コミックス派がジャンプ派にいつまでも追いつけない

追っても追っても追いつけないのは、「アキレスとカメ」か「コミックス派においてのジャンプ派」の二つしかないとおれの中では思うのだけれど、なんで人は月に行ったのにコミックス派がジャンプ派に追いつく手段がないのか。コミックス派のおれたちはいつまでたってもジャンプ派のあとを追いかけなければならず、もう我慢ならんのでコミックス派代表としておれが少し言っておく。


漫画というものは大抵、雑誌で連載されてある程度話がたまってきたらコミックスとしてまとめて出すと思うのだけれども、続いているストーリーを一気に読んでいきたいおれたちは、雑誌には目もくれずコミックスを買い求める。そしてコミックスを読み終わったあとに、次の巻が読みたい読みたいとなって、次に出るのは何月頃だとか計算する。ここで次の巻が出るまで膝を抱えて辛抱強く待っているのがコミックス派の粋なところなのだが、困ったことにジャンプ派とかいう連中がいて、そいつらがおれたちのまだ知らない話を読んで、次の展開は面白いだの、あのときのあれが伏線になっているだのわめき散らす。最近だと「BAKUMAN」なる漫画を購入して面白い面白いと読んでいたのだけれども、ネットを見ていればジャンプ派の連中がコミックスにはまだ出てきてないキャラを持ち出して解説をしだすし、おれの知らないストーリーを勝手に語りだしていて、もうハンカチをきいと噛み締めるしかなかった。


こうしてとうとうおれはコミックス派からジャンプ派に移る一大決心をしたのだけれど、いざジャンプ派に移ろうとしてもジャンプではもうおれの知らないところまで進んでいて、浦島現象が起こっている為に結局ジャンプ派に移れない。ジャンプというのは一度振り落とした奴は再起できない仕組みになっているらしく、まさに日本を象徴する雑誌と言わんばかりで、おれたちは漫画界でもいつまでも落ちこぼれのままだ。


思うにおれたちにはコミックスとジャンプのモラトリアムを埋めるような仕組みが必要で、ジャンプからコミックスまでの話をwebで有料配信するだとかをしなければジャンプ落ちこぼれは増えるばかりだ。こうしている間にも刻一刻とジャンプ派がおれたちの知らない話で盛り上がろうと必死にブログに感想を綴っている。大事なのは今なのだと。今こうしてリアルタイムで読み、みなで感想を共有することが大事なのだと、ジャンプ派は言うのだ。最初に道を選んだ時点で勝負はついていて、おれたちは一生ジャンプ派に追いつけない。