日下部保雄の悠悠閑閑

飛び回る日々

ソウルの銀座、江南のホテルから見た景色。どんどん開発が進んでいる

 ジャパンモビリティショーも開催まで1か月を切り、自動車業界は何かと忙しい。各メーカー、インポーターとも出展作業に慌ただしく部品メーカーも合わせるとかなりの出展者がビッグサイトに参集する。インポーターでは韓国のKiaも加わることで、またにぎやかになりそうだ。

 さらに日本・カー・オブ・ザ・イヤーも10ベスト投票を目前にイベントが目白押しだが、特にラリー参加が決まってからは現役時代を上まわるような忙しさで日程のやりくりにうれしい悲鳴を上げている。イヤーカーには今年も多くのクルマがノミネートされ、11月には10ベストが発表される。どんなクルマがそろうのか楽しみでもある。

 そしてこの稿が掲載されるときには結果が出ているメディア対抗ロードスター耐久レース。筑波サーキットから富士スピードウェイに開催場所を移し、無給油で燃費を稼いでラップタイムを上げ課題をこなさなければならないが、実車ではなかなかチャンスはない。そこで活躍するのがシミュレータやグランツーリスモ。今年のCar Watchチームには昨年に続いてマツダ推薦の20歳の若者が加わった。e-Sportの世界から6名選ばれたマツダ・スピリット・レーシング・チャレンジプログラムの3期生の1人、瀬川彰斗さん。応募者6000名というからすごい競争率。見せてもらったシミュレータ上の走りでは実車にコピーできる精巧さを見せ、e-Sport独特の走りはボクにはとても真似できない。e-Sportは効率の良い、いかにも21世紀らしいレーシングドライバーへの道だ。

いつもはがらんとしたBパドックもマツフェスではびっしりとメディア対抗のNDが並んだ
助っ人ドライバーの瀬川彰斗さん。実車経験は少ないが、近いうちに才能豊かな若者の名前を見ることになるだろう

 で、やっと暑さがしのげる日が増えてきた東京より一足早く秋が訪れているソウルにきた。ソウルの緯度は東京より北、新潟あたりで、さらに大陸からの風が直接吹き込むので真冬の寒さは極め付きだが、この季節はとても過ごしやすい。

大河から湧き上がる朝霧の中を走る。美しい朝が始まるちょっと幻想的な風景だ

 都市の移り変わりは急速でも、街を走るクルマはヒョンデやKiaがほとんどなのは変わりがないが、デザインはオリジナリティが高く、先鋭的で世界でも高い評価を得ている。そのせいか街の景色も未来的に感じる。

 片側3車線ある大通りではそんなクルマと燃料電池バスが走っているが、一本裏に入ると世界共通のバタ臭さがあって味がある。ソウルの高層階ホテルからネオンを見ながらその対比を思い出していた。

何気なく走るクルマをながめていたらFCEVバスがやってきた。路線バスに組み込まれている
日下部保雄

1949年12月28日生 東京都出身
■モータージャーナリスト/AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員/日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員
 大学時代からモータースポーツの魅力にとりつかれ、参戦。その経験を活かし、大学卒業後、モータージャーナリズムの世界に入り、専門誌をはじめ雑誌等に新型車の試乗レポートやコラムを寄稿。自動車ジャーナリストとして30年以上のキャリアを積む。モータースポーツ歴は全日本ラリー選手権を中心に活動、1979年・マレーシアで日本人として初の海外ラリー優勝を飾るなど輝かしい成績を誇る。ジャーナリストとしては、新型車や自動車部品の評価、時事問題の提起など、活動は多義にわたり、TVのモーターランド2、自動車専門誌、一般紙、Webなどで活動。