org-capture 〜Emacs + org-modeで素早くメモをとる新しい方法〜

emacs

【Emacs本を書きました】

ここでは、Emacsでメモをとる最新の方法を紹介します。

org-modeバージョン7系列リリース

7/19に org-mode 7.01がリリースされました。 長い6.xx時代が終わり、ついにメジャーバージョンアップしました。 細々なリリースが続けられています。

次世代メモ書きツール org-capture

去年初頭にorg-rememberというメモ環境構築を紹介 しましたが、org-captureという、より洗練された方法がデフォルトになりました。

org-rememberの方も存続しているので、無理に乗り換える必要はありません。 org-mode自体がEmacs標準添付になっていて、添付版のorg-modeはやや古いため、あと数年ほどはorg-rememberユーザがいると思われます。 新しいもの好きな人は、是非とも乗り換えてみましょう。

メリット

org-rememberでは、remember.elが作成する一時バッファをorg-modeにして、所定の場所に書き込む程度でした。 対して、org-captureはファイルに直接書き込む方式になったため、ファイルの内容に則した処理が行えるようになりました。

  • 任意のツリーにメモを置くことができる
    • org-rememberではレベル1の見出しとファイルの先頭・末尾のみ
  • 現在計時中（clock-inしている）タスクのメモを書くことができる
  • 設定次第でメモを置く場所のまわりを見ることができる
  • 表の行を追加・編集することができる
  • 年・月・日の見出しを自動作成し、日記のようなファイルを作成できる

デモンストレーション

org-captureは多機能なので、言葉で説明するよりも実際に動かしてみるとよくわかります。

以下のコードを評価してください。

(require 'org-capture)
(defun org-capture-demo ()
  (interactive)
  (let ((file "/tmp/org-capture.org")
	org-capture-templates)
    (find-file-other-window file)
    (unless (save-excursion
              (goto-char 1)
              (search-forward "* test\n" nil t))
      (insert "* test\n** entry\n"))
    (other-window 1)
    (setq org-capture-templates
	  `(("a" "ふつうのエントリー後に追加" entry
	     (file+headline ,file "entry")
	     "* %?\n%U\n%a\n")
	    ("b" "ふつうのエントリー前に追加" entry
	     (file+headline ,file "entry")
	     "* %?\n%U\n%a\n" :prepend t)
	    ("c" "即座に書き込み" entry
	     (file+headline ,file "entry")
	     "* immediate-finish\n" :immediate-finish t)
	    ("d" "ナローイングしない" entry
	     (file+headline ,file "entry")
	     "* 全体を見る\n\n" :unnarrowed t)
	    ("e" "クロック中のエントリに追加" entry (clock)
	     "* clocking" :unnarrowed t)
	    ("f" "リスト" item
	     (file+headline ,file "list")
	     "- リスト")
	    ;; うまく動かない
	    ("g" "チェックリスト" checkitem
	     (file+headline ,file "list")
	     "チェックリスト")
	    ("h" "表の行" table-line
	     (file+headline ,file "table")
	     "|表|")
	    ("i" "そのまま" plain
	     (file+headline ,file "plain")
	     "あいうえお")
	    ("j" "ノードをフルパス指定して挿入" entry
	     (file+olp ,file "test" "entry")
	     "* %?\n%U\n%a\n")
	    ;; これもうまく動かない
	    ("k" "ノードを正規表現指定して挿入" entry
	     (file+regexp ,file "list")
	     "* %?\n%U\n%a\n")
	    ;; 年月日エントリは追記される
	    ("l" "年/月/日のエントリを作成する1" entry
	     (file+datetree ,file))
	    ("m" "年/月/日のエントリを作成する2" item
	     (file+datetree ,file))
	    ("o" "年/月/日のエントリを作成する prepend" entry
	     (file+datetree ,file) "* a" :prepend t)))
    (org-capture)))
(global-set-key "\C-x\C-z" 'org-capture-demo)

M-x install-elisp http://www.rubyist.net/~rubikitch/junk/2010-07-28-104637.org-capture-templates.el

でダウンロード・インストールできます。

C-x C-zにorg-captureコマンドを割り当てています。

すると、次のようなメニューが出てきます。 該当するキーを押せばCAPTUREバッファが登場します。 header-lineに説明があるように、C-c C-cを押せば所定の位置にメモを格納します。



Select a capture template

=========================
[a]     ふつうのエントリー後に追加

[b]     ふつうのエントリー前に追加

[c]     即座に書き込み

[d]     ナローイングしない

[e]     クロック中のエントリに追加

[f]     リスト

[g]     チェックリスト

[h]     表の行

[i]     そのまま

[j]     ノードをフルパス指定して挿入

[k]     ノードを正規表現指定して挿入

[l]     年/月/日のエントリを作成する1

[m]     年/月/日のエントリを作成する2

[o]     年/月/日のエントリを作成する prepend
                                                                                                                                                            • -

[C] Customize org-capture-templates
[q] Abort

このデモンストレーションの目的は、メモがどのように格納されるのかを示すためです。

設定

最初から使う

デモンストレーションの後、実際に使ってみるには、org-capture-templates変数を設定します。 具体的にはこんな設定になると思います。 C-c cでorg-captureを実行するようになっています。

;; (save-window-excursion (shell-command (format "emacs-test -l test-minimum -l %s %s &" buffer-file-name buffer-file-name)))
(require 'org-install)
(setq org-startup-truncated nil)
(setq org-return-follows-link t)
(add-to-list 'auto-mode-alist '("\\.org$" . org-mode))
(setq org-directory "~/memo/")
(setq org-default-notes-file (concat org-directory "agenda.org"))
(setq org-capture-templates
      '(("t" "Todo" entry
         (file+headline nil "Inbox")
         "** TODO %?\n   %i\n   %a\n   %t")
        ("b" "Bug" entry
         (file+headline nil "Inbox")
         "** TODO %?   :bug:\n   %i\n   %a\n   %t")
        ("i" "Idea" entry
         (file+headline nil "New Ideas")
         "** %?\n   %i\n   %a\n   %t")))
(global-set-key (kbd "C-c c") 'org-capture)

org-rememberから乗り換える

org-rememberからの乗り変えパスも用意されています。 M-x org-capture-import-remember-templates を実行し、2回yを押します。 すると、org-capture-templatesが設定されます。 あとはC-c c Cでカスタマイズ画面から保存するなり、C-u M-: org-capture-templatesでorg-capture-templatesの値を.emacsに貼り付けてください。

詳しい設定

org-capture-templatesの細かい仕様については、 <f1> v org-capture-templates あるいは、C-c c Cで表示される説明をどうぞ。