さいとう・たかをのルール


言わずと知れた「ゴルゴ13」の作者である劇画界の第1人者にして、今もって現役のさいとう・たかをが本日23:00から放送される「情熱大陸」で密着されている。
漫画史的に言えば、プロダクションを設立しいち早く、分業体制を確立させたり、手塚治虫全盛の時代に全く異なった絵柄で、「劇画」というジャンルを作ったり、と間違いなく日本の漫画を作った一人ではあるが、個人的に、さいとう・たかをと聞いて思い出すのは、作品よりも、作者自身のその強烈な個性だ。
それを徹底的に引き出したのが『男気万字固め』における吉田豪のインタビューであるが、その中から、「いちいち抜群な」印象的なエピソードを拾ってみよう。




・小学校の頃、相当ないじめにあうが、5年生の時、遂に反撃。立場が入れ替わり「もう猿山同然」に。
・体型が人間離れしていた。胸囲1メートルもありながらも背がひくく「カニみたい」。そこから「ゴリラ」「イノシシ」「コケシ」「コッテ牛」などのあだ名をつけられる。
・中学に入ると、知らない間に部下が増殖。幹部連中が勝手にバッジを作成。
・画を書く紙欲しさに、侵入者は射殺されるという進駐軍の倉庫を匍匐前進で襲撃。金目のものには目もくれず白い紙だけを窃盗する。
・学校には手ぶらで行っていた。なぜなら、さいとうの「カバンを持ちたいっていうのがゾロゾロいたから」。
・登校したらまず一服。必ず「皆に迷惑をかけたくない」と一番後ろで窓を開けて吸っていた。
・中学の3年間、中間試験は一度も受けなかった。期末試験は一応受けたが全部白紙。
・中学時代の恩師に「このままだったら、おまえの住めるところは刑務所しかない」と言われる。
・気に入らないオヤジの田んぼに投石。オヤジに怒られると「そんな大事な田んぼだったら、蓋しとけ! 空の上まで自分のもんやと思ってんのか!」
・隣のクラスで、ちょっと知能の弱い子が教師の質問に「分からない」と答えたら殴られたという話を聞き激怒。職員室に乗り込み「わからないからって体罰加えられるとはどういうことだ? わからないのを教えるのが教師の仕事だろう!」と迫り謝罪させる。
・近所のおばさん連中に「ボボのやり方教えてくれへんか?」と依頼。
・友人から母親が義理に父と上手くいかないっていう悩みを相談され、なぜか、その母親相手に中2で初体験。
・気に入らない授業では、黒板めがけてナイフを投げつけていた。
・映画館支配人の浮気現場を覗き、濡れ場を撮影して恐喝。映画料金1年間無料を要求する。
・漫画化デビュー前年の17歳の頃祇園で芸者遊びデビュー。老け顔だったためサバを読み「22歳」と名乗るも「そんなに若いの?」と驚かれる。




そんな、彼のエピソード満載らしい自伝的漫画。
 ■『いてまえ武尊 [少年向け:コミックセット]』
そして、自伝エッセイ。
 ■『さいとう・たかをのコーヒーブレイク―俺の秘密ファイル』