レスター伯の限界

気付いたらVtuberになってた

「ストリーミング時代の新たなスポーツ中継」 ―ニコ生RTAのすすめ―

 最近帰宅するとまずTVをつけるという動作の代わりに、

 お気に入りのニコニコ生放送(ニコ生)にアクセスするようになってきました。

 ニコ生はTV感覚で流し見するのに向いてると思いますが、

 僕はその中でもドラクエシリーズのRTA生放送を毎日のように見ているので、

 今回はDQRTAを中心にニコ生RTAの魅力を紹介してみようと思います。


1.RTAの定義

 そもそもRTA(リアル・タイム・アタック)とは何ぞやということですが、

 一言でいえばゲームをどれだけ早くクリアできるかを競う一種のゲームを使った競技です。

 ゲームクリアのスピードを競うといえば一般的にはTASの方が有名だと思われますが、

 ニコニコ大百科のRTAの項目にもあるように両者は似て非なるもので、

 TASがツールを使って、理論的な最速値が得られるまでなんども繰り返すのに対して、 

 ゲームのスイッチを入れてから、ED画面に到達するまでの純粋な経過時間を競うのがRTA。

 なので、途中で尿意を催してトイレに行ってしまったらその時間もタイムに加算される等、

 その意味でリアルなタイムを競う、非常に人間臭い競技だと言えるでしょう。

 とはいえ、その記録は人外としか言い用のない速さで、

 例えばDQ3の場合には3時間かからずにクリアしてしまいます。

 ニコ生RTA記録Wiki


2.RTAとニコ生の親和性

 元々RTAのメインフィールドとなっていたのはピアキャスだったそうですが、

 双方向性とリアルタイム性に優れたニコ生の方へとプレーヤーは徐々に移ってきました。

 リアルタイム性だけなら、UstreamやStickamなどでも配信は行えるわけですが、

 リアルタイムにコメントでやり取りできるという点にニコ生の強みがあります。

 単純にスピードを競うだけならUstreamでも問題はないわけですが、

 プレーヤーとリスナーが盛り上がるという観点から見ればニコ生の方が圧倒的に優位。

 つまり、RTAはニコ生にフィールドを移すことで単なるスピードを争う競技としてだけでなく、

 野球中継のようにリアルタイムで見て楽しむ競技としての性格も強めるようになったわけです。

 また、RTAの場合は運要素が強く、プレーミスとそこからのリカバリーも見せどころなので、

 リアルタイムに配信して、それにリアルタイムにツッコミが入れられるという意味でも、

 ニコ生はRTA向きの環境だといえるでしょう。


3.ニコ生の文脈で生まれた新たな魅力

 RTAはニコ生において選手と観客が一体になって楽しめるコンテンツとなったわけですが、

 具体的にニコ生ならではの面白さとは一体どこにあるのでしょうか。


A.記録達成時の盛り上がり

 新記録が出そうになると、どこからともなく大量のリスナーが枠を訪れてきます。

 他のRTA放送でのタレこみや、コメント数の上昇によるチクランへの掲載などによって、

 多い時にはアクティブで500人〜1000人以上のリスナーが集まり、

 記録達成なるかどうか固唾をのんで見守ります。

 そして記録が出た際には、「おめでとう弾幕」で画面が映し出され、

 リアルタイムに感動が共有されます。


B. ゲーム実況文化の影響とニコ生RTA独自の文化

 最近のニコ生RTAの場合、多くのプレーヤーがマイクを使って喋りながらプレーするようになってきました。

 喋りの内容も単純にゲームの解説だけにとどまらず、たわいもない日常会話から、

 モノマネやネタの披露、さらにはコメントを通じたリスナー・プレイヤーいじりまで、

 全くゲームに関係ないトークで盛り上がることも多々あります。

 ここら辺はフリーダムなニコ動のゲーム実況のノリが多分に反映されていると思いますが、

 ニコ動のゲーム実況にはないニコ生RTA独自の面白さもあります。

 それが端的に表現されているのが、DQ3RTAおなじみの「茶番芸」です。

 DQ3現世界記録保持者のhiro氏が発祥源なのですが、以下のような茶番が毎日繰り返されます。


 a. バラモス(表ボス)を倒し、「よっしゃー、世界出た!と歓喜する」 

もちろんバラモス後に、ゾーマ(裏ボス)がいるのでこの段階で世界記録より早いのは当然。
 
 b.アリアハンに戻り王様の歓迎を受けているところにゾーマが出現。

  「えっ、こいつ何、怖い。一体、世界はどうなってしまうんだーっっ!!」と絶叫


 c.茶番が終わると、リスナーと一緒に「あらたーす( ´◔∀◔`)ゞ」のコメントで締める

 なお、茶番にコメントで参加すると、報酬として大体7000円から9000円が振込まれます(笑)

 実際にニコ生で見ていると、こういう茶番がなんか楽しくてついついコメントしてしまう。

 この巻き込まれ感も、なんとなくTVで野球を見てて応援しちゃう心理に似ています。

 こうした双方向のコミュニケーションは、ゲーム実況動画にはないニコ生ならではの醍醐味といえるでしょう。


4. 並走文化・イベントの開催による祝祭性

 ここまでは個々のRTA生主の放送内容の特徴について触れてきましたが、

 ニコ生DQRTAの場合には、並走や駅伝という特殊文化も盛り上げに一役買っています。

 並走では複数のプレーヤーが同時にスタートをして誰が一番早くクリアできるか競います。

 元々は他の生主が勝手に並走するという形式が一般的でしたが、

 最近では初めから示し併せて並走する形式の方が盛んになってきています。

 その結果、プレーヤーの多いDQ3ã‚„DQ5の場合には「並走部」なるコミュニティーが創設され、

 部員たちは並走しながら毎晩DQを2周3周とクリアしていくわけです。

 ちなみに並走の様子は別の生放送枠でミラーされるケースが多く、 
 10以上のゲーム画面が並んでいるカオスな放送を見かけることも少なくありません。

 
 また、駅伝とはシリーズゲーを複数人の走者でリレーしながらクリアしていく企画である。

 ちっく氏の主催で行われるDQ駅伝は、FF駅伝と並ぶ一大イベントとなっており、

 毎回20名前後のプレーヤーと10人近いスタッフによって運営され、

 毎回約40時間ぶっ続けでDQを走る様子がニコ生で放映されています。

 最新の第六回の閉会式には1時間枠に6000人以上のリスナーが訪れており、

 まさにニコ生回の箱根駅伝とでも言うべき一大イベントになってきているといえるでしょう。

 
 興味深いのは並走にしても駅伝にしても長距離走に例えて表現されることです。

 DQRTAではプレーヤーのことを「走者」、

 RTAをプレーすることを「走る」と表現することが慣例化されており、

 プレーヤーたちは長距離走者と同じように、

 まるで自分たちに厳しい修行を課しているかのごとく黙々と毎日走り続けるのです。


4. ニコ生RTAの今後の展望

 以上、DQを中心としたニコ生RTAの魅力について紹介してましたが、

 最後にニコ生RTA界の今後を展望して観たいと思います。

 すでにニコ生に於いてRTA放送は一定の地位を確立したといえるでしょう。

 チクラン上位に常に顔をのぞかせるhiro氏を始めとして、

 人気走者の枠には常時数百人単位でリスナーが集まってきます。

 その結果、ニコ生でRTAを始める初心者プレーヤーの数も増え続けています。

 また、どうしても放送時間が長時間に渡るため、

 予約や延長に金を惜しまずつぎ込むRTA生主が多いのも特徴の一つで、

 ニコ動の運営としてもありがたい存在であるといえるでしょう。

 *最近ニコ生宣伝が導入されましたが、RTA界隈でもお布施は盛んに行われています。


 このようにニコ生RTAの将来は明るいように見える一方で、

 当然の用に負の側面も存在しています。

 例えば

 ・RTA主間での格差の拡大(リスナー数、記録数ともに) 
 ・ニコ生文化に馴染めないベテランRTA走者
 ・プロリスナーの出現(理不尽なコメントや指図を好き勝手に行う)
 

 ただし、こうした負の側面も飲み込んでしまうだけの勢いが今のニコ生RTA界隈にはあります。

 ですので、みなさんも是非好きなゲームのRTA生を一度見てはいかがでしょうか。

 作業しながらなんとなく放送を眺めるもよし、

 昔苦戦したゲームがありえない速度でクリアされていく様子に唖然とするもよし、

 ゲームをつまみに生主とトークを楽しむもよし、

 茶番弾幕に参加してなんか高揚するのもよし、

 色々な楽しみ方が出来る空間が、ニコ生RTAというフィールドには存在しています。


おまけ:個人的におすすめのDQRTA生主
 ・hiro氏:ドラクエ3の世界記録保持者にして、元祖茶番の底辺芸人。
  時間帯に関係なく奇声を発したり、大声で歌ったりするので音量注意w
  ちなみに併走部員相手にDQ3を一日7週したこともあるリアルタフガイ

 ・ぺけぽこ氏:元祖DQ3の世界記録保持者。
 最近はあまりニコ生では走らないが、そのDQRTA技術は未だ衰えず
 

 ・ふな氏:並走部の部長にして、ええ声でエロトークを繰り広げる関西人。
  トークと同様、最近は安定して速いタイムを出してる印象

 ・Squika氏:ぷよぷよの全国レベルのプレーヤーにして、DQ3の前世界記録保持者。
  たまにやるぷよぷよ放送ではhiroを逆にボコるw

 ・ビッグバード氏:BBこと、DQRTA界の汚れ芸人。今日もコメントでいじられる。 
 ・KID氏:DQ1−6までオールマイティに走る。たまに助手と称する女の子をスカイプに呼んでハーレム放送を行う
 ・まひる氏:DQ1・2のニコ生二冠王。若手理論派東大生


 追記:駅伝コミュに次回のDQ駅伝の告知が来てました。

 次回は12月17日(金)21時開幕で、大体19日(日)の午前中までといった感じでしょうか。

 その時間暇な人はぜひ見てみるといいですよ。すげー楽しいですから。

 それと同時に、10月14日まで参加者を募集しているようなのでそちらも合わせて。

 RTAやったことない人でも参加は歓迎だそうですし。 
 

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