「VMware View 4で仮想デスクトップの取得コストが劇的に下がる」米VMwareゴールドフェイン氏


 「年内にリリースを予定している次期デスクトップ仮想化製品では、初期取得コストが高いという課題の打開策を示すことができるだろう」、そう語るのは、米VMware デスクトップ事業部門担当バイスプレジデントのジョセリン・ゴールドフェイン氏。プレス向けセッションに出席したゴールドフェイン氏に、仮想デスクトップの現状および今後の展開などを伺った。


―仮想デスクトップ市場の現状について、お聞かせください。

米VMware デスクトップ事業部門担当バイスプレジデントのジョセリン・ゴールドフェイン氏

ゴールドフェイン氏
 仮想デスクトップ市場はまだまだ新しい市場です。VMwareがサーバー仮想化に取り組み始めたのが2000年で、仮想デスクトップは2006年からです。成熟市場となるには、まだ時間がかかるとおもいます。

 利用企業の動きを見てみると、セキュリティやコンプライアンス対応という目的で仮想デスクトップの利用が始まりました。利用領域もコールセンターといった限定的なものです。おもしろいのは、これらの企業がデスクトップ仮想化導入後に、コスト削減にも有効であると気づいた点です。管理コストや運用コストだけでなく、ヘルプデスクにかかるコストも削減できたのです。

 この結果、仮想デスクトップはTCO削減の有効な手段として注目が集まりました。それが現在です。新しいテクノロジーに慎重な日本企業でも、仮想デスクトップを採用しています。

 今後は、サーバー仮想化がクラウド化の方向に進んでいるのと同様に、仮想デスクトップもクラウドの世界に進んでいくことでしょう。


―仮想デスクトップは、サーバー仮想化とは別に導入するケースが多いのですか?

ゴールドフェイン氏
 さまざまです。ほとんどの企業はサーバー仮想化を経験しています。実際にサーバー仮想化を利用してみて、メリットを感じられた企業が仮想デスクトップの導入に踏み切っています。

 その際、余ったリソースを仮想デスクトップに割り当てる企業もありますし、新たに仮想デスクトップ環境用にシステムを構築する企業もあります。運用面でみると、サーバーもデスクトップも同じ管理チームが担当していますね。


―仮想デスクトップに関心を示している企業がある反面、導入しない企業もまだまだ多いとおもいます。導入しない理由をどのようにみていますか?

ゴールドフェイン氏
 3つの要因があるとおもいます。

 一つ目は、取得コストの問題です。仮想デスクトップは運用し始めるとトータルコストを削減しますが、初期導入時のコスト負担が大きいのが現状です。

 これに関しては、次期バージョンのVMware View 4で打開策を示します。

 二つ目は、利用者にとってパフォーマンスが十分ではないとおもわれている点です。仮想デスクトップは、クライアントPC相当のユーザーエクスペリエンスが得られないとおもわれています。

 これは、新しい転送プロトコル「PCoIP」とクライアントハイパーバイザー「VMware Client Virtualization Platform(CVP)」で解決できます。PCoIPを利用することで、動画やCADなどのグラフィックスをネットワーク経由で利用することができます。CVPはクライアントPC上で仮想マシンを動作させるもので、クライアントPCと同等のユーザーエクスペリエンスが得られます。

 三つ目は、仮想デスクトップ導入による複雑さへの拒否感です。新しいシステムを導入することで、ユーザーの環境を移行するなど、さまざまな負担が発生します。

 これに関しては、Windows 7の登場が大きなチャンスになるとみています。いつまでも同じデスクトップを使い続けるわけにはいかないので、Windows 7へ切り替えるときに仮想デスクトップを選択するきっかけになると期待しています。


―VMware View 4では、戦略的な価格設定がなされるのですか?

ゴールドフェイン氏
 発表前の製品ですので、その点については明言できませんが、わくわく感が得られるとおもってください。

 取得コストについて補足させていただくと、ソフトウェア以外にサーバー、ストレージ、シンクライアントが別途必要になるのも重要なポイントです。しかし、それぞれの取得コストも削減傾向にあります。

 サーバーに関しては、Xeon 5500番台など新しいプロセッサの登場により、仮想マシンの集約率が向上しています。集約率が高まれば、全体のコストが下がることになりますね。

 ストレージに関しても、仮想デスクトップを意識した製品が登場してきています。例えば、重複排除機能を備えたものであれば、ストレージ容量の軽減につながります。また、SSD採用により、高速性を高めるといった製品もあります。

 シンクライアントに関しては、製品価格が下がっているほか、既存のPCをシンクライアント化するソフトウェアもシンクライアントベンダーから提供されています。古いPCをシンクライアントとして使えば、取得コストの軽減につながります。


―VMware View 4によって、仮想デスクトップ導入を加速させるということですね。

ゴールドフェイン氏
 その通りです。vSphere 4との組み合わせにより、大幅に機能が強化されています。また、PCoIPの採用によって、グラフィック性能を高めています。試験サポート中のオフラインでの利用については、来年にもフルサポートする予定です。そして、CVPが来年に登場しますので、環境は整います。

 取得コストに関しても、トータルでみれば劇的に下がっています。年内にリリースするVMware View 4を期待してください。





(福浦 一広)

2009/10/21 14:37