サイモン・シン、エツァート・エルンスト:代替医療のトリック

代替医療のトリック

代替医療のトリック

鍼やホメオパシー、カイロプラクティック、そしてハーブ治療と、いわゆる「代替医療」と呼ばれるものたたちがほんとうに効果があるのか、主にいままでに行われてきた研究の研究(メタ研究)をレビューすることによって議論し、そしてほぼブラセボ効果がないと結論づけた上で、代替医療の持つ本質的な問題を議論したもの。


ここで取り上げられた代替医療のうち、「ホメオパシー」はもちろんプラセボ効果以上のものはないとは知っていましたが、鍼治療には、ある範囲においては主流的な医療と同程度の、そしてそれいがいにはまったく効果がないこと、またハーブ治療の一部は主流的な医療に取り入れられるまでの効果があるものの、それ以外は効果が無く、むしろ健康被害を引き起こすという議論は、それ自体が極めて刺激的でした。またカイロプラクティックには、重大な健康被害をもたらす恐れのある施術方法があるなど、なかなか勉強になりました。しかし、本書の議論は、このような代替医療が「効かない」または「主流医療と大差ない」ということを示すことにあるわけでは無いように思います。むしろ、代替医療におけるプラセボ効果の意義をどこまで認めるのか、その一点にあるように思われます。

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