評論家・山崎元の「王様の耳はロバの耳!」
山崎元が原稿やTVでは伝えきれないホンネをタイムリーに書く、「王様の耳はロバの耳!」と叫ぶ穴のようなストレス解消ブログ。
たまには、友達のことを誇ってみよう!
あらかじめお断りしておく。議論好きで真面目を自認される読者が、以下の拙文を読むのは時間の無駄だ。
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勝手に「友達」と呼ばせて貰うが、山岡秀雄氏は、私が他人に自慢したいと思う数少ない友人の一人だ。
山岡氏の職業は、大手出版社の漫画雑誌の編集長であるらしい。しかし、私は彼が編集した雑誌を手に取ったことがないし、実のところ、雑誌の名前すら知らない。私が自慢したいのは「編集長の友達」ではない。
私が誇りに思うのは、特別な親近感を覚える知人が、類い希な感性の表現者であることだ。彼は、シングルモルトのテイスターなのだ。
味覚、嗅覚の表現は難しい。多くの場合味や香りのあるものを並べて「・・・・(のよう)」としか言い様がないが、複数の「・・・(のよう)」を組み合わせることによって、伝わる相手には何かが伝わるし、伝わらない相手には何も伝わらない。
味覚・嗅覚に較べると、恋愛やセックスの感覚などは、がさつな小説家でもこれを伝えて飯が食えるくらい表現が易しい。
山岡氏の著作から一つ引用させて貰おう。
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Islay(Ardbeg) 1974 Kingsbury 26年、50度。(87点)
香り:ピート焚きした麦芽と、レザー、土、塩素、スモーキーだが穏やかな印象。蜂蜜、リンゴ、レザーのキュートなバランス。加水するとニッキ飴。徐々にピートが目立つようになってくる。
味:心地よい甘みとピート。燻製したキャラメル。スモーキーでスパイシーだが、バランスが取れている。加水するとややスパイシーさが目立つようになり、わずかに硫黄がでる。
2000年に、1973のアードベッグと同時に発売された。1973は、よりドライで、ピートの主張がはっきりしていた。どちらが好みかは意見が分かれるところだが、私は個人的には1974の方が好きだ。
(文 山岡秀雄、写真 渡辺裕之 「シングルモルトのある風景」 小学館、より)
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納得するしかないテイスティング・ノートだが、ちなみに、「私は個人的には」1973の方が好きだ。
畏友の著作「シングルモルトのある風景」は、アイラ島の、風景写真と、蒸留所の解説と、テイスティング・ノートで構成されている。
テイスティングの対象は、ありがちなガイドブックのような現行品のオフィシャル・ボトルではない。特別なリリースやボトラー物を中心とする本当に旨い酒だ。全く同じ酒には出会えないかも知れないが、近い物を飲むことによって、モルトに対する理解が間違いなく深まる(私は、偉そうなことを言える身分ではないが、そう思う)。
手元に置いて、繰り返し読む価値のある書籍だ。
唯一残念なのは、アイラ島の現在稼働している蒸留所しか取り上げられていないことであり、つまり、ポートエレンに関する山岡氏の評価が無いことだ。
ちなみに、90点以上の評価を得た酒が10本ある。評価は単純ではないが、「Islay(Ardbeg) 1974 Kingsbury」で87点なのだ。想像をたくましくして、期待されたい。モルト好きなら、是非知りたいところだろう。
さて、私の側で、山岡氏に特別な親近感を持つ理由を説明しよう。
山岡氏とは、神保町の「モルトの師匠」のバー(食べログだとこちら。http://r.tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13011381/)でお会いした。師匠に、「ヤマザキさんと大学と年齢が多分同じです」と紹介された。
時々お会いして、モルトに関する蘊蓄を聞かせて貰いながら語ってみると、山岡氏は、小学生時代に、北海道は札幌にいたことがある、ということが分かった。そうか、あの頃、同じ空気を吸っていたのか。
小学校は、どこだったのだろうか。真駒内小学校であったらしい(札幌オリンピックの選手村があった辺りだ)。
担任の先生は誰だったのか。大滝という苗字の、何とも田舎臭いキャラクターのオバサンが3、4年の頃の先生だった。
何と、私は、あの山岡秀雄氏と同じクラスにいたのだった! 遠い記憶だが、ヤマオカ君という声の高い、青白い瓜系統の顔をした、東京から来た都会的な同級生が確かにいた。
今や、私もすっかりオッサンになった。付き合いの良いことに、山岡氏も神経質な瓜から、カボチャの貫禄に進化した。しかし、彼には、他人にない味覚・嗅覚のデリカシーと表現力がある!
それにしても、「シングルモルトのある風景」はいい本だ。モルト好きなら、私が、社長や大臣の知り合いよりも、山岡氏を知っていることの方を誇りたい理由を100%分かって貰えると思う。
●
<追伸> 作業員さま、moto金田浩さま、作業員さん一家の皆様
毎日おいで頂いている「貸し切り個室」的コメント覧を、こちらにご変更いただいてはいかがでしょうか。時には、大らかに自慢してみたりするのも悪くないように思います。
とはいえ、仕切りは作業員さんにお任せします。よろしくお願いいたします。
新参の方も歓迎します。一見コワいと思われるかも知れませんが、作業員さんは優しいので、安心してご来店下さい。
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勝手に「友達」と呼ばせて貰うが、山岡秀雄氏は、私が他人に自慢したいと思う数少ない友人の一人だ。
山岡氏の職業は、大手出版社の漫画雑誌の編集長であるらしい。しかし、私は彼が編集した雑誌を手に取ったことがないし、実のところ、雑誌の名前すら知らない。私が自慢したいのは「編集長の友達」ではない。
私が誇りに思うのは、特別な親近感を覚える知人が、類い希な感性の表現者であることだ。彼は、シングルモルトのテイスターなのだ。
味覚、嗅覚の表現は難しい。多くの場合味や香りのあるものを並べて「・・・・(のよう)」としか言い様がないが、複数の「・・・(のよう)」を組み合わせることによって、伝わる相手には何かが伝わるし、伝わらない相手には何も伝わらない。
味覚・嗅覚に較べると、恋愛やセックスの感覚などは、がさつな小説家でもこれを伝えて飯が食えるくらい表現が易しい。
山岡氏の著作から一つ引用させて貰おう。
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Islay(Ardbeg) 1974 Kingsbury 26年、50度。(87点)
香り:ピート焚きした麦芽と、レザー、土、塩素、スモーキーだが穏やかな印象。蜂蜜、リンゴ、レザーのキュートなバランス。加水するとニッキ飴。徐々にピートが目立つようになってくる。
味:心地よい甘みとピート。燻製したキャラメル。スモーキーでスパイシーだが、バランスが取れている。加水するとややスパイシーさが目立つようになり、わずかに硫黄がでる。
2000年に、1973のアードベッグと同時に発売された。1973は、よりドライで、ピートの主張がはっきりしていた。どちらが好みかは意見が分かれるところだが、私は個人的には1974の方が好きだ。
(文 山岡秀雄、写真 渡辺裕之 「シングルモルトのある風景」 小学館、より)
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納得するしかないテイスティング・ノートだが、ちなみに、「私は個人的には」1973の方が好きだ。
畏友の著作「シングルモルトのある風景」は、アイラ島の、風景写真と、蒸留所の解説と、テイスティング・ノートで構成されている。
テイスティングの対象は、ありがちなガイドブックのような現行品のオフィシャル・ボトルではない。特別なリリースやボトラー物を中心とする本当に旨い酒だ。全く同じ酒には出会えないかも知れないが、近い物を飲むことによって、モルトに対する理解が間違いなく深まる(私は、偉そうなことを言える身分ではないが、そう思う)。
手元に置いて、繰り返し読む価値のある書籍だ。
唯一残念なのは、アイラ島の現在稼働している蒸留所しか取り上げられていないことであり、つまり、ポートエレンに関する山岡氏の評価が無いことだ。
ちなみに、90点以上の評価を得た酒が10本ある。評価は単純ではないが、「Islay(Ardbeg) 1974 Kingsbury」で87点なのだ。想像をたくましくして、期待されたい。モルト好きなら、是非知りたいところだろう。
さて、私の側で、山岡氏に特別な親近感を持つ理由を説明しよう。
山岡氏とは、神保町の「モルトの師匠」のバー(食べログだとこちら。http://r.tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13011381/)でお会いした。師匠に、「ヤマザキさんと大学と年齢が多分同じです」と紹介された。
時々お会いして、モルトに関する蘊蓄を聞かせて貰いながら語ってみると、山岡氏は、小学生時代に、北海道は札幌にいたことがある、ということが分かった。そうか、あの頃、同じ空気を吸っていたのか。
小学校は、どこだったのだろうか。真駒内小学校であったらしい(札幌オリンピックの選手村があった辺りだ)。
担任の先生は誰だったのか。大滝という苗字の、何とも田舎臭いキャラクターのオバサンが3、4年の頃の先生だった。
何と、私は、あの山岡秀雄氏と同じクラスにいたのだった! 遠い記憶だが、ヤマオカ君という声の高い、青白い瓜系統の顔をした、東京から来た都会的な同級生が確かにいた。
今や、私もすっかりオッサンになった。付き合いの良いことに、山岡氏も神経質な瓜から、カボチャの貫禄に進化した。しかし、彼には、他人にない味覚・嗅覚のデリカシーと表現力がある!
それにしても、「シングルモルトのある風景」はいい本だ。モルト好きなら、私が、社長や大臣の知り合いよりも、山岡氏を知っていることの方を誇りたい理由を100%分かって貰えると思う。
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<追伸> 作業員さま、moto金田浩さま、作業員さん一家の皆様
毎日おいで頂いている「貸し切り個室」的コメント覧を、こちらにご変更いただいてはいかがでしょうか。時には、大らかに自慢してみたりするのも悪くないように思います。
とはいえ、仕切りは作業員さんにお任せします。よろしくお願いいたします。
新参の方も歓迎します。一見コワいと思われるかも知れませんが、作業員さんは優しいので、安心してご来店下さい。
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