暁美ほむらの戦場2:ワルプルギスの夜の真実 (ピタほむスイッチ徹底解析) 
2012/05/09 Wed. 16:51 [edit]
ワルプルギスの夜はなぜ、凶悪とされたのか?
どうすれば倒すことが出来るのか?
ほむらはワルプルギスに勝つことが出来るのか?
ほむらの経験は、2週目3周目にどうフィードバックされていったのか?
TV本編の情報を元に掘り下げてみます。今回も長いです。ご容赦下さい。。。。
なお、TV版制作当時の設定に準拠するため、PSP版のワルプルギスは敢えて考察対象から外しています。
また、本記事は11話までの展開を踏まえたネタバレ記事になります。
未見でネタバレが気になる方はUターンを推奨します。
※2012年5月9日21時 2週目3周目の戦闘について追記しました(緑字表記の部分になります)。
ずばり
ワルプルギスの夜はキラの乗っているフリーダムガンダムです!
・・・失礼しました。
ワルプルギスの夜の脅威は、その耐久力もさることながら、手数・手の長さ・手の速さ・手の正確さ・手の威力の5点にあります。
1週目のマミはマミらないまま、魔女化もしないまま死んでいます。
1週目まどかにしても、相討ちになりつつ、やはり魔女化をせずに死んでいます。
魔力を使い切ると魔女になるはずなので、死因はソウルジェムの破損です。
ソウルジェムに使い魔の攻撃が当たったか、ビルなどの破片が当たったかしたわけです。
もちろん、魔法少女たちは破片や攻撃を全力でかわそうとするはずです。ワルプルギスの攻撃が速すぎるのです。
4週目と11話の描写を見ても、いったん守りに回るとワルプルギスの攻撃は休ませてくれません。このため、流れ弾が原因というよりは使い魔の攻撃速度と攻撃精度の問題と思われます。
なお、まどかのソウルジェムは首元、マミのソウルジェムは側頭部と、それぞれ「ソウルジェムの事情を知っているか否かに関わらず」人間が必ず守る場所にあります。
したがって、戦っている最中も彼女たちは当然優先的に守るはずです。
11話では、ほむら(彼女はワルプルギス戦のベテランです)が安全圏だと思っていた遠距離から、彼女の反射より早く使い魔が一撃を加えています。また、ワルプルギス本体も、隙を見てビルをぶつけたり、炎?を吐き出してくるため、使い魔だけに気を取られていると一瞬で逆転されてしまいます。射程も威力も凶悪です。
まとめると、ワルプルギスの脅威は「攻撃が凶悪で、いったん攻め込まれるとまず手がつけられない」ことです。
しかし、ワルプルギスにも若干の弱点があります。
「どこにでも」「いつでも」均質な攻撃力を持っているわけではないことです。
ここで、11話のホマンドーほむらによるピタホムスイッチをおさらいしてみます。
めんどくさい方は「これらのことから、ひとつの傾向が見えてきます」までスクロールして下さってOKです。
1、時間停止との組み合わせで大量のRPGとAT4を一度に直撃させる
2、1の攻撃による衝撃で左に流されるワルプルギスに迫撃砲を直撃させる(迫撃砲は弾道計算済)
3、1,2の攻撃によりワルプルギスが所定の位置に移動したのを確認後、鉄塔を破壊。下敷きにする&さらに移動させる
4、3の攻撃後、鉄橋に移動していくワルプルギスをタンクローリーに乗って追いかけ、
鉄橋のアーチを利用しぶつける(ぶつける際にほむらは川へ離脱)
5、川の内部に仕掛けておいた88式地対艦誘導弾(通称SSM-1)とトマホークのキャニスターを起動させる(離れてるトマホークも魔法で起動)
6、タンクローリーの直撃をもらったワルプルギスが目の前に下降してくるのを確認後、
狙いを定めてSSM-1を6発発射(直撃するが送電線に引っ掛かっているため衝撃で後退しない)
7、SSM-1計6発直撃後、トマホークミサイルを2発発射→送電線が切れて電撃ダメージをくらいつつ思いっきり後退
8、移動した先は地雷(クレイモアと指向性散弾モチーフの架空兵器)原
推定13万4000個の地雷をモンロー/ノイマン効果を利用した集中爆発
時系列で図解してみます。
なお、図中のほむらの攻撃で紫色の字で表示してあるものは、魔力がかけられているものです。
③~⑥で細かい動きがあるので、その図も加えてみます。
これをワルプルギス目線に直すと、こうなります。
ポイントをまとめると、
・ピタホムスイッチ中で、ほむらが魔力を帯びさせて攻撃したものがある。
これは巡航ミサイル・対艦ミサイル・タンクローリーの3つである。
つまり、この3つは魔力による防御能力も持つと考えられる。
・これら切り札となる大火力の武器は、気づかれてから当てるまでの時間を極力短くし、かつ魔法で守りを固めている。
となります。
これらのことから、ひとつの事実が見えてきます。
ほむらは決定力のある攻撃をワルプルギスの正面に当てようとしているにも拘らず、その際にワルプルギスに「見られる」ことを最大限に警戒しているのです。
※この場合の 見られる=口のある顔の正面が自分の方向を向く、です。
10話の4週目を見る限り、ワルプルギスがいったん攻撃に回ると、ほむらは魔力を防御に回さざるを得なくなります。
また、ほむらは魔力を使った防御と時間停止を同時に使うことは出来ないようです。
ワルプルギスの脅威はその攻撃にありますが、攻撃の発動条件はワルプルギスに「見られる」ことなのではないでしょうか?
10話11話を通じて、「見られていない」ときの攻撃は確認できませんでした。
また、11話でワルプルギスがほむらに最初の反撃を当てたとき、ワルプルギスはほむらを「見て」います。
攻撃に死角があるなら、死角から殴ればよくね?時間止められるんだし。
ところが、そうもいきません。
1週目まどかの死因を振り返ってみます。
彼女はズタボロになりながらも、相討ちでワルプルギスを倒しています。
ワルプルギスも死ぬ間際にまどかの首元のソウルジェムを破壊しているので、ワルプルギスもまどかもお互いに死の直前まで旺盛に殴り合っていたことが見て取れます。
また、上記のように11話でほむらも多大なリスクをとってまで正面から当てにいっています。
このため、「正面から当てる」ことがワルプルギスに致命傷を与える条件になりそうです。それは同時に、恐るべき速度での無数のワルプルギスの反撃に直面することを意味します。このため、時間を止めずに普通に戦う場合、ワルプルギスの反撃をなぎ払い(打ち落とし)つつ痛打を当てる、という2つの並行作業が必要になります。
この点、まどかは劇中の5人の魔法少女の中でワルプルギスとの相性が最良です。
3発の矢を同時発射でき、無限リロードをしながらの速射が出来るからです。
マミも相性は悪くありませんが、弾数制限と最大火力の分だけまどかに劣ります。
ホマンドー戦略、まどか死亡時のまどかの傷、まどかの能力特性を見ると、まどかがワルプルギス相手にとり続けた戦略は「攻撃を撃ち落しつつ肉薄し、魔力を乗せた攻撃を正面に叩き込む」だったと思われます。
強くなるほどに反撃で被弾しにくくなるので、4週目で「まさか一撃で倒すとは」という状況になるわけです。
恐らくは、最初の一撃でワルプルギスの反撃ごとなぎ払ったものと思われます。
なお、ワルプルギスには物理攻撃そのものが効かないのではないか?という水無月ばけら様の説があります。
結論から言うと、効きます。検証は長いので別記事にまとめました。
まとめます。
・ワルプルギスは攻撃させると非常に厄介
・ワルプルギスの正面に向き合うと攻撃されてしまう
・ワルプルギスを倒すには正面から致命傷を与えることが必要
・ワルプルギスに加える攻撃は魔法攻撃に限定しなくても良い
となります。
対策として、「攻撃ごと叩き潰す」か「攻撃させないで叩き潰す」になります。
(以下、2012年5月9日21時追記)
このワルプルギスの特性で、2周目でほむらが無傷だったこととマミが近くにいなかったことの説明がつきます。
本命のまどかの攻撃を当てるために、牽制要員(マミ)とまどかはワルプルギスを中心に90度以上は離れている必要があります。ワルプルギスの直径が30m超、戦闘距離を+30mとしても、マミとまどかの距離は直線で80m以上離れていることになります。また、倒した時点でマミがまどかよりよほどひどい手傷を負っていない限り、ほむらはまずまどかの方に駆け寄っていくはずです。ただし、マミの運動能力は1週目から変化していないはずなので、まどかと同程度には負傷しているはずです。
また、この時点でのほむらの運動能力では、戦域に突入したら一瞬で被弾、戦闘不能になることが自明です。
ほむらは1週目のことをまどかとマミに話していてもおかしくありませんが、彼女はまどかの死という結果を知っていても死因と過程を知っているとは考えにくいです。このため、ワルプルギスの特性の情報が不明なまま、ただ、まどかとマミを破るほどの相手だということだけが深刻に受け止められるはずです。
このため、「今のまどかとそのときのまどかはどっちが強かったの?」という程度の質問で、マミとまどかは判断するはずです。
また、ほむらが2週目のマミ・まどかより大きく運動能力で劣る事実じたいは変わりません。3週目のさやかの台詞から推測すると、3週目で杏子と出会う頃までのほむらは時間を止めて接近→爆弾という戦い方しかできないはずです。
このため、マミがいるかいないかに関わらず、「暁美さんは下がってて!」という判断が下されるはずです。マミを捕捉して殺しているのがワルプルギスです。
なお、2週目ワルプルギス戦で時間停止を切り札として使う場合でも、相手の手の内が不明です。
最初はまどか(とマミ)が、まず様子見に戦いを挑むはずです。
また、ほむらは前線に立っていない(まだ立てない)ので、彼女は2週目のこの戦いでも、得られる情報が限定的になります。
3週目のまどかは、ほむらから魔法少女システムの真相のほぼ全てと、過去の戦いで自分が死んだことを聞いています。
ソウルジェムを守りつつ、魔力を全部使わないように心持ちセーブしながら戦うはずです。
また、この周回ではマミがいません。時間停止、リモコン爆弾、時限爆弾を駆使して、ほむらがマミの代わりをしつつ、まどかと二人で戦うことになります。
この時点では、ほむらの武器と運動能力は4週目以下のはずです。
また、この段階のほむらはワルプルギスの攻撃に直接さらされた経験がありません。「ほむら自身にとっての」ワルプルギスの速度や強さの情報はまだありません。
十分に対策していた11話でも被弾しているので、3週目のほむらはワルプルギスの最初の一撃は必ず被弾してしまいます。ほむらが3週目になって却って傷が増えているのはこのためだと思われます。
ただし、ほむらは4週目で「全ての魔女は私一人で片付ける」と断定形で言っています。言うだけの根拠があるはずなので、ほむらの身体能力は3周目の終わりの時点で11話にほぼ近いものになっていたと思われます。
さて、11話に戻ります。
ワルプルギスの特性を踏まえると、疑問が出てきます。
あれ?
じゃあ、ほむらは最初から顔面に④~⑦撃ち込んでたら良かったよね?
てか、もしあの場所にワルプルギスが出てこなかったら、ほむらってただの準備損のアホ??
これはNOです。いや、ほむらはいかにもそういうアホミスやりそうだけど。
ほむらの作戦のキモは、川の中の仕掛けとコンビナートの地雷原です。
このふたつは場所を動かせず、また、見破られると非常にまずいです。
では、ほかのものはどうか?
①のランチャー群は召還しています。つまり「どこでも使用可能」です。
③の鉄塔どっかーんはリモコン操作なので、「いつでも使用可能」です。
④のタンクローリーは車です。ワルプルギスの出現位置に応じてある程度移動できます。これも「どこでも使用可能」。
問題は②の迫撃砲ですが、あの数なら橋をはさんで反対側にも並べておくことは可能です。これは③の鉄塔についても同様で、ほかの場所に同様の仕込みをしても、ほむらの魔力負担はそんなに大きくないはずです(設置に手間がかかるだけ)
ようは橋に誘導し、攻撃の際にワルプルギスの意識をそらすことができれば良いのです。
してみると、11話の出現位置は「予測範囲内だったけどベストじゃない場所」だったことになります。
本命を最初から顔面にどっかーん!、は、したくてもできなかったのです。
逆に言えば、11話のピタほむスイッチは、事前の罠にほむらが柔軟な微調整を加えた結果です。
本命からずれた場所にも広範囲に対策をしているあたり、ほむらは相当に優秀です。
このように、ピタほむスイッチは作戦案・準備・当日のスタッフの対応が完璧でした。実に見事な布陣と言えます。
動員したりソースも、ほむらが使いうるものは「見滝原の避難所に損害を与えない」限界レベルまで使い切っています。
参考:ほむほむのワルプルギス爆殺の費用と威力を計算してみた
これは、地雷原でしとめ切れなかった時点でほむらが手詰まりになったことを意味します。
致命傷を与えるには火力が足りなかったことが敗因です。単純ですが由々しすぎる問題です。
まどか以外の魔法少女には、ほむらの爆弾以上の火力がありません。仮に杏子やマミとの共同戦線が成立したとしても、①~③の目くらましが倍増し、④のタンクローリー程度の攻撃が数回分増えるだけです。
そのほむらにしても、もうギリギリまで人類の兵器を駆使しています。
ほむらはバカで暗くて思い込みが激しい、よーは関わるとめんどくさいヒト、ただし愚直な努力という美質が補って余りある子、というのが私の通説でした。
しかし、ここまで見てきたように、対ワルプルギス戦に関しては彼女はとんでもなく真剣に頭を使っています。
頭脳の一生分の時間を圧縮してこの一日にぶつけてるだろうって勢いです。
この記事を書く過程で、私の胸中には横山光輝の『三国志』60巻で司馬懿が陣の跡を見て孔明を褒め称えるシーンが強くよみがえってきました。
ピタほむスイッチでの暁美ほむらはそれだけの仕事をしていたと、私は思います。
そら泣くわ。
それでもだめだったので、ほむらが11話で絶望せずに過去に飛んでも、結果は変わらなかったはずです。
その場合、ほむらは「今使える火力では無理」と言うことに気づき、絶望しかねません。ほむらの鈍さがいい方向に作用しています。
11話ラストでのまどかの援軍は、まさに絶妙のタイミングだったと言えます。
この援軍も間に合うべくして間に合っているのですが、なぜ必然だったのかはまたの機会に。
「彼女は人事を尽くしきった。だから、天命が彼女に微笑んだ。」
というほむらへの評で、この記事をしめさせていただきます。
【本編を見返したい方向け】
バンダイチャンネルにリンクします。
10話 11話 9~12話パック
【皆様へお願い】
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コメント
偶然、管理人さんが書かれて直ぐにこのページを拝見させていただいたようで…
さすが理系の方の分析は凄いですね…
いや、理系の中でもかなり優秀な方とお見受け致しました。
感服致しました。もっとやってください(^^)
近畿人 #- | URL
2012/05/09 22:16 | edit
Re: タイトルなし
>>近畿人さま
コメントありがとうございます。追記しまくってました^^;
過分なご評価ありがとうございます。私文系です。なので文章がくどいのです笑
腕の立つ理系と見ていただけるというのは嬉しい限り。
今後も気張ってまいります。よろしくお願いいたします!
さわK #- | URL
2012/05/10 12:48 | edit
文系理系なんてのは収めている学問の差にすぎず
主に(人間が主体の)世界の理を収めるのが文系
主に(人間が内包される)世界の理を収めるものが理系
できる人はどっちにもいるし、いずれにしても論理的思考は大事
なんて考えでいるが、出来の悪い理系が通ります;;
論理的な思考力を分けてもらいたいね、本当に
以前は長ったらしいコメント申し訳ございません
旭山のカピパラ #vhaQw4H2 | URL
2012/05/10 19:16 | edit
>>旭山のカピパラさま
いつもありがとうございます。
ビビリなんで突っ込まれるのが怖いのです。
でもどうしても書きたいことが出てくるので、自分が何でそう考えたのかなー?、というのと、どういう突込みがあるかなーということを考えながら書いております。
さわK #- | URL
2012/05/12 11:24 | edit
楽しく拝見させて頂きました
ワルさんが、
「まさに天才。もはやこの地上にほむら程の魔法少女を見ることはあるまい……キャハ」
とかいいながら、去っていくんですね?(笑)
カレーライスは日本料理 #- | URL
2012/10/28 10:55 | edit
何週目は、周目ですよね。
#- | URL
2014/05/10 21:29 | edit
Re: タイトルなし
>>名無し様
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、正確な表記は「周目」です。
ですが、ネットでは「週目」と誤記される方がいらっしゃって、そういう方たちの検索も拾いたいので、ひとつの記事の中で複数通りの表記をしております。確かに紛らわしいので直しておきます。
さわK #- | URL
2014/05/11 21:19 | edit
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