外務省に告ぐ

2011年10月21日(金)、元外交官で作家の佐藤優氏が文化放送「くにまるジャパン」に出演しました。そこで、野田首相のTPP参加の意向が世界に与えた動きについて分析しました。

※この放送は5話に分けて掲載しています。

音源
http://youtu.be/ncsrk6doQsg

※初稿です。誤字脱字は随時修正いたします。

=====(文字おこし、続き)

じゃあなぜですね、突然北朝鮮、こういう雰囲気になってきたのかと。実は今国際情勢はうんと大きく変化してるんです。プーチン首相がユーラシア同盟ってのを作ると。それによって旧ソ連諸国をもう1回固めようとしてると。実は私はそれの引き金を引いたのは我が野田首相だと思ってるんですよ。」

野村「野田総理が?」

佐藤「ただ野田総理がどこまでそこに気づいてるか。実は野田首相がTPPへの協議への参加をすると、言いましたよね。あれによって、突然国際社会動き始めちゃったんですよ。なぜか。

TPPってのは日本の論争見ると自由貿易で日本がこのまんまじゃなんかアメリカにしてやられちゃうと。よくないよおと言ってるその農業団体とか色んな医師会とかいろんな人達がいるっていう対立で捉えられてると。自由貿易と思われてるんですね。しかし国際社会はそうじゃないんです。これはブロック経済です

野村「ブロック経済」

佐藤「はい。大東亜共栄圏みたいなものです。ようするにアジア太平洋地域の中では自由貿易ですが。外との間に壁を設けると。」

野村「はいはい」

佐藤「そういう事なんですね。例えば今日本で就職大変でしょ。これどうしてか。要するに格差ができて下のほうの賃金下がって。雇用が大変と。

ところが日本の中で格差広がってますけども、中国の労働者と日本の労働者の格差はかつてなく、縮まってるわけです。

そうすると裏返すとこの格差問題ってのは中国と人・物・金の移動を自由にしたから起きてるわけなんですよね。

そうすると中国の大学を卒業したら今、3万5000円から4万円だと思うんですね。月収。そこまでになれば日本のこの就職難も解決します。

しかしそれでいいのかってことですね。そうすると、壁を設ければいいんです。壁を設ければ日本の中でまわしていく。あるいはアメリカとかオーストラリアとか、中国を排除して回していくってことならばまわるんですよ。」

野村「これ先々週、佐藤さんがおっしゃった、TPPってのは、ある意味経済ということだけではなく、その、まあ中国排除のための壁を作るってことをおっしゃってましたけどもね。」

佐藤「ロシアはそれを見て、これはいい話だと。それだから、我々は中国がでかくなると面倒だと。それだからユーラシア同盟を作る。TPPとユーラシア同盟で仲良くしていきましょうって言ってるわけなんですよ。」

野村「あのあたかも旧ソ連がもう1回できるような感じですよね」

佐藤「ただし軍事じゃない。経済を中心とした同盟。

それからEU。ギリシャの人たち、あんまり働かないと。事実あんまり働かないんですね。年金はいいと。給料はいいと。しかしそのギリシャを追い出さないで、ヨーロッパが問題解決するためには1つしかないんです。これは、EUの枠の中でユーロの為替ダンピングをやるんです」

野村「為替ダンピング?」

佐藤「要するに、今まで1ユーロが仮に、100円だったとすると。これを仮に50円にすると。そしたらヨーロッパ製品って値段が半分になるわけですよ。ドンドン売れますよね。こういう政策で乗り切ろうとしてるんですよ。これがブロック経済です。

ですから今のドル高っていうのは、日本との関係においては、いやドル安っていうのは円高になってるんですけども。これアメリカの為替ダンピングですよね。これを整理してアジア太平洋地域の中で全体として調整して、ダンピングをして外からドンドン取ってくると。外で商品を売りやすくすると、これ、下手すると戦争を引き起こすんですけどね」

アナ「えっ……」

佐藤「しかし今、そういう風に世界動き始めてんですよ。その中で北朝鮮は今中国と組んでると、中国包囲網が出来たときにお前(北朝鮮)も中国の仲間で、しかも北朝鮮って変な国ですからね。こいつをやっつければ取引できると中国動くかもしれない、と(北朝鮮が)心配しだしたと。

そこで、ロシアに向かってるんですよね。それでロシアと同時に、今回こういったシグナルを出して、日本との関係も改善したいと。

ですから、この北朝鮮のシグナルに対して、日本政府が反応して少しロシアの力も借りながらですね、北朝鮮の様子を探れば、我々に取って極めて重要な拉致問題の、解決のことも新しい光が見えるかもしれない。

それから更に、北朝鮮の核開発、これが少なくとも日本には向いてこない。ミサイルが日本に向いてこないようにする。そして北が核を拡散しないようにする。そういった枠組み作れるかもしれない。だから、野田さんはピンポイントでいいとこ押したんですよ。それ実はおとといの、日韓首脳会談もこれプロの目からみると大成功。」

=====(文字おこし、続き)

続き:佐藤優が分析、日韓首脳会談がプロの目から見たら大成功だった理由とその立役者2人

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