?笑止)。代わりにウクライナのゼレンスキーが招待され、老米兵の手を握って労をねぎらった。ゼレンスキーこそが、かつてナチスと協力して対ソ戦を戦った旧ウクライナ民族主義の末裔に脅し踊らされている道化だというのに。

「反ユダヤ主義」が復活している?だとしても、それはキリスト教ヨーロッパの縮痾であって、イスラエルに対する反発や批判はそれとはまったく違う性格のものだ。アメリカが悪魔として嫌う「共産主義」も近代ヨーロッパが生み出した思想であり、確執があるなら自分たち(西洋先進国)の間で処理すればいい。それを世界の問題だとして「再征服」のラッパを鳴らすとは、老いぼれ脳軟化(認知症、歴史修正)もはなはだしい。こういう年寄りにはなりたくないものである。