こんにちは。VENTURE UNITEDの丸山です。

以前に「Amazonの日本での売上が78億ドルというニュースがあったので10-Kを読んでみた」という記事を書きましたが、昨日あらたにコメントをいただきまして
wikiのAmazonの項目を読んでみてください。
取扱高自体が、楽天を越えている可能性があります
というご指摘を受けたので、Wikiを見てみると
一部メディアにおいて、楽天市場の取扱高が1兆2000億円程度、アマゾンの売上高が78億ドルであることを比較し、楽天市場がアマゾンより圧倒的優位に立っているとの報道がされている。[7]
しかし、流通総額においても、アマゾンの日本における流通総額は1兆3000億円~1兆5000億円規模とみられ(2012年)、楽天市場における流通総額をゆうに超えていると考えられる。
(アマゾンの売上高において、マーケットプレイスからの手数料収入は9~12%を占める[8] また、アマゾンにおけるマーケットプレイス販売手数料は8~15%程度である[9] 売上高におけるマーケットプレイスからの手数料収入を9%程度、販売手数料平均が10%程度と仮定する。すると、売上高7300億円のうち、手数料収入は657億円程度と考えられる。また、この収入が販売手数料の10%程度であったとすると、マーケットプレイスにおける流通総額は6570億円程度であったことが分かる。アマゾン自身が販売する売上高6643億円(7300億円-657億円)+マーケットプレイス流通額6570億円=アマゾンの日本における流通総額は1兆3213億円であったことが分かる。 また、マーケットプレイスからの手数料収入12%程度、販売手数料平均が10%程度であったとすると、2012年、アマゾンの日本における流通総額は1兆5184億円となる。)
となっておりまして、あれ、これ、どこかで読んだなとかっていう感もありますが、いくつかの仮定をもとに算出しているので本当のところは密林の中ではないかなと。

よくよく考えたら、我が国におけるインターネットサービス最強であり爆速中の企業であるYahoo! Japanのオークションとかそのあたりのほうがでかいんじゃないかって思った次第で、調べてみたぉ。

ということで、まずはYahoo!Japanの投資家情報から決算説明会のプレゼンテーション資料なページをクリック。
ひとつ見てみると前年同四半期比較しか載ってないので、くじけずにに4四半期分を見て、データをExcelに転記していくという地道な作業を繰り返した次第です。
(”2012年度通期および第4四半期決算説明会”のパワポでいうと85ページにあるデータを引用しています)

まず最初にヤフオク!とショッピング関連の取扱高推移(単位:億円)からヤフオクとショッピング

となっておりまして、季節要因があるのでちょっとした変動はアレですが、だいたい年間で6800億円くらいがヤフオク!での年間取扱高であり、「Yahoo!ショッピング」、「Yahoo!チケット」、「Yahoo!トラベル」を含んだショッピング関連は3,000億円強の年間取扱高となっていて、約1兆円くらいの取扱高があるということがわかります。

しかし、これに「Yahoo!ウォレット」、「Yahoo!カード」、有料デジタルコンテンツ等を加えてeコマース関連の取扱高推移(単位:億円)をみるとeコマース取扱高

となっていて四半期毎に4,000億円くらいの取り扱いになることがわかり、年間では1.6兆円の取扱高になるなぁという感じです。

ちなみに楽天の年間取扱高1.4兆円の内容としては決算説明書の注記によると
国内EC流通総額=モール(通常購入・共同購入)、モバイル、オークション(旧フリマ含む)、ブックス、GORA、ビジネス、ダウンロード、チケット、 ネットスーパー、チェックアウト、楽天競馬、toto、ShowTime、メディアレンタル、ダイニング、サロン(12/2Q~)、楽天マート・ケンコーコム(12/3Q~)

とカードは入ってないけど、デジコンは加わってるし、競馬やチェックアウトも範囲となっているのでヤフーのeコマース取扱高と内容的には互角といえるのではないかなと。

って考えますと楽天よりもY!が最強だし、そうするとWikiに載っている計算方法でAmazonの取扱高を算出してもY!が一歩抜け出している(範囲が違うやんって話もあるけど、取扱高で競いあうならコマース関連の決済まわりもれっきとした取り扱いになるわけで。)と言えるわけでございます。

さらにY!はこの分野でもさらなる成長を指向すべく

ヤフー、イーコマース事業で組織変更
現在、コンシューマ事業カンパニーに集約しているオークション関連事業とショッピング事業を分離し、それぞれ「ヤフオク!カンパニー」「ショッピングカンパニー」とする。専門領域に特化し、各事業を拡大するのが狙い。
とありまして
「ショッピングカンパニー」ではEC事業の「Yahoo!ショッピング」のほか、アスクルと提携した個人向け通販「LOHACO」、ローソンとの提携による食品の定期宅配「スマートキッチン」といったサービスを含め展開。流通総額の拡大を目指す。
という大きく伸ばしていこう戦略なほか、

7月から「Yahoo!ポイント」が「Tポイント」に--ネットのIDはYahoo!に
という話や、投資先であるGrow!とも提携いただいて
定期販売プラットフォームのBoxToYou、Yahoo!ショッピングと連携
ということも取り組んでいて、強い人がより一層努力しちゃうとさらに強くなってしまうやないかいという状態になるなぁという次第です。

いずれにしてもユーザーや販売者や納入事業者にとっては、どこかが一人勝ちするよりかは、こうして強い事業者同士がしのぎを削ってサービスをよりよくしていき、さらにベンチャーが成長してくることで、よりよい選択肢が増えることにつながるので、どこかが最強かを決めることなんかよりもずっとよいことではないかと思うわけでございます。

最後に、Y!にもスマフォの普及というトレンドが押し寄せているようで、ヤフオク!とショッピング関連の取扱高はそれほど大きな変化はないですが、スマフォ経由での取扱高は急伸していますっていうのがこのグラフスマフォ経由

2012年3月期は約1000億円だった取扱高が2013年3月期は約2倍の2,000億円まで増加してきており、Y!のユーザー層でこれだけの伸びを見せているという事実は、今後のインターネットビジネスを考えていくうえではいろいろと示唆に富んでいるなと思った次第です。

では、また次回。