ルーマンとアイドルと知的好奇心について

僕は大学時代、授業というものをあまり真面目に受けていなかった。
寝坊して自主休講なんてのは日常茶飯事。試験はいつも一夜漬けでなんとか切り抜けるという堕落した学生だった。
今になって振り返ると、なんてもったいないことをしていたんだろう、とつくづく思う。
大学は、学問を探求するには格好の場なのだ。
あんなに色んな分野の学問に触れられる機会というのは、今後多分ないのだろうと思う。
だがすでに述べているように、僕は授業というものに対しては実に不誠実な態度であったため、内容を克明に思い出せる授業というのはほとんどない(やれやれ)。
しかし、そんな僕にも、ひとつだけとても印象に残っている授業がある。
それは、『ルーマンの社会学入門』(たしかこんなタイトルだった)である。
この授業の内容は、ルーマンという社会学者の理論を基に等価機能分析する、というもの・・・
まあ簡単に言うと、何かと何かを比較して、それらの類似点、相違点を分析し、そこから得られる発見をレポートにまとめるというものだ。
講師の先生は30代前半と比較的若く、落ち着いた感じで話す人だったのだが、話す内容がとても面白い人だった。
なんていうか、この人の話を聞いていると、知的好奇心をくすぐられるような不思議な面白さ・楽しさがあったのである。
そんなわけで、僕はこの授業に関しては本当に真面目に出席し、話もよく聞いていたように思う。
肝心のレポートはテーマが自由だったので、僕はとあるアイドルグループ2つを比較することに決めた。
書いてみるとなかなか難しく四苦八苦したのだけど、最終的には自分でも納得のレポートができた(成績も秀だった)。
アイドルというものに対して社会学的な視点からアプローチを試みたことで、これまで気づかなかった新たな発見があったし、何より自分の中で学問に対する興味が沸いたのは大きかった。
これをきっかけに、社会学・哲学関係の本の面白さに気づけたこともあるし、講師の先生には本当に感謝している。
最近は日々の仕事に埋没し、知的な時間というのはなかなか持てていなかったのだけれど、またそういった世界に触れてみたいという欲求がふと沸き起こってきた。
今週末は本屋に行ってみようと思う。