50 PM)
3月12日午後3時36分に東京電力福島第一発電所1号機の建家が水蒸気爆発したあとの、原子力安全保安院の会見を文字に起こした。会見を務めたのは中村幸一郎審議官。些細な質問に異常なほどの長い回答や、繰り返しを行っている。氏は、当日この会見の前の会見で、「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表していた。そしてこの日の夜、菅首相と枝野官房長官によって更迭された。

NHKニュース 原子力安全・保安院の会見

断っておくが、筆者は中村審議官個人を批判するために文字に起こしたのではない。中村審議官が、原発事故について、特に水素爆発について、どれだけの情報を知った上で会見に出て、受け答えしていたかを、氏の受け答えから推測したいという意図がある。加えて、動画が削除される前に、できるだけ発言を残しておきたいという意図もある。このエントリーでは、筆者の考えなどは原則として記さず、文字におこすことに専念する。

以下、動画内の全発言、文字おこし。

(動画はじめ)

27 PM)

中村審議官「中村でございます。それではあの、えーお待たせをして申し訳ございませんでした。あの第15項というかたちに成ります。では、あの、まずわたくしのほうから、えーっと、えー、福島第一原子力発電所1号機におけます爆発及び白煙につきましてお話をさせていただきたいと思います。」

中村審議官「あのー…本日は15時36分過ぎでございますけれども、えー、ふく、東京電力の福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋とタービン建家の周辺に置きまして、えー、縦揺れと共に爆発音が発生をしたと、いう連絡が東京電力のほうよりございました。えー、現在、あのー、詳細については確認中でございます。」

中村審議官「いろいろその情勢を見ながら、いろいろ情報を集めながら、今後対応策を、検討して、参りたいと思っております。えー、(小さく咳払い)、その状況につきまして、あの、ん(小さく咳払い)、現時点では、えー、具体的な情報が、その得られてないものですから、我々としては、今申し上げた形でのまずは情報収集をして、情報分析をして、具体的なその対応策というのを出来る限りすみやかに検討してまいりたい、という風に思っております。」

中村審議官「(前を見る)。お手元にお配りしました。その被害状況の第15項につきましては、あの、えーこれまでお配りしてるところから変更点につきまして、えー、下線部を記してございます。あのー、特に、あのー、えー、この場に起きまして、えー、新たに、申し上げる、うー、所につきましては、あの、下線部を引いておりますけれども、原子力発電所の関係につきましてはまず、この第一原子力発電所におきます、その爆発の発生とその???が発生をしているところについて、まずは、あのー、現在の、おー、保安院の状況につきまして確認してるところにつきましておはなしをさせていただきます。(隣の人に「はい」といっているのか)」

46 PM)

中村審議官「はい」

声「それではですね、質疑応答用になります。人数多いので順番にあてていきます。えー、ちゃんと挙手をよろしくお願いします」

07 PM)

左上に、西山英彦氏がいる。この時点では、まだ、原子力安全保安院の担当ではない。

24 PM)

男「すいません」(前を通る人)

声「では男性の方お願いします」

12 PM)

なぜか、一斉にカメラマンたちが移動する。テレビカメラが引きの絵に変わったため画面に映り込むのを避けたのか、それとも、他に意図があるのか。

記者「共同通信の加藤ともうしますけれども、えーと今回、あのー、?・???住民の方が逃げるときにどういったことを注意して、どう行ったふうに逃げたらいいのか、教えていただきたいと思います」

中村審議官「ええ、あの、地方自治体の方からですね、非難、誘導につきましてのご指示があろうかと思いますので、そのご指示に従いましてですね、えー、え、えー、えー、(言葉を選んでいる)(不明瞭)に従いまして、えー…」

02 PM)

中村審議官「あのー、避難、それから退避というものを進めていただきたいと思います。」

記者「個別に、あの、集団にまとまるようなことができてない人は、もしいらっしゃった場合は、どうすればいいのでしょうか」

中村審議官「(息を飲む)」

15 PM)

中村審議官「(正面を向く)えー、あのー、えー、そういう方々につきましてはですね、非常にあの、えー、足元が不自由なとかですね色いろ状況あるかと思いますけれども、可能な限りにおきまして、地方自治体の、えーと、よく連絡をとっていただきながらですね、繰り返しになりますけれども、ご指示に従いましてですね、ご指示ご指導に従いまして、えー、」

※となりから小さな声で話しかけられる

中村審議官「(一瞬隣を見る)」

09 PM)

中村審議官「えー。ご指示、ご指導に従いまして、あのー、行動をとっていただければと思っております。(強く)あの、(小さく。咳払い)えー、(正面を向く)、放射性物質の状況につきましては、あの、われわれ把握してるところあるいは、あの、そのそれぞれの関係機関の方でですね、いろんな形で、えー把握をしておりますので、えーそして状況認識をしておりますので、決してあの、えー、えー、慌てたりとかですね、そのようなことをなさらないような形で落ち着いて応対をしていただければと言う風に思っております。」

声「じゃあ、壁際の男性の方からお願いします」

記者「すいません読売のトミヤマ?と申します。??の映像を見る限り建家は崩壊しているように見えるんですけれども、閉じ込める機能の低下をどのように評価しておりますか?」

中村審議官「あの、えー、ああいう形で、映像を見る限りでございますので、私どもとしてですね、その、閉じ込める機能について、えー、どういった形で評価をすればいいのか。評価をするに当たってのいろんな放射性物質の状況であるとかですね、あるいは、それ以外の損傷の状況でありますとか、そういったものを、やはり、よく調べて、情報を入手してですね、判断をする必要があるかと思います。そういった物を今情報収集に努めているところでございます。」

記者「爆発の前後でモニタリングポストの値に変化はあったんですか?」

中村審議官「あのー、恐縮でございますけれども、えー、今、私の方の手元にはですね、具体的なその数値について確認できる数値について報告はまだ来ておりません。(目を見てうなづく)(表情がより深刻に?)」

50 PM)

声「一列目の女性の方お願いします」

記者「この爆発によって、今、この建物はどういう状況になってるのでしょうか。映像を見る限り外壁がない、骨組みだけのような状況に見えますが、建物はどうなってるのか教えてください。」

中村審議官「あのー、申し訳ありません、えー、私どもの方でですね、ちょっと繰り返しになって恐縮なのですけれども、えー、あの映像を見る限り、の、その、あのー、情報しかですね、具体的な情報が得られてないものですから、これからどういう形でですね、情報収集をしていって、どういう形で認識をしてですね、情勢を認識してですね、どういう対策をとればいいのかということを良く考えていきたいと思います。」

声「あのすいません、3列目の男性の方」

記者「朝日新聞のコモリ?ですが」

01 AM)

記者「爆発音から2時間半かかっておりますので、まず今わかっていることはなんなのか、それを最初からおっしゃってください」

56 AM)

記者「(不明瞭)保安院として何を把握してるのかまず説明して頂けますか?」

中村審議官「あの東京電力の方からですね、あのけが人の方が4名いらっしゃるという報告はうけております。あのー放射性物質の、えー、線量値につきましては、えー、先程ちょっと申し上げましたけれど、具体的に、あの、(咳払い)どこに、えー、どこの地点でですね、どういう値であるのかと、処については充分確認をして、えー、これからその確認をするという状況でございます。」

声「じゃあ2列目の男性の方」

声「すいませんもうすこし大きな声でカメラの方に通っておりませんものですから、もう少し大きい声で、恐れ入ります」

記者「(不明瞭)ですけれども、原子炉そのものに重大な損壊が発生している可能性はありますか?ないですか?」

中村審議官「あの、そこは、よく判断を、あのよく、あれですね」

記者「可能性はありますか?」

中村審議官「情勢を、とあと、あー、状況をよく見て情報を集めてですね、放射性物質の状況でありますとか、線量の状況であるとか、被害の損壊の状況でありますとか、これもその建物、それから格納容器とうとうございますので、そういったところのその状況について、情報を集めた上で判断をしていきたいという…」

記者「可能性はあるという想定で調べるんですね?」

中村審議官「あの、えー、繰り返しになりますけれども、えー、??ダン?を持ってですね、その、え、、なにかひどいことほんとに起こってるかということではなくてですね、まずはあの客観的なその情報っていうのをきちっと、一つ一つ集めていきたいという風に思っております」

(動画終わり)

12日の、この会見の前に行った同じく中村審議官の会見の動画が見つからないのが残念。炉心溶融したおそれがあることを認めた会見だ。もしご存じの方がいましたらご一報下さい。中村審議官を更迭したことが原発事故対応をごてごてに向かわせたのではないかと考えており、どうしても動画を確認したいからです。ここ数日の間に会見動画の多くが削除され、発言が確認できなくなることを個人的に危惧して文字おこしを続けています。よろしくお願い致します。

追記1)

文字おこしをして感じたことを新しく記事にさせていただいた。

菅首相は絶対に中村審議官を更迭してはいけなかった。その理由を怒りをこめてわかりやすく。