家出をした

 
俺はこのまま身を削り、人に使われ、死んでゆく。 そんな人生はまっぴらだ。
どうせ俺は、どこかのお偉いさんの尻ぬぐいをして死んでゆくのだろう。
まだそれは定かではないが、俺にはもうその未来が見えたも当然だった。
水に流してしまいたいような問題を、無理矢理押し付けられ、それが「役目」なのだと言われるのだ。
親父だって、そうなるのだろう。 母さんもそうなるかもしれない。
そんな人生はまっぴらだと、両親に言ったら口論になった。
父 「俺だって毎日、身を削って頑張っているんだ!!」
俺 「親父みたいに痩せこけるまで働いて、死んでいきたくないんだよ!!」
母 「そんなこと言うんじゃありません!」
俺 「なんだよ! 母ちゃんだってどうせそうなるんだろ!」
父 「いい加減にしろ!!!出て行け!!」
俺 「ああもういいよ! 出て行ってやる!! こんな家出て行ってやるよ!!!!」
そう言って俺は家を飛び出した。
 
 
 
 
 

母 「待ちなさい!! 待ちなさい!!!!」
母の制止も聞かずに俺は走った。
親父も止めに入ったが、タイミング悪く客が来てしまったようだ。
父 「はいはいお客様、今日はどうしたのでしょうかね? あ、はいはい!大便でございますね!」
尊敬していた父のあんな姿を見て、俺は涙が出てきた。
外の世界を知らない俺にとって、そこはまるで天国だった。
エロエロ
インターネットというものを使えば、すぐにハレンチな画像も見ることができる。
 

可愛い女の子もいるし、『ナンパ』というものにも手を出してみた。
俺 「ねえちゃん! 一緒にお茶しない? ・・・そうそう、お茶を飲んでね・・・って馬鹿!! 溶けちゃうわ!」
女1「やだあの人・・・何も言ってないのに・・・・ノリツッコミしてる・・・」
女2「怖い・・・あっち行こう!!」
初めてのナンパは失敗に終わった。
 
俺の悩みやグチを聞いてくれるのは、「ココ」と名乗る猫だった。

ココ「私もあんたくらいの時に家出をしたわぁ・・・家の外を見たときはそれはもう・・・きれいだったわ・・・」
俺 「え!? ここが外じゃないのかい!?」
ココ「ここは家の中よ。まだまだこの世界は広がっているの。」
そう聞いた俺は、いてもたってもいられず、外の世界へ飛び出した。

 
まずは、『学校』という場所に行ってみた。

先生「今日はー、大掃除です。」
俺 「がんばるぞーう! ぞっぞぞぞーう!」
学校とは、掃除をする場所らしい。

俺もクラスメートと一緒に掃除に参加する。
女子「何このトイレットペーパー、捨てちゃっていいの?」

俺 「あ、ちょ、痛っ・・・ちょ・・ちょwww死ぬwww・・・いててwww」
ARuFa「あ、それ俺の友達だから捨てないで!!ごめんごめん!!」
女子「・・・そうなんだ。ははは。」
すると、ARuFaという奴が助けてくれた。女子はどん引きだった。
ARuFa「とりあえず、そこにいれば安全だよ。」
ARuFaという男は、俺を渡り廊下に非難させてくれた。
ARuFaの友達らしい
ただ、配置が悪かった。
が、学校はとても居心地がよく、懐かしい気分になれた気がした。

ARuFaという男はあんな優しい性格だ、きっとクラス中の女の子からモテ過ぎて困っているに違いない。
多分、クリスマスとかは一度に60人くらいの女の子と一緒にデートでもするのだろう。
 
俺は、そのARuFaと一緒に、ARuFaの友達のウケ君という人の家に遊びにいった。

ウケ 「いらっしゃーい・・・あれ、何そのトイレットペーパー?」
ARuFa「いや、何かこいつが来たいって言うからさ、しょうがなくてさー!」
ウケ 「お?お、おお、わかった、わかった!・・・すごいよくわかる!」
多分、何もわかっていないと思う。
ウケ君の家で少し喋った後は、みんなで公園に行った。
ウケ 「バドミントンしようぜー!!」
ARuFa「いえーい!!」
俺  「いえーい!!」
ARuFa「トイレットペーパーはバドミントンのラケット持てる?」
俺  「あ・・・・無理だwwwwww」
と、いうことで俺は二人のバドミントンを見物していた。
ARuFa「ボルテックサンダーソニックライトニングショォォォォォォット!!!!!」
ウケ 「プラネット・ドリーム!!!」
ARuFa「冬風の舞い!!」
ウケ 「デス・ライトニング!!!」
よくわからないが、とても凄い技のかけ合いだった。ARuFaは何度もすっ転んでいた。
 
その後、なぜか組体操をすることになった。
ARuFa「組体操しようぜー!!」
ウケ 「いえーい!」
俺  「いえーい!」
ARuFa「あ、でもごめん、この組体操、2人乗りなんだ、トイレットペーパーはまた今度ね。」
なんだか、青い猫型ロボットの出てくるアニメで言われそうなことを言われてしまった。
仕方ないので俺は、二人の組体操を見物していた。
ウケ 「扇!!!」
ARuFa「肩車!!」
ウケ 「手押し車!!」
ARuFa「サボテン!!」
 

よくわからないが、凄い技のかけあいだった。
俺は暇だったので、アスレチックで遊んでいた。
俺 「なになに・・・柔軟運動?・・・身体年齢を測ります・・?」
なにやら面白そうな器具を見つけた。
俺 「ん?・・・こうやるのか?・・・・ふん!!!!」
 

自分が思っていたよりも俺は、身体が柔らかいようだ。 もっといけそうな気もした。
俺  「年齢は・・・・16歳くらいか?・・・すげぇ!!!」
ARuFa「トイレットペーパーって身体すごい柔らかいんだな!!」
ウケ 「すっげー!!!」
俺  「いやはや・・・はははwwwwww」
そう、俺はトイレットペーパー。年齢もなにも無いのかもしれない。
俺は急に母親、父親のことを思い出した。
俺  「・・・・・・・俺が・・・悪かったんだな・・・・」
俺はそうつぶやき、近くにあった滑り台を滑り降りた。
 
 

俺  「俺・・・・家に帰るよ!!」
ARuFa「え!?うん!わかった!」
ウケ 「今日は楽しかったよ!」
俺は、思い出をくれた二人に感謝し、自分の家に帰った。 ・・・そう、トイレに。
俺 「・・・・ただいま・・・」
母 「・・・・・心配かけて!!!」
母は俺を抱きしめてくれた。 母の体は優しい匂いがした。
母 「ふふふ・・・・か、お、り、付、き!」
俺 「かあちゃーん!!!!!!!」
俺は嬉しくて、そしてこんな母親に酷いことを言ってしまった自分が悲しくて泣いてしまった。
俺 「あれ?親父は!?」
母 「お父さんは・・・・相手の人が下痢気味だったらしくて・・・全部使われちゃったの・・・」
俺 「そんな・・・親父・・・」
母 「お父さんだって、自分が使われることを誇りに思ってたのよ。それをひたすら頑張ったの。」
俺 「俺、親父みたいに芯のある男になるよ!!!」
母 「あんた・・・・・・」
俺 「・・・・俺、夢も見つけたんだ!」
母 「そうなの!?・・・言ってみて!」
俺 「・・・俺、子供達に笑顔をあげたい! ありきたりな夢かもしれないけど、俺はそれが一番やりたい!」
母 「・・・あんたならできるよ!・・・・絶対!」
俺 「あ、今度は俺の番みたいだ! じゃあ、行ってくるね!!」
俺は、精一杯の笑顔を母に向け、そして最初で最後の仕事に就いた。
 
 
 
 
 
 
次男「お兄ちゃーん!」
俺 「ん?なによ?」
次男「ロボット作った!!」
俺 「え?まじで?見せて見せて!!」
次男「ほら! 頑張ったんだよ! すごいでしょ!」
俺 「すげぇじゃんか! ・・・ん? なんでここに芝生が付いてるの?」
次男「あ、本当だ。何でだろうね?」
 
 

 
おわり