QUMAと未踏の話

みなさんもうQUMAの動画はみましたか?日本のベンチャーが開発し、英語のプレスリリースがないにもかかわらずすぐにThe Washington Postなどで取り上げられたあのQUMAですけど。

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QUMAの衝撃が世界各地に広がっていくのが観察できて面白いからTwitterでQUMAを検索して眺めていたんですけども、そしたらこんな発言を見つけました:

QUMAは、元々ハッカーズカフェで知り合った西尾さんから紹介された人が企画してたので、ハッカーズカフェ発祥と言ってもいいと思うの。
http://twitter.com/#!/doodoo_jap/status/94392093094576128

これ本当です。モノが出来るまでには当事者しか知らない長い歴史があるもので、その事実ひとつひとつを大切にしたいと思います。
http://twitter.com/#!/3DGAN/status/94416327518846977

いやはや、まさか自分が言及されるとは思ってませんでした。僕は部外者なのにそんなことを言っていただけてありがとうございます。確かに思い出してみれば、3D-GANに未踏OBたちでぞろぞろと遊びに行ったときに、案内をしたのは僕でした。もう3〜4年前のことじゃないかな。あれは秋葉原で未踏ユースの成果報告会の後だったかな。

でもそういう意味で言うなら、企画した久池井君と僕が出会ったのは、IPAの未踏事業のおかげです。IPAは、未踏採択者の間でネットワークを作るために、採択者を一箇所に集めて宿泊させる「ブースト会議」を行ってきました。そして「採択年度をまたいだパスをつくろう」という目的でブースト会議にOBを参加させてきました。もしブースト会議がなければ、ブースト会議にOBの僕や久池井君が呼ばれていなければ、この二人が知りあうことはなかったのです。雑談の中で久池井君がQUMAプロトタイプの関節を作るために3Dプリンタを使いたいってのを知って「それならすぐそこに3D-GANってのがあるよ」って言うこともなかったのです。開発メンバーにも未踏で知り合ったすごい人たちがたくさんいます。未踏がなければ、彼らが出会うこともなく、QUMAが完成することもなかったでしょう。

僕が未踏に参加してからもう10年くらいが経ちます。当時の僕はネットワークづくりがこんなに重要だとはわかっていませんでした。でも、根のように張り巡らされたネットワークがあってこそ、プロジェクトは大きな樹に育つことができるんだなと思います。日本発、世界に誇れるプロダクトを生み出すために、IPAが今まで未踏事業を続けてきてくれたことに感謝です。事業仕分けで途絶えなくて本当によかった。そしてセキュリティ&プログラミングキャンプという形で、未踏よりさらに5年ほど若い人達のネットワークを編み上げるプロジェクトに参加させてもらえてとても幸せです。彼らは未踏をした時の僕より5年若いのだから、15年くらいの長い目で見ないと成果がわかりにくいかもしれません。それでも、こういうプロジェクトを継続していくことはとても重要なのです。

もう、「組織の中に自分がいる」という考え方ではなく、「自分と他人の間にコミュニティがある」という時代なのかなと思います。そしてこういうコミュニティを介して人がつながりあって、価値を生み出すネットワークができあがるのではないでしょうか。
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そんなコミュニティを作るチャンスの一つ、未踏事業。先週から新しい人の公募が始まってますよ!ぜひ挑戦してみてください!情報処理推進機構:未踏:未踏IT人材発掘・育成事業