国後島に行ってみたい!(羽田から7泊8日で行けます)

katamachi2007-03-18

 3年前の夏、高校時代の知人H氏と、北海道は知床半島東岸の町、羅臼に行ってきました。泊まった宿は民宿本間さん。漁協OBの夫婦が経営されている漁家民宿で、キンキやイクラ、カニなど羅臼で採れる海の幸が並んでいてそれはもう凄いんです。北へ道路の尽きるところにある相泊温泉や瀬石温泉の話もあるんですが、それはまた別の話。
 で、この宿の側の海岸線から東の方を見ると、天気が良ければ国後島が見えるんですね。対岸まで45kmほど。Yahoo!の地図だとこんな感じ。羅臼から漁船を飛ばせば2時間ぐらいだろうか。そこから羅臼山を越えた向こうに島、最大の集落である国後郡泊村古釜布がある。ロシア名で、ユージノクリリスク。人口4000人ぐらいの町らしい。
 この国後島、サハリン側からなら簡単に行けるんです。
<撮ったのは2006.7 知床横断道路から雲間の向こうに国後島を眺める>
 たとえば、http://sakhalin.in-russia.com/?SID=1&ID=329という旅行会社だと、サハリンとクナシリ島(Sakhalin and Kunashir Islands: The Active View)12泊13日で$1680〜(20万円〜)。国後島で4泊のキャンプ暮らし付き。別な旅行会社(http://www.omega-plus.ru/tours/Kunashir/)はサハリンからクナシリ島まで往復して6泊7日(クナシリの“STROITEL”Hotel-2に宿泊)で11万円ぐらい。。1人だけで行くなら20万円。
 あれから、H氏に会うたびに「クナシリに行きたい」とせがんでくるんですね。昨春、彼はハネムーンでロシアに行ったんですが、伏木港→(船)→ハバロフスク→グロデコボ→(国際列車)→綏芬河→牡丹江→ハルピン(哈爾浜)→新潟空港という過激なルートをとり、さすがに奥様はサハリン行きやクナシリ行きは希望してくれないので、僕をパートナーに指名し、渡航の下調べをするように指示されました。
 一番、簡単なのは、政府が主催する北方四島交流事業の「ビザなし交流」です。北方領土の元住民か返還要求運動をやればいい。あるいはマスコミか政府や自治体の人間か研究者か……どれも今さらキツそう。
 となると、日本からサハリン経由で渡航するしかない。

羽田から7泊8日で行ける国後島旅行プラン

 参考にするのは、バックパッカーお馴染みの「ロンリープラネット」ロシア版。この本、オーストラリアのガイドブックなんですが、ロシア国内の津々浦々まで旅行情報が載っています。しばらくロシアへ渡航する予定がないので、H氏にAmazonで買わせました。国後島も紹介されています。現地の都市名はYuzhno-kurilsk。

Lonely Planet Russia & Belarus (LONELY PLANET RUSSIA AND BELARUS)

Lonely Planet Russia & Belarus (LONELY PLANET RUSSIA AND BELARUS)

 情報としては、以下の5点。
  • ユジノサハリンスク(サハリン 旧豊原)〜ユージノクリリスク(国後)を結ぶ飛行機路線がある。ただ、欠航が多い。
  • コルサコフ(旧大泊)から船が出ている。
  • ユージノクリリスクにもホテルがある。「日本人とロシア人の友好の家」、通称"ムネオハウス"とは別物でしょうか。
  • ユジノサハリンスクにある旅行会社インツーリスト(旧ソ連国営系)で国後行きをアレンジしてくれる。総額800〜1500ドル。
  • パーミット(入域許可証)は50ドル。所要3æ—¥

(原本ないんで、一部うろ覚えあり...)
 とりあえずカネさえ出せば行けるんだね。ユジノサハリンスク〜ユージノクリリスクの便を運営しているのは、函館や札幌への便も飛ばしているサハリン航空。で、そこの英字ホームページを確認してみると、

とフライトは週4本(2007.1現在)。1時間40分。意外と本数が増えています。就航機体はAn-24。旧ソ連のターボプロップ旅客機なんですね。運賃は片道$165、往復$300(http://www.russianfareast.net/city.php?id=194)。
 船の便は、5年前の情報だと、「ユジノ〜メンデレーエフ(国後)は偶数日運行片道1600ルーブル」「ユジノ〜ブレベニスク(択捉)も奇数日運行片道1270ルーブル」らしい。当時のレートで日本円に換算すると7000円、6000円ぐらいか。Wikipediaの「国後島」には、サハリンクリル海運の貨客船が週2便、コルサコフ(大泊)港〜択捉島〜色丹島〜国後島〜コルサコフ間で運行しているとされている(Igor Farkhutdinov号、昔、小樽とコルサコフを結ぶ船に使われていた)。ただ、1隻の船で週に2往復もできるのかなあ。スケジュールの予定は未定と言うところか。
 ともあれ、日本から飛行機を乗り継いで行くなら以下の7泊8日の行程となります。

 東京〜函館で5万円。函館〜ユジノサハリンスクで8万円。ユジノサハリンスクの安ホテルは1000円×5泊=0.5万円。ユージノクリリスクの現地手配が9万円。諸費1.5万円。総計で24万円ぐらいかな。羅臼や標津の港で漁船をチャーターして入るよりは安いのかもしれない。

上記みたいに簡単に国後島へ渡れればいいのですが……

 と、ここまではシミュレーションをしました。で、現実的な計画かというと……やはり難しい。
 日本国内でロシアビザを取るには、旧ソ連時代からの慣例で、旅行会社が発行する旅行確認書とバウチャー(旅行券)が必要なんです。しかも出国から入国まで全ての行程が決められているものが。外国人旅行者の行動をコントロールしたい訳なんですが、これがバカ高いんですね。ホテルや鉄道は実勢値の3〜4倍ぐらいのカネを払わされる。他にも、

  • 国後への飛行機は濃霧や故障で遅延が続出。一週間ほど飛ばないときもあるらしい。冬は流氷などで船の運航すらままならない。2006å¹´10月からしばらく空港の滑走路の舗装状態が悪いためサハリンからの連絡が途絶えたことがあった。ここ参照。北海道新聞の「択捉島に新空港/地域経済活性化狙い」では国後島の空港は閉鎖になるとも報道されたが……
  • 日本政府はロシア経由での北方領土への入域を認めていない。自粛を要請している。まあ、ロシア政府から日本人に対して、国後、いやクナシリをロシア国内「南クリル」という扱いで入境証が出されてたら、日本政府としてはいろいろ困ることが生じてくる。北方領土に入る入域許可証はユジノサハリンスクで手に入れられるらしいが、日本国内からの手配はできないだろう。

など懸案事項はたくさん残っています。特別のコネがない限り、日本で手配したバウチャーや招待状によるビザ取得→ユジノサハリンスクで入域許可証→飛行機で国後へ......というのは、事実上、あり得ない。
 となると、別口でビザを手に入れ、自由旅行で入るしかない。旅行人のホームページ掲示板「ロシアビザ情報 その3」あるいはその他のスレにビザを取る方法がいろいろ書かれています。昔と同様、http://www.visatorussia.com/、http://www.visatorussia.com/のような現地会社から招待状(インビテーション)を貰うか、バルト三国の旅行会社で手配するしかないんですかね。日本のロシア大使館もいろいろ手を打っているようだけど…… いやあ、しかし旧ソ連の国に行くのはいつまでも大変だなあ。僕は1998年と2000年に、ロシア、ベラルーシ、グルジア、アゼルバイジャン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン、エストニア、ラトビア、リトアニア.....と廻りましたが、まあビザ取りにはエラい目に遭いました。ガセ情報に騙されて国境に向かい、ポリからライフルを突きつけられて強制送還を食らったとか……
 ちなみに、正規ルート以外で国後島に入った人は何人かいらっしゃると聞いたことはあります。先の「ロンプラ」でも載ってるぐらいだから不可能ではない。
 ネットで公表されていたのは、Slow Trainというホームページにおける後藤和夫氏の「クナシリ漂流」という情報ぐらいでした。「報道ステーション」や「ザ・スクープ」のディレクターで、2002年に定期船「マリナツヴェタイワ号」(約5000トン)で国後島へ渡ったと。なんか「『還せ!北方領土』?さっさと強行渡航しちまえ!」とか「日本の領土?関係ない。国に期待なんかしない。それが本音であろう。」とか偽悪ぶった文章も含めていろいろ気になるのですが、まあそれはそれ。で、よくよく読んでみると、2002å¹´8月にピースボートの「地球一周の船旅」じゃなくて「夏休みピースボートの船旅」(北朝鮮・サハリン経由)の船が国後島にやってくるのに備えた先乗り部隊のメンバーだったんですね。他に日本人が2人、通訳1人が同行している。自分でアレンジしたような書き方をしているけど......?
 で、H氏。国後島への行き方、分かってくれました? 渡航に30万円や40万円もかかるならオレはいいよ...とも思うのですが、それはまた別の話。