ファーストインプレッション

ライカM

 3月20日の発売が決まった「ライカM」をライカカメラジャパンからお借りできたため、外観とメニュー画面の写真を中心にお届けする。ベータ機のため、製品版とは細かな仕様が異なる可能性をお含み頂きたい。製品版を使用した詳細なレビューは後日掲載する予定だ。

 ライカMは、ドイツのカメラ見本市「フォトキナ2012」開幕前夜の9月17日(現地時間)にお披露目されたM形ライカの最新モデル。伝統的なM型ライカの意匠を引き継ぎつつ、機能面でより現代的なアップデートが行なわれている。

 ライカ判(35mmフルサイズ相当)の撮像素子を搭載するのはライカM9、M9-PおよびM9がベースの「ライカM-E」(現行モデル)と同様だが、ライカMではCCDセンサーに代わってCMOSセンサーを採用。ライブビュー撮影や動画記録も可能になった。

 今回は試せなかったが、純正オプションのマウントアダプターと外付けEVFを用いたライカRレンズ資産の活用もアピールしている。外付けEVFはブライトフレームの対応外となる広角レンズなどでの正確なフレーミングにも寄与するという。

 有効画素数は1,800万から2,400万に増加。感度は通常のISO200-3200に加え、拡張でISO100-6400も設定可能。シャッター速度の下限、ISO感度の上限を設定した感度オートも利用可能だ。

 3型92万ドットに大型・高精細化した背面モニターは、従来の2.5型23万ドットからは大幅に利便性が向上。撮影後のピント・ブレの確認だけでなく、そのまま他人に再生画面を見せても写真のイメージが伝わりやすくなった。視野角が広がったのも嬉しい。

 液晶モニターの大型化に伴い、背面のダイヤルは背面右上に移動した。撮影画像の拡大やメニュー選択など、割り当てられた機能はほぼ従来通りだ。サムグリップを兼ねたような形状がスマートで使いやすく、ボディの剛性感と相まって右手での取り回しが心地良い。

構えたところ
ダイヤル部分がサムグリップのように機能する

 シャッターボタンは「測光ON・AEロック・レリーズ」の3段階から「AEロック・レリーズ」の2段階に変更。レリーズ段のストロークがコンパクトカメラのように浅くなり、ソフトレリーズを付けなくても人差し指の腹や関節部分で容易に押すことができた。シャッターは縦走りのフォーカルプレーンで従来のM型デジタルと同じだが、チャージが速くなったことで静穏性のためにシャッターチャージの動作をレリーズと分離する「分離チャージ」モードがなくなった。

 撮影後の処理速度が向上しているのもメジャーアップデートを感じたポイントだ。続けて3コマ程度を撮影しても、さほど待たされることなく画像再生に移れる。DNG記録のみに設定するとスムーズに撮影できるのは従来モデルと同様の印象だ。

 今回は標準レンズ「SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH.」を一緒にお借りし、試写も行なった。記事末にいくつか実写サンプルを用意したが、ライカMに対応済みのRAW現像ソフトが手元にないため、同時記録JPEGを掲載している。1点だけ、参考までにアップル「Aperture 3」でDNGから現像したものも掲載している。

外観

Mの文字の右下に新設されたボタンは、ライブビュー時のフォーカスアシスト(ピーキング表示、拡大表示)を呼び出すほか、押しながら背面ダイヤルの回転で露出補正が行なえる
ホットシューは外付けEVFや外部マイクアダプターを利用するための端子も備えた
ベースプレートを開けたところ。バッテリーがボディ幅いっぱいに大型化しているのが特徴的
(参考)ライカM9などのバッテリー(右)と比較
付属のチャージャーは赤バッジが印象的。80%充電のインジケーターも備える
(参考)フレームライン色:白
(参考)フレームライン色:赤
ブライトフレームがLED式になり、ボディ前面から採光窓がなくなった。ファインダー倍率は0.68倍でM9と同じ

画面

・撮影時

方向キー中央の「INFO」を押したところ。バッテリー残量や記録可能枚数といったステータスを一覧表示する

・SET画面

SETボタンを押すと現れる、クイックメニュー的に撮影設定を変更できる画面
オートISOの上がりかたと上限を選べる
ホワイトバランス設定
記録画質
SETメニューの設定(プロファイル)を保存・管理する画面

・メニュー

レンズ検出はマニュアル選択も可能。6bitコード採用以後に発売されたレンズはメニューにない
撮像素子を使った「アドヴァンスド」測光が用意された
測光モードを選ぶ項目
JPEG出力画像の各種設定は5段階に選べる。デフォルトは「中」
オートブラケット機能の設定画面
フィルムモードの選択画面。デフォルトはOFF。色味が変わる
「白黒」を選んだところ
白黒→「コントラストフィルター」を選んだところ
白黒→「モノクロ色調」を選んだところ
液晶モニターの輝度設定。照度センサーを用いた「オート」も利用可能
クリッピング警告のしきい値を選べる
著作権情報を入力可能
画像番号の変更やフォルダ作成も行なえる
動画記録時の音声入力設定
「マニュアル」のプレビュー画面
風音低減も利用可能
日時はオプションのGPS内蔵ハンドグリップで受信したGPSデータを利用することもできる

・ライブビュー画面

通常画面
ボディ前面に新設されたFOCUSボタンで中央拡大が可能
ボディ上部に新設された「M」ボタンで動画記録を開始

・再生画面

通常時
ヒストグラム表示
ヒストグラム(RGB)表示
背面ダイヤルで拡大したところ
撮影情報を表示
画像のプロテクトはSETボタンで呼び出す

実写サンプル

  • ・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
  • ・画像はベータ機での撮影です。画質が製品版とは異なる可能性があります。

  • ・特に記載のないものは、RAW+JPEG同時記録の「JPEG fine」を掲載しています。
  • ・絞り値はExifデータをそのまま引用しているため、実際にレンズ側で設定した絞り値と異なる場合があります。

    LEICA M (Typ 240) / SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH. / 約15.4MB / 5,952×3,968 / 1/180秒 / F8 / ISO200 / 50mm
    LEICA M (Typ 240) / SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH. / 約10.8MB / 3,968×5,952 / 1/125秒 / F1.7 / ISO200 / 50mm
    LEICA M (Typ 240) / SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH. / 約8.5MB / 5,952×3,968 / 1/250秒 / F1.4 / ISO200 / 50mm
    LEICA M (Typ 240) / SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH. / 約10.2MB / 5,952×3,968 / 1/750秒 / F5.6 / ISO200 / 50mm
    LEICA M (Typ 240) / SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH. / 約8.4MB / 3,968×5,952 / 1/360秒 / F4 / ISO200 / 50mm
    LEICA M (Typ 240) / SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH. / 約7.4MB / 5,952×3,968 / 1/125秒 / F2.4 / ISO400 / 50mm
    (参考)Aperture 3でストレート現像。LEICA M (Typ 240) / SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH. / 約9.7MB / 3984×5968 / 1/125秒 / F13 / ISO200 / 50mm
    同時記録JPEG。LEICA M (Typ 240) / SUMMILUX-M f1.4/50mm ASPH. / 約15.0MB / 3,968×5,952 / 1/125秒 / F13 / ISO200 / 50mm
  • 本誌:鈴木誠