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国家公務員新規採用4割減は「身を切る改革」の当然の帰結

全文表示 | 国家公務員新規採用4割減 「若者いじめ」批判相次ぐ : J-CASTニュース

国家公務員新規採用4割減 「若者いじめ」批判相次ぐ
2012/3/6 19:23


 政府の行政改革実行本部は2012年3月6日の会合で、13年度の国家公務員の新規採用数を、政権交代前の09年度と比べて4割以上削減する方針を決めた。

 消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革を押し進める上で、「政治と行政の『身を切る姿勢』」を強調することが狙いとみられる。人件費の高い中高年は手つかずのため、「若者いじめ」だとの声もあがっている。


「民間でも業績が悪ければ、まず採用を抑制するのは普通」


 自公政権時代の09年度の新規採用は約8500人で、民主党政権下では11年度に09年比37%減の約5300人、12年度は震災の影響で削減幅が若干少なくなり、同26%減の約6300人。今回の4割削減の方針を実行すると、13年度の人数は約5000人になる見通し。採用スケジュールの関係から、3月中にも採用計画を決定したい考えだ。

 岡田克也副総理は3月6日閣議後の囲み取材で、

 「公務員の場合は一定の身分保障がありますから、途中で辞めていただくということがより難しいので、やっぱり採用で抑えるしかない」
 「大胆に、少し乱暴にやらせていただく」

と、削減に向けた意気込みを披露した。この採用抑制の目的のひとつが、民主党が政権交代を果たして09年衆院選のマニフェストで掲げた「国家公務員の総人件費2割削減」を実現することにある。だが、今回の方針では、いわば若者3500人分の雇用が失われる形で、午後の岡田氏の会見では、この点に集中した。

 例えば、記者からは、

「新規採用を減らすというのは、若い人の雇用を減らすこと。中高年をカットして若年層を守るという考え方もあるのでは?」

という声もあがったが、

「公務員の削減は難しい。民間でも業績が悪ければ、まず採用を抑制するのは普通」

と、午前と同様の内容を答弁。また、採用抑制の狙いは「総人件費の抑制」だとしながらも、抑制による削減効果は「計算していない」という。


高年齢層の削減策は「結論を申し上げるのは早い」


 また、

「より給与水準が高い高齢層に対して希望退職を募ったりはしないのか」

との声もあったが、岡田氏は

「問題意識は持っている。色々な議論をしているので、結論を申し上げるのは早い」

と、現時点では具体的な対応策は明らかにしなかった。さらに、記者から

「55歳以上の労働生産性を上げるために、何をするのか。そうでないと『若者にしわよせがいく』という批判が出る」

と念を押されると、岡田氏は

「採用抑制が若者いじめだとは全く思っていない」

と、不快そうに答えた。


この件に対する感想は、「まず身を削れ」なんて圧力が強まったらこんなことになるに決まってるだろ、という一語に尽きる。

たとえば増税反対論議にしても、他の税を放置して「まず消費税増税ありき」という議論をすることには私も反対だが、その一方で「まず身を削れ」という、マスコミや与野党の政治家たちが言っている議論にはもっと強く反対だ。国民1人あたりの公務員数は、日本は世界でももっとも少ない国なのであり、すでに十分過ぎるほど「小さな政府」なのである。この上さらに「ベーシックインカム」を導入する代わりに福祉や社会保障を「バサーット削れ」などと暴言を吐いている橋下徹を、無責任なマスコミや小沢一郎らはあたかも救世主であるかのように持ち上げる。岡田克也が言ったという「民間でも業績が悪ければ、まず採用を抑制するのは普通」という言葉は、私には橋下やマスコミに対する当てつけであるように聞こえる。皆さん(マスコミ)や橋下さんの言うような政策をとればそうなりますよ、という。

問題は「若者いじめ」にあるのではなく、「まず身を削れ」なるスローガンが完全に間違っていることにある。そのことに多くの人が気づかない限り、日本は坂道を転落しつづける一方だろう。