大変残念なことだが、このままでは、20ミリシーベルトは撤回されない。なぜならば福島県側が国に被曝上限20ミリシーベルト引き上げを要請したからだ。ピンと来ない人にはこう伝える。福島県知事が、国に被曝上限を20ミリシーベルトにしてくださいとお願いしたからだ。独立した権限をもつ知事が、原発の稼働を認めなければ原発は稼働できない。それと同様に、国に対して被曝上限を20ミリシーベルトお願いしているのだから、国はそれを最大限尊重するのだ。

佐藤雄平・福島県知事こそが国に対して被曝上限を20ミリシーベルトにしていることを鋭く糾弾しているブログがある。

「子供の20ミリ被爆」と「SPEEDI隠し」は「泣き芸」知事の仕業

ぜひご覧頂きたい。

この中で、TBSラジオの武田記者が、福島県側が20ミリシーベルトを要請したことを伝えている。

『TBSラジオ武田記者:

「実は基準を高くして20msvにしてくれと言っているのは地元。基準を低くすると(すでに福島県民は)放射能汚染していることになり、ますます風評被害が広がるが、基準を高くすれば政府が安全と言ってるんだから大丈夫だ、と地元民に説明ができるからだ」』

地元とは誰か。地元住民が20ミリシーベルトにしてくれと訴えたのだろうか。違う。地元とは福島県の為政者、佐藤雄平福島県知事にほかならない。

敵は福島の中央にいたのです。

子どもを守るべく福島県の有志が文部科学省前で抗議をしたことは記憶に新しい。これまで当ブログでも20ミリシーベルトを決定したのは文部科学省だとみなして糾弾してきたが、十分ではなかった。官僚は腹の中で「福島県からの要請があったからだ」とほくそ笑みながら県民の前に姿を表しのらりくらりと発言し福島県民をけむにまいてきたのだ。自分に責任がないと認識している官僚は、けっして罪悪感を持つことはない。原子力安全・保安員の西山英彦を見ていればわかる。

責任者:文部科学省高木義明

要請者:福島県知事佐藤雄平

文部科学省の長、高木義明は20ミリシーベルト問題で、住民の抗議の前に姿を表さず逃げ続けている。

この図式は責任を曖昧にしている。なぜか。

●20ミリシーベルト引き上げは、福島県を守るためという名目

●20ミリシーベルト引き上げには、福島県民の声は反映されていない。

●20ミリシーベルトひきあげを要請したのは福島県知事

●最終決定は文部科学大臣高木義明が下した。

文部科学省だけに責任があるならば、文部科学省の内部で意見が戦わされることもあるかもしれない。だが文部科学省の役人の胸には「福島県からの要請」という事実がある。我々が進んで取り決めたことではない、という言い訳が批判と改心を鈍らせる。

福島は、住民自らが知事に選んだ佐藤雄平により被ばくさせられるという運命にある。福島だけではない。県外に点在するホットスポットの住民もだ。

この運命を法的に訴えて変えるには、知事のリコールという方法がある。有権者の3分の1の署名を集めれば、知事のリコールの請求が可能になる。

佐藤雄平福島県知事と文部科学大臣高木義明のリコール請求で局面を変えられる。

だが残念なことに知事のリコール請求には有権者以外の署名は力にならない。つまり福島県の有権者の署名しか有効ではない。なぜ福島知事が要請した20ミリで福島県外の人々まで20ミリ被ばくさせられなくてはいけないのか。その責任は文部科学大臣高木義明にある。

佐藤雄平福島県知事・・・有権者、福島県民。

高木義明文部科学大臣・・・有権者、長崎1区。

長崎1区の住民たちに福島原発による被曝の当事者になっていただくのは難しいかもしれない。やはり佐藤雄平知事のリコール請求行うのが最優先だ。

ーーー(追記)

福島原発事故後、私たちには、大きく分けて3つの課題があることを意識的に理解して捉える必要がある。その3つは以下のとおり。

【1】被曝上限20ミリシーベルトの撤回

【2】脱原発

【3】福島原発事故の収束

この3つは根は同じだが、解決策が違う。大雑把に書くと以下のようになる。

【1】被曝上限20ミリシーベルトの撤回・・・国と福島県知事に対する住民の戦い。

【2】脱原発・・・国に対する各地方自治体と地方自治体住民の戦い。

【3】福島原発事故の収束・・・福島原発事故に対する、国と東電の戦い。住民お手上げ。

先日Twitterで10年単位の戦いになると簡単に仰っている人がいたので、一旦整理してみた。具体的に書くと、なんとなく10年単位の戦いになる、という発想にはならないだろう。

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