【つぶ】なぜ契約システムじゃないのか?
昨日の中止or延期という日記に、
鉄クズwwwゴミwwwwwwwwwアラフィフでビジネスの約束守れない男かwなりたくねーわw
というコメがあった。
まったくだわ(= =) ウム
なんで出版の世界では、事前に契約書を交わして、守らなかったら違約金を取るシステムになってないんだろう?
そんなことを考えてしまった。
多くの人は、昔かたぎの業界で大雑把だからだろう説を採るようだが、1日考えてみて俺の答えは違った。
結局のところ、本1冊分の字を書くという「作業」に意味はなくて、その中身の「質」がすべてだからだろう。
たんに字を埋めるだけなら主婦パートか学生バイトで十分。
ネットのライター募集では時給何百円だかの主婦パート的な仕事が山ほどある。
高い金を払って気難しいプロに依頼する必要はない。
有料で売れる文章を書くってのはキチガイじゃなきゃ無理なこと。
そこに契約的な発想を持ち込むのは、創作の魂にマイナスの働きしかないからじゃないか。
違約金を取るって契約で縛ったら、形式だけ字を埋めるようになる。
俺だって娘1号まで動員して1日で本1冊書くもん。
すると、そんなもんは売れなくて、出版社は赤字を出し、発売中止以上の痛手をこうむる。
ちゃんとしたシステムを取ると、出版社にとってもマイナススパイラルが発生してしまう。
だから、ゆるくなってんじゃないか。
まぁ自分に都合のいい考え方かもしれないけどね。
出版社と直接のやりとりだから、「納得いくものが書けません」「じゃあ中止しましょうか」という判断の余地がある。
でもそこに、下請け、孫受けみたいな構造が入ると、気楽なもんじゃなくなってしまい、地獄に陥る。
またオッサンの昔話なんだけど、駆け出しライターだったころの話。
多少世話になってた業界の先輩が、編プロをやってて、本1冊書く仕事を頼まれた。
それが家電品を手作りしてみようっていう、モノ作り系だった。
俺は機械はむちゃくちゃ苦手。
テレビの配線すらつなげない。
だから向いてないんだけど、向いてそうに見えたんだろう。
「大丈夫だよな、できるだろ、よし頼むぞ」と押し切られてしまった。
こっちも仕事のないライターだから、仕事を選べる立場じゃなかった。
それが地獄だった。
日刊工業新聞社のムックなど買って、調べれば調べるほど、家電品の手作りとか無理っぽかった。
たとえば浄水器。
巨大なカメを設置して、原始的な浄水器を作ればいいかと思ったら、そんなもんじゃ化学的な物質は除けない。
市販の浄水器ってのは、ハイテク糸を使ってて、それが素人が手を出せるようなシロモノじゃないんだよね。
冷蔵庫とか洗濯機とかほとんどの家電って、今はマイコン制御になってて、真の機能はそこに移っているから、もう昔の原始的な家電品とは別物だし。
飛ぶように時間は過ぎ去っていき、でもとにかく5つの家電品の作り方を書いて、1つを自作しなきゃいけない。
しょうがないから、無理やりひねり出して、書いていく。
それがボツの嵐。
「チェーンを使うならベルトドライブにしたほうが…」みたいなアイデア系から、文章にいたるまで、いくら書いてもすべてボツだった。
こっちも必死でモチベ上げて、なんとかアイデアをひねり出して仕上げてるんだが、それがすべてボツ。
社長に呼び出しくらって「お前の(文章を書く)実力は知ってるけど、こんなもんじゃないはずだ。もっと書けるはず」とお叱りを受けた。
いや、俺なりに全力でやってるんですけど…。
必死でモチベ上げて仕上げるとボツになって急降下。
また必死で気を持ち直して書くと、ボツになって急降下。
そんなロシアの拷問みたいな状態が続いた。
どんどん時間はなくなってゆき、この内容と文章じゃ駄目だけど、時間がないから、とりあえず次の章に進めとなって、ますます苦痛な展開に。
ほんと拷問だった。
そこは編プロで、出版社に対する責任として、できなかった、間に合わなかったは許されず、そのぶん俺へのしめつけも厳しかった。
何がなんでもやれと。
俺も仕事がないライターだから、食うってこういうことだよなという感じだった。
結局、5つの家電の作り方を書いたのに、俺が書いた文章は1個も使われなかった。
すべて、その水準に達してないってことで、全面的に書き換えられた。
使えないライターに依頼してしまったその編プロの人も大変だった。
1つ自作して写真を撮れって章があって、そんなの俺には絶対に無理。
できそうな知り合いもいなかった。
そこで、秋葉原に行って、道行く人に片っ端から声をかけ、日給2万で、俺と一緒にズボンプレッサーを作ってくれとスカウトを試みて、うまく学生をつかまえた。
彼と一緒に素材を買って、ニクロム線屋とか、世の中には思いもかけないもんがあるんだなーと思ったりした。
別な日に、俺の家に来てもらって、俺の4畳半の狭い部屋で一緒に作った。
狭いマンションで、別な部屋に家族は寝てるわけだけど、夜中に人を家に入れるなとか、馬鹿なことは言われなかった。
それじゃなくてもノイローゼになりそうなのに、そんなこと言われたら気が狂うわ。
夜から始めて朝には出来上がった。
途中段階から完成するまでを写真を撮った。
その章だけは自力で仕上げたから、編プロも俺を許せたのかもしれないね。
この仕事に関しては、使えなすぎるライターだったから( ̄w ̄)プッ
あとでシャープに取材に行ったとき、この自作の話をしたら、原始的すぎるとあきれられ、作る前に来たらいろいろ教えてあげたのにと残念がられた。
その本は無事発売され、40万だったと思うが金も十分もらったけど、全然売れなかったと思われる。
ずっとあとになって、電気を使わずに冷蔵庫でもクーラーでもなんでも作っちゃう人の本ってやつの編集補助をしたことあるんだが、その内容にビックリすると同時に、こういうセンスある人じゃないと、モノ作り系の売れる本は無理だなって思ったね。
この本↓
つーわけで、約束を守ることは大事だけど、形だけ守ろうとするのは意味がなく、たがいに消耗するだけ。
一番大事なのは中身だから。
という自己弁護のための昔話だったのでした( ̄w ̄)プッ
ちなみに、この仕事のあと俺は反省した。
ぶらぶら道を歩いてると変な人に声をかけられちゃうように、仕事のないライターのところには不運がやってくる。
暇そうだったのがいけなかった。
こんなことやってたら、金にもならんし、気が狂う。
んで、とある会社の契約社員に応募して、合格して就職したわ。
そっちはそっちで、やっぱリーマンは無理だってわかるんだが( ̄w ̄)プッ
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コメント
なるほど。
なにも知らずに鉄クズとか言ってすまん(= =)ウム
やっぱ福地は最高だ
福地誠のファンになって!!!!よかったーーーーーー!!!!!
投稿: ちんこラヴァー | 2013年7月30日 (火) 15時12分
なにが
「納得いくものが書けません」「じゃあ中止しましょうか」という判断の余地がある。
だよ。
お前のおかげで出版社の営業は取次店に平謝り。
担当編集者の出世の目も消えたんだぞ。
本当におめでたいですね。
投稿: | 2013年7月30日 (火) 16時00分
長いわりつまらん
投稿: 麻雀7級 | 2013年7月30日 (火) 16時17分
最近の昔話シリーズ凄く面白かったです。自分は今大学四年で麻雀や文章とはまったく関係ない業種に就職が決まっているのですが、漠然ながら将来的にスポーツ系のライター、ジャーナリスト(できればフリー)になりたいという目標を持っています。過去の記事から察するに今後も苦労の連続だったようですが、もしよかったら契約社員として入社後の話も詳しく書いてほしいです!!
お願いします!
投稿: 大学を出るけれど | 2013年7月30日 (火) 16時23分
先生の半生で一冊かけるんじゃないの?w
投稿: | 2013年7月30日 (火) 20時19分
自伝書けば売れると思う
投稿: | 2013年7月30日 (火) 22時34分
お初です。
最近ブログ読み始めました。
毎回更新楽しみにしてます。
アキバでスカウトのくだりが面白過ぎて、
電車の中でえらいニヤニヤしちゃいました。
これからも頑張ってください。
応援してます\(^O^)/
30代男性
投稿: もとっち | 2013年7月30日 (火) 23時37分
会社員の時の苦労話を書いてよ。他人が苦しんでる姿って面白いじゃんw
投稿: | 2013年7月31日 (水) 12時30分
本楽しみにしていたのにふざけんなよ
やる気ねーのなら期待させんなクズ
投稿: | 2013年7月31日 (水) 14時07分
一個前のコメントのやつみたいに自分勝手に生きてみたい。と思ってみたけど普通の人間には無理な芸当だな。
先生もいろいろ大変ですね。
先生の昔話おもしろいと思いますよ、他業種では経験できない話をわかりやすくかかれてますし。
今度はロシアの拷問の話詳しく聞きたいです。
投稿: | 2013年7月31日 (水) 15時26分
よう福地、今週末は名古屋で天鳳リアトラだな!
お前が欺かれそうになったことについてこっちのブログで書いてくれたみたいだぜ!
↓
http://ruinism.jugem.jp/?eid=173#comments
連盟プロのモラルの低さに笑ったぜ(笑笑笑)
投稿: オールスター | 2013年7月31日 (水) 20時36分
何この社会不適合者
言い訳だけつらつら並べ、結果が残せないのは社会人として最悪だわ
部下にいたらはったおすレベル
投稿: | 2013年8月 1日 (木) 00時48分