再びライフハッキング

ライフハッキングに関してコメントをいただいたので、なんの脈絡もなくwired.comのこの記事を適当に訳しておく。

ライフハッキングとはなんですか? コンピュータをハッキングするようなものですか? 誰かが私の命に入り込んでくるわけですか? そして、自分の飼い犬は今の自分よりも、そいつが入り込んだ自分のほうが好きになっちゃったりするのですか?
待った待った。質問は一つずつね。ライフハッキングは家屋への侵入にはほとんど役に立たない。ライフハッキングとは日々の生活をより容易に、効果的に、そして生産的にするコツとか工夫とかの実践のことなんだな。


本当? でもそれって聞いたことがあるような。今までなかったようなことなの?
うん。昔は「おばあちゃんの知恵袋」と呼ばれていたんだな。


でも、ライフハッキングと「おばあちゃんの知恵袋」は違うよね?
それは自分で判断してくれ。ちなみにこの記事を書いている時点でのlifehacker.comの表題は「レモンの使い方10種類」だ。


ふーん。でも、その記事ってレモンを賢く技術的に使うような話でしょ? 例えばWiiのクロックを上げるとか、監視カメラを出し抜いちゃう、みたいな?
ちなみに8番目には「食洗器をきれいにする」ってのが書かれてるね。


じゃあ、なぜわざわざライフハッキングなんて呼ぶのさ?
それはね、新しい名前をつけると新しい考え方のように聞こえるからさ。 オタク連中ってのは、1981年以前に発明されたものに対して価値を見出せないんだ。「ココアを入れる」という言葉は、近いうちに「ミルクハッキング」と呼ばれるようになるよ。


ライフハッキングって、家電製品をきれいにする以外に使い道はあるの?
もちろん。 ライフハッキングという言葉を使えば、どんなことでも賢く、超近代的に聞こえるようになるんだね! ←この文だってライフハッキングだ! インスタントラーメンを丼によそわずに鍋から直接食べたことがあるでしょ? 調理に使った箸でそのまま食べたことがあるでしょ? こういうのもライフハッキングなんだぜ!


おっけー。でもね、僕は自分のこのだらしなさをなんとかする方法を探していたんだ。なんかいい方法ない?
うむ。 前述のlifehacker.comや、43folders.com、そしてwiredのhowto.wired.comとかを探すことだな。(ライフハック: 編集者におべっかを売っておくと、取材費精算のときにいいことがある)


ライフハッキングで何かいいことがあるの?
生産性は君の手中にある! ライフハッキングを活用することで、日々の活動がより短時間に短縮されるわけだ。つまり、より多くの時間をライフハッキング関連のブログ読破につぎ込めるようになる。結果として、日々の活動時間をさらに圧縮できるようになる。ますますライフハッキング関連のブログを読めるようになる。以下繰り返し。結果的には君の人生は生産性の特異点に収束してしまう。そこでの活動は極めて圧縮されているので、いかなるお楽しみもそこから逃れることはできない。


悪くなさそうだね。 つまり、いろんな楽しみをもてるようになるということでしょ?
問題はそこなんだ。 ある一線を越えると、本来楽しむべきような状況であってもライフハッキングせざるを得なくなってしまうんだ。 動物園は好きかい? ライフハッキングをはじめてしまったら、もうシシザルやカメを見て楽しむようなことはできなくなる。 ライフハッキングにおける「事象の地平線」を超えてしまうと、初期脊椎動物の見学を最多にしつつ絶滅危惧種に関する説明看板を見る回数を最小にするための最適経路を考えちゃったりするようになるんだよ。


えー、そんなことはしたくないよ! 誰もがそんなことになるわけじゃないでしょ?
そーだね。でもね、覚醒剤を始めたやつ全員が、ぼろぼろの歯になって「気持ち悪いけど面白い顔」という題名でwired.comのThe Smoking Gunコーナーに載るわけでもないんだな。 リスクをとる価値はあるでしょ?


本当にみんなライフハッキングなんかしているの? 浮いた時間で何をしているというの?
んーとね、ライフハッキング関係のブログでも色々な事例がでてきているね。 良くてもライフハッキング関係の本を書いておしまい、というところだな。 最悪な状況だと、やる気のない従業員達に説教たれる、というあたりか。


えー、そんなのやだよ。 もっといい話はないの?
今からでも遅くないから、自分の生き方をもっと非効率でばかばかしいものにすることだ。 実は自分もライフハッカー達の人生を更正させるブログを始めたところなんだ。 一度も更新はしてないけどね。 お前さんも僕のやり方をまねするといいと思うよ。 でもね、まずはラーメンでも食べてきたら?