今さら、という人もいるかも知れないが、あまり語られてこなかった気もするので、原子力安全・保安院の仕事について言及しておく。原子力安全・保安院、の仕事は、原子力の「保安」だけではない。電力全般の保安だ。他の原子力関連組織「原子力委員会」「原子力安全委員会」は原子力のみに関する機構だが、「原子力安全・保安院」は電力業務全般に関わる組織だ。
現在、国会内に原発を規制する第三者組織を作る動きや、原子力安全委員会を独立させる考え、また、「原子力安全・保安院」を経済産業省から独立した組織とする考え、が巻き起こっている。IAEAも、以前から、「原子力安全・保安院」を独立した組織にするよう日本に要請してきた動きもあるが日本は無視してきたという状況がある。
なぜ、斑目春樹率いる「原子力安全委員会」が骨抜きのチェック機関になったか、について、筆者は想像だが、「原子力安全・保安院」が10年前に出来上がったことで、原子力安全委員会の権限が奪われひねくれてしまったから、だと考えている。最近注目され始め、ブツブツ、文句をいうようになったが、その声に力はない。それはさておき。
改めて原子力安全・保安院、の業務を見てみると、それが原子力発電所に関わること以外の多岐に渡っていることがわかる。というよりも、むしろ、原子力発電所に関する業務は1つの業務に過ぎないのではないか、と思わせるほどだ。実質的には、日本のエネルギー政策は原子力推進一辺倒であるのだが。
TOP画像は、原子力安全保安院のホームページだ。今一度掲載して、皆さんに観ていただきたい。
お気づきだと思うが、画像の下部に、原子力安全・保安院の業務が並んでいる。箇条書きにしてみる。
・原子力の安全
・電力の安全
・鉱山の安全
・火薬類の安全
・都市ガスの安全
・LPガスの安全
・高圧ガスの安全
・熱供給の安全
多岐にわたっている。しかし、ここに「石油」の文字はない。念のため、ホームページ内の「原子力安全・保安院 > NISAについて > 原子力安全・保安院とは?」を確認してみる。
ここでは、「液化石油・ガス保安」と、石油についても言及していた。CO2を減らす政策をしているために、外部への印象付けとして、TOPページでは「石油」に言及していないのだろう。
やはり、「原子力安全・保安院」はエネルギー業務全般に関する業務を行なっている組織だ。国の意思でエネルギー政策全般を推進する組織だ。
つまり原子力安全・保安院は、原子力のエキスパート集団ではない。日本のエネルギー政策を俯瞰して推進する組織だ。エキスパート集団ではない原子力安全・保安院が、事故の対処にエキスパートならではの力を発揮出来ないのは自明だ。ヘラヘラと受け答えに終始する西山英彦は、心のなかでは、「私たちは原子力のエキスパートではありませんから」というエクスキューズを繰り返しているに違いない。
そんな素人集団に原子力を牛耳られてしまった原子力安全保安院の斑目春樹の心境は、推して知るべしだ。斑目春樹の能力も推して知るべしなのだが。
このままでは、原子力安全・保安院を簡単に独立させることもできない。
もし、今後、エネルギー政策が大転換し、自然エネルギーに向かうとすれ、このまま「原子力安全・保安院」がそれを統括して推し進めることになる。つまり、自然エネルギー政策を通すためには、「原子力安全・保安院」の許可が必要になるのだ。
現在の原発事故への対応を見る限り、「原子力安全・保安院」の情報公開への意識は、甚だ低い。西山英彦審議官の「国民に公開するという発想がなかった」という発言には、くらくらする。今後、原子力を推進するにせよ、クリーンエネルギーを推進するにしろ、「原子力安全・保安院」は必要がない。
「原子力安全・保安院」は日本のエネルギー政策をダメする。これは、推進派も、脱原発派も、異論がないだろう。
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コメント一覧 (3)
DarkCircle 1/9 国際エミー賞受賞作
http://www.youtube.com/watch?v=y9Q7kKzgenk
プルトニウム等放射能の恐怖が如実に感じられる動画
もし文字おこし等情報が伝わっていなかったら
是非お願いいたします