原村和ことのどっちのネット麻雀レート(以下R)2300とはどれほど強いのか天鳳の計算方式で考察してみました。
saki 04_102
今回の考察は天鳳鳳凰卓でR=2300台について計算しています。
のどっちがやっているネット麻雀がどんなものかわかりませんから、もしかしたら全く別のR算出方法の可能性があります。むしろそのほうが可能性が高いです。そのあたりを踏まえた上で読んでいただくようお願いします。

※手順的にはまほっちの時とほぼ同様です。というかまほっちの記事をコピーして書きました。 

まずはおさらい。
天鳳のRの変動は以下の計算式で求められます(必要な部分のみを抜粋しています)。
(Rateの変動) = (試合数補正) x ( 対戦結果 + 補正値 ) x (スケーリング係数)
対戦結果(段位戦4人打ち): 1位+30 2位+10 3位-10 4位-30
補正値: ( 卓の平均R - 自分のR ) / 40

このうち(試合数補正)と(スケーリング係数)は変動の幅であり無視してかまわないため、Rの変動は対戦結果と補正値によって決まります。

続いて補正値。補正値は卓の平均Rと自分のRによって決まります。
のどっちは最高クラスの成績ですので鳳凰卓(七段かつR2000以上)で打っているものと考えます。
鳳凰卓の平均Rについては調べても出てこなかったので、天鳳のランキングから七段以上の平均Rと在位数から計算をしました。その結果七段以上の在位数は2087人、平均Rは2089でした。七段でもR2000以下の人や鳳凰卓に在籍できる成績でも特上卓で打つ人もいるため実際の平均とは異なりますが、ここでは鳳凰卓平均をR=2089とします。のどっちのRは2300ですので
(卓平均R)=(2089×3+2300)/4=2141.75
(R変動)=0.2×((対戦結果)+(2141.75-2300)/40)×1.0
      =0.2×((対戦結果)-3.96)

となります。のどっちがR2300で安定しているとすると(R変動)=0ですのでのどっちの対戦結果の期待値は+3.96です。

では対戦結果期待値が+3.96とはどれくらいなのでしょうか。現実の成績と比較してみます。
天鳳ランキング
上記は天鳳-ランキング-からデータを抜き出して対戦結果の期待値を追加したものです。
最も対戦結果期待値の高い十段でさえ+2.09ですので+3.96はどれほど異常かわかります。

ここから前回と同手順で順位率を求めてます。
まずは1位~4位の順位率です。麻雀上級者の順位率には以下の傾向があります。
(1位率)>(2位率)>(3位率)>(4位率)
このことは「おしえて!科学する麻雀」 でも書かれていますし、ランキングの成績表からも読み取れます。天鳳は特殊なルール形態をしていて、ラスを引かなければpt.のマイナスはありません。そのためラス回避のための和了り3着も頻繁に行われますが上記の傾向は変わりませんでした。のどっちの順位率もこの傾向に従うものとします。

さらに順位率の差額についてです。
順位率グラフ(鳳凰卓)
上のグラフは七段~天鳳位までの(1位率)と(2位率)、(2位率)と(3位率)、(3位率)と(4位率)の差を表したものです。天鳳位を除く全ての段位で(2位率-3位率)がほぼ同じ値となっていることがわかります。その値は0.008です。のどっちもこの数値に従うものとします。

(1位率-2位率)、(3位率-4位率)については段位ごとの明確な関係は見出せませんでしたが十段と天鳳位では次の関係があったためそれを採用します。
(1位率-2位率)=(3位率-4位率)×0.3
もっともこれについてはサンプルが14件しかないためブレている可能性が非常に高いです。


以上の仮定を数式で表すと以下のようになります。
(1位率)=a (2位率)=b (3位率)=c (4位率)=d とする。
a+b+c+d=1.0
(a>b>c>d)
30a+10b-10c-30d=3.96
c-b=0.008
a-b=(c-d)×0.3


上記式を解くとことでのどっちの各順位率が求まります。
(1位率)=0.298
(2位率)=0.270
(3位率)=0.262
(4位率)=0.170

順位率をグラフで表してみます。
のどっち順位率
4位率が飛び抜けて低いのは元にしたデータが天鳳でのサンプルだったためです。違うルールのネット麻雀ならもう少し綺麗な直線に近づくものと思われます。

上述の結果から計算するとのどっちの平均順位は2.304位です。
現天鳳位の平均が2.403位なのでそれよりもほぼ0.1位低いこととなります。これは驚異的です。さらにこの成績は「鳳凰卓で2.304位」ですので実際の成績はより高いものと推測されます。

続いて平均順位からのどっちが上位何%に位置するかを計算してみます。
例によって天鳳のデータが手に入らなかったので「おしえて!科学する麻雀」 にあるMJ4のデータを利用しました。これによると300戦以上のプレイヤーの平均順位は2.491位、標準偏差は0.0705位の正規分布に近似できるそうです。ここから計算すると平均着順2.304位は上位0.4%に位置します(※注1)。これだけ聞くと大したことなさそうに聞こえますがこれは鳳凰卓での成績。鳳凰卓にいる時点でアクティブユーザーの0.5%程度ですから、のどっちは全アクティブユーザーの上位0.002%、5万人に1人の成績となります。鳳凰卓だけで見ても七段以上の在位数は2087人(3/10現在)ですので0.4%は8.348人となり上位10位以内に入るほどの強さです。
実際に現在のランキングを調べてみるとアクティブユーザーでR2300オーバーはトップのクロノス@氏のみ。先ほど出した上位10名よりも大分少ないですが、これは参考にしたMJ4の母集団よりも天鳳鳳凰卓の母集団の方が標準偏差が小さい=プレイヤー間の実力差のバラつきが小さい、ためであると推測されます。
いずれにせよのどっちのR2300は天鳳においてほぼトップクラスであることは間違いありません。

余談ですがのどっちのR2300が描かれている4巻の発売は2008年7月です。この当時天鳳には鳳凰卓はできておらず特上卓が最高でした。この時点でのR2300は現時点でのR2300よりもよりレベルの高いものであったはずです。鳳凰卓が出来たことにより上位者は自身のRと卓平均Rの差が小さくなりRが稼ぎやすくなったこと、ユーザー増加と負けユーザー(R1500未満)の離脱から天鳳全体の平均Rが高まったことがその理由です(※注2)。実際に鳳凰卓が出来た当時(2009年2月)は七段R2000以上に該当するユーザーは100人にも満たなかったと記憶しています。ですが現在は約2000人。ユーザー全体数が10倍になったことを考慮してもまだ倍の開きがあり、以前に比べてRを上げやすくなっているものと考えられます。当時ならばそれこそ伝説と称えられてもおかしくない成績ですね(今でも十分怪物ですが)。


最後にのどっちの在籍段位です。画像では「十」という数字が読み取れますが計算で出してみます。
仮にのどっちを天鳳十段だとすると半荘戦トップで+90pt.、2着で+45pt.、ラスで-180pt.です。これを先ほどの順位率に当てはめてみますとpt.期待値は+8.37pt.。十段でさえ余裕でプラスですのでほぼ間違いなく天鳳位に到達します。天鳳には天鳳位以上の段位はありませんがもし11段以上があったとすると、のどっちの安定段位は13.3段です(※注3)。


<結論>
・各種仮定の元、天鳳におけるのどっちの勝率は以下と推測される。
(1位率)=0.298(2位率)=0.270、(3位率)=0.262(4位率)=0.170
・在籍段位は天鳳位。安定段位は13.3段。
・平均成績は2.304位。天鳳全体の0.002%、鳳凰卓でも上位0.4%の成績。


<考察と感想>
のどっちの成績はやはりネット麻雀なら最強クラスでした。にもかかわらず作中での和の強さはなんとも地味なのは決して和が弱いわけではなくあの世界の連中がおかしいだけです。むしろ和の作中での成績はあの世界においてはリアリティのある方だと思います。麻雀の強さを漫画内でリアルに描くというのはやはり難しいものですね。逆にもし照とか衣と淡とかがあの強さのまま天鳳にきたら安定段位100段くらいは行きそうで怖い。ちなみに安定段位100段はトップ率0.85で2~4位率が全て0.05で出ます・・・本当に出しそうだ。


<今後の考察課題>
・上級卓、特上卓、鳳凰卓でまほっちが闘ったらどうなるか
・藤白七実のR2629とはどれほど魔物か
・のどっち、まほっちを他のネット麻雀に当てはめてみるとどうなるか


-関連記事-
【考察】藤白七実のレート2629とはどれほど化物か


※注1
計算式は以下で求められる。
上側確率Q(u)=Q((2.491-2.304)/0.0705)=Q(2.65)
標準正規分布表よりQ(2.65)=0.0040


※注2
天鳳アクティブユーザー全体の平均Rを計算すると1540となり初期値よりも高い。これは負けユーザーの離脱数が勝ちユーザーの離脱数よりも多いことが原因と考えられる。


※注3
n段位者の鳳凰卓の4位でのマイナスポイントは-15(n+2)pt.。
トップ+90pt.、2着+45pt.は変わらないのでn段時ののどっちのpt.変動は
0.298×90+0.270×45-0.170×15(n+2)
これが0となるnがのどっちの安定レートである。
計算するとn=13.28 となる。
(天鳳位=11段と見なしている)