王様の耳そうじ

　
あるばん　あひるさんが　とかいへ　つれていってくれた

　

「ずいぶん　たかいねえ」

　

「これは　ばべるの　とう　っていうのさ」

　

「ばべるの　とうでは　なんでも　たかいのさ」

　

「ふーん」




　

「これは　ばべるの　はなだよ」
　

「ほんとに　たかいねえ」

　
　

「それほどでも　ないさ」

　

「これは　いったい　なに？」

　
「たかいところを　あるく　れんしゅうを　しているのさ」

　
　

「なんだか　おっかないなあ」
　
　
　
「ばべるの　ひとは　なにかと　たいへんなのさ」

　
　

「あ　あれは・・・」

　
「たかい　いぬさ」

「あ　あそこにも・・・」

　

「むかしの　ばべるの　とうだよ」

　

「きれいだね」
　

「たかい　からね」

　
　

　

「なんだか　ばべるの　とうは　つかれるなあ」

　
　
「それなら　ひなびた　とかいへ　いこう」

「ここが　ひなびた　とかいだよ」

　
「ふーん」

「ほら　ひなびた　ひとたちだよ」

　

「ほんとだ」

　

　

「あ　かっぱくん　こんなところに・・・」

　
　

「・・・」

　

「かっぱくんは　あまり　ひなびてないね」

　
　

　

「あ　あれは・・・」

　
「さんたくろーすが　　おきわすれた　ふくろさ」

　
　
　

　
　
　

　
「さんたくろーす　って　わすれっぽいんだね」

　
「おじいさん　だからね」

　
　
　
　
　

「このなか　ぷれぜんとが　はいっているのかな？」

　
「ちがうよ」

　

「じゃあ　なにが　はいっているの？」

　
「さんたくろーすは　ひとから　あつめた　わるいものを　ふくろに　つめて　もってかえるのさ」

　
　

「わるいものって？」

　

　
「あいつは　ゆるさん　とか　ぼくは　もうだめだ　とか　そういう　きもちさ」

　
「ふーん」

　
　
　

　

「そういう　わるいものを　ぬすむのが　さんたくろーすの　しごとなのさ」

　
「さんたくろーすって　どろぼう　だったんだね」

　
「だから　この　ふくろは　あけちゃ　だめだよ」

　
　
　
　

　

　

「どうして　さんたくろーすは　そんなものを　ぬすむの？」

　
　
　
「そうすると　よのなかが　きれいに　みえるように　なるからさ」

　
　
「ふーん」

　
「それが　さんたくろーすの　おくりものなのさ」

　

　

　
　
　

　

「きれい　だねえ」

　
　

「さんたくろーすの　おかげさ」

　
　
　

　

〈おわり〉
　
　
　
　

おまけ