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報道ステーションが2012年6月22日(金)の首相官邸前抗議4万5000人を報じた。その取材報道のあとで、古舘伊知郎は寺島実郎の日米の原子力ビジネス方針をバッサリ切っています。

▼報道ステーション 首相官邸前デモに45000人!

この中の、取材報道後のスタジオの、寺島実郎と古舘伊知郎の会話を文字に起こしました。

寺島実郎は回りくどい発言で、アメリカの方針を守れと言っていますね。

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古舘「あの…寺島さん。この、大事な世論の、まあ一部、というか多くというか。それが今の政治の動きに全く反映されないというなかで、こういううねりがどんどん広がっているように私は思うんですが。デモに関して。」

寺島「ええ」

古舘「寺島さん、どういう印象」

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寺島「僕はね、この市民が発言する力っていう問題意識の高さってすごく大事なことだから。我々は(噛む)間違いなく注目しなきゃいけない。だけどその市民の側もね、僕はそのおとといまで海外動いてたから。そう感じるんですけども。不可解な日本という印象を世界に与えてることについて、もう少し我々自身が理解を深めなきゃいけない部分があると。なんだって言うとですね。日本政府はね、今、限りなく原発に依存しない社会なんて言葉を使ってですね、ひょっとしたら2030年の、電源のゼロですね、でん…原子力をゼロにしようってことさえ可能かもしれないっていう空気を漂わせながらね。その一方でつい先月ですよ。オバマ大統領と面談してる首相、日米共同声明の中で、日米連携の柱の一つとしてね、日米原子力協力っていうのをうたってるわけですよ。」

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▼参考:これが再稼動への脅しの最終形態か? アメリカが再稼働しろと脅してきたから再稼動しよう! と主張する日本経済新聞

※このなかで、野田・オバマ会談で取り決められた「日米原子力イニシアチブ」を紹介しています。

寺島「それは外から見るとどう見えるかっていうと。自分の国ではね、子供たちの未来のために原子力の危うさ、やめようっていう動き見せながらですね。外にはね、日米で協力して原発を大いに外の国に売り込もうとしてる日本っていう姿が見えてきちゃうわけですよ。ですから、その純粋に日本の原子力のあり方についてね、情熱を燃やして議論するのも大事なんだけども。それに加えてね、日本という国が世界に対してね、持ってる位置。例えば現実問題として日米原子力共同体って言葉があるんですけども。東芝がねウエスティングハウスを買ったと、2006年に。で、GEと日立のいわゆる原子力のジョイントベンチャーができてると。日本自身が世界の原子力産業の中核地帯になっちゃってるわけですよ。」

古舘「リトアニアに売ることが決まりましたね」

寺島「で、現実にそういう状況になっている日本がね、日本の国内で、エネルギー政策をどういう選択をしてくるのかっていうことを、息を呑むように見てるってのが世界の空気なんですよ。だからこそね、我々はこれ、議会も議論もする場もなくね、要するに国際社会に対してそういうスタンスを見せてるっていうことについて、しっかりした問題意識を持って。その原子力発電の問題と、昨日の夜この番組でまさにそこに突っ込んでましたけども、いわゆる安全保障とか国防っていう問題がね、原子力っていうのは、絡みついてきちゃうわけですよ。軍事っていうものとね、それからその平和利用の原子力発電っていうものが絡み付いてくる。それをどういうふうな位置関係で整理してね。アメリカとの関係ってのがすごく重く出てきちゃうんだけど、ここでも。日本人としてこれ本気でね、原子力、の問題について、きちっとした考え方を政府が示さないとね。これは、あの、この種のいらだちっていうのが、繰り返されると思いますね」

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古舘「もういらだちを私は超えてると思うんです。あの、原子力基本法の問題くる、今日は時間がなくてできませんけれども。国会が会期延長するならば、これについて、ちゃんと1から話し合ってもらいたい、っていう気持ちを強く持ちます。

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※唇が乾く寺島実郎

古舘「で、先ほどのお話に戻りますが。海外、外国、国際社会から見た時に日本の二枚舌の政治、一方で原発をどんどん外に売ろうとしていながら、国内では違うことを言ってる。不可解な国日本、分かるんですね。で、そっから私生意気ですが、寺島さんと全く意見が違っていて。海外に原発を売ることもさることながら、国内で福島の事故が起き、そして東電・政府はじめ、そういうところの情報隠蔽、全く、不信感が募りってなった時に、ここは原発を、とにかく脱していくっていう方向が模索できないかを、ちゃんと話しあわなきゃいけないという考えなんですが」

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寺島「ん、そうですね。僕のポイントはですよ、原子力の技術基盤を、日本が失ってはいけないと。例えばアメリカと向き合う時、国際社会のエネルギー戦略に向きあう時に、原子力の専門性の高い人材を失うっていうことはですね。ほとんど、この国の発言力を失わせるっていう意味でね。技術基盤の蓄積っていうことがポイントで。じゃあ、その視点に立った時に、発電のどれぐらいを原子力でやるのがギリギリなんだろうかってのが僕ね、まさに、その論点でぎぢ(噛む)、きちっとした議論をすべきだってのが僕が今、言ってるとこなんです。エネルギー調査会なんかで」

古舘「寺島さんのお考えは分かるんですが。しかしながら、不可解な国日本でいうと、これだけ国際社会に迷惑をかけて、放射能汚染の広がりがあった時に、日本が原発を脱して、国際社会にそういう国になるんですって見せるっていうね。そういう考えも、そこは1つ寛容に、議論していかなきゃいけないと思うんですね」

寺島「その通りだと思います、そこは」

古舘「はい」

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寺島実郎は、原子力技術者をどう確保するかということを主張している。

『寺島「僕のポイントはですよ、原子力の技術基盤を、日本が失ってはいけないと。例えばアメリカと向き合う時、国際社会のエネルギー戦略に向きあう時に、原子力の専門性の高い人材を失うっていうことはですね。ほとんど、この国の発言力を失わせるっていう意味でね。技術基盤の蓄積っていうことがポイントで。じゃあ、その視点に立った時に、発電のどれぐらいを原子力でやるのがギリギリなんだろうかってのが僕ね、まさに、その論点でぎぢ(噛む)、きちっとした議論をすべきだってのが僕が今、言ってるとこなんです。エネルギー調査会なんかで」』

その主張を踏まえれば、寺島氏は、原子力をゼロにすることは不可能だと主張しているということになる。原子力を国内で続けることで技術者を育成し、海外に原子力を輸出するなどの外貨獲得が可能になると言っているわけで。原発をゼロにすれば外貨を獲得できないよということになるわけですね。

そこに世論を誘導したい寺島実郎と政府・アメリカの方針があるわけです。寺島実郎は、政府を批判しながらアメリカ政府の方針に従うべきだとはっきりとメッセージを出しているわけです。

『例えば現実問題として日米原子力共同体ってことばがあるんだけども。東芝がねウエスティングハウスを買ったと。2006年に。で、GEと日立の原子力のジョイントベンチャーができてる。日本自身が世界の原子力産業の中核地帯になっちゃってるわけですよ。」』

「なっちゃってる」という表現がまわりくどい。日本が選んでそのようにした、というわけですが、それに世論の批判が集まらないように、かわしているのではないか。

で、デモについてピントがずれた発言をしていますね。

寺島『ここでも。日本人としてほんとね、原子力の問題についてきちっとした考え方を政府が示さないとね。これは、あの、この種のいらだちってのが、繰り返されると思いますね』

デモをしている4万5000人は、再稼動に反対しているわけで、政府の方針が定まらないことに苛立っているわけではないのですが。寺島実郎は、政府の方針が定まらないから国民が苛立っているというふうに持って行こうとしていますね。

だけども、この寺島実郎の世論誘導に対して古舘伊知郎は明確に切り捨てています。

『古舘「でもいらだちを私は超えてると思うんです。」』

寺島実郎の現実の認識は、ズレてるよとバッサリ切っています。

ただ、これが、どこまで彼らの手元にある台本に従っての発言なのか。

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どこから先は突っ込んで話すのはよそう、という取り決めがあるのか。僕はいつも疑っています。

喋らなければ負けだよ

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