ラジオの書き起こしサイトをやってきて、ひとつだけ確信できたことがある。
おそらく、ご存知のとおり僕は今年の5月から「ラジおこし」というラジオの書き起こしサイトを運営しています。
こちらの記事にも書いたとおり、短い間ですが運営中にはほんっとーにいろんなことがありました。
ラジオの書き起こしサイト「ラジおこし」を開設して5ヶ月が過ぎたので振り返ってみる[PR] - 笑う大学生の日記
そのなかで、「ラジオ」と「書き起こし」の関係についてひとつだけはっきりと確信できたことがありました。今回はその内容について書いてみようと思います。
「テキストだとちゃんと伝わらない」
まず、書き起こしをしていると来る意見がこれ。「テキストだと話した内容が完全には伝わらない」というもの。
正直なところ、僕自身これはほんとうにそうだと思っています。
話のトーン、スピード、テンポ、大きさ、擬音の発声のしかた、微妙な間、などなど、これらは人が喋って物事を伝えるときにとても大事な要素です。
ところが、テキストにしてしまうことでそれらの表現が十分に再現できないんですね。かなり慎重に忠実に再現しようとしてもやっぱり100%ニュアンスが伝わることはまずないです。
これは本当に微妙なところで、例えば話者が笑っている場面を再現しようとしても「(笑)」と「笑」と「w」でもちょっとずつ違うんですね。それくらい難しいことなんです。
そして、この「間」とか「テンポ」とか「スピード」とか、しゃべりにおいてこれをめちゃくちゃ重要視するジャンルがあるんですね。そう、深夜のお笑い芸人のラジオです。実のところ、最初に挙げたような書き起こしへの批判的な意見の99%が深夜ラジオが対象となっていました。
一方、マジメな番組ではそうじゃなかった
その一方で、最新情報とか、地方での先進的な取り組みを扱ったような堅い内容のラジオではそんな批判はほとんどありません。記憶しているなかでは、一度もありませんでした。
「同じラジオ番組なのに、どうしてこうも反応が違うんだろう?」、と僕は頭を悩ませていました。ここさえクリアして、最終的に各局と書き起こしの提携ができたら「ラジオ書き起こし」がひとつの文化になるんじゃないか?、本当にそう思っていました。
ところが、割りと簡単に分かったんですね。
マジメな内容の番組は、深夜のお笑いラジオにおいて重要視されるポイントがそれほど影響しないんです。つまり、間とか、テンポとか、スピードとか、ぶっちゃけリスナーにとってみればどうでもいい、ってことなんですよね。
これは目からウロコでした。
つまり、「ラジオ番組」と「深夜ラジオ」はまったく別物
つまり、広義の「ラジオ番組」とお笑い芸人による「深夜ラジオ」を同じものとして捉えても意味がない、ということです。ラグビーとアメフトくらいの違い、と言ったらわかりやすいでしょうか。
もちろん、フォーマットとしての「ラジオ」という意味では全部ラジオです。
けれど、放送の質と求められている内容にフォーカスしたときに、それらを一緒くたにしてしまうとおかしなことになってしまうんですよね。
同じラジオの書き起こしをしても、深夜のお笑いラジオにだけ「ニュアンスが100%伝わらない」という批判がくるということは、まさにそういうことなのだと思います。
まとめると
ラジおこしの存在に関係なく、もし今後ラジオ局が一斉に「書き起こしやろーぜ!」的なムーブメントが起こるとすると、どうかこの点にだけは注意してもらいたいな、と思います。
それだけ、お笑いラジオの書き起こしはいろんな制約があるので難しいということですね。
「ラジオの書き起こし」に関してはかなりいろんな意見がありますが、当事者として経験しているのでこれはおそらく間違いないはずです。
もっとも、「真意が伝わらない部分もある」という事実を差し引いても、僕はお笑いラジオの書き起こしはおもしろいと思いますけどね、今でも。