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雇用のルールをどうすればいいか

 2月17日付の「読売新聞」(朝刊)の「はたらく」という連載欄に「転職しやすい社会に」という見出しでインタビュー記事を載せて貰った。
 正社員の解雇の仕組みを整えるべきだということと、転職の際に不利や障害のない仕組みにした方がいいということの二点を意見として取り上げて貰ったが、雇用に関する制度設計では複数のルールをセットで考える必要があるし、紙面も限られていたので、現時点で、雇用のルールがどのようであれば望ましいと考えているのかについて、列挙してみる。ごく大雑把なもので、まだまだ変化の余地があるが、備忘のメモ代わりだ。

(1)正社員の指名解雇が出来る仕組みが必要

 会社にとって望ましい人的資源配分をなるべく低コストで且つ予想できるコストで達成できるようにするためには、正社員であっても、会社が任意に選んだ社員を解雇できることを手続きと補償を含めて明確にルール化することが必要だ。
 企業に利益の追求と(社員個人の)福祉の両方を求める中途半端な仕組みは、上手く行かない。企業は利益の追求に徹し(その中で社員への福祉提供が合理的な場合はあるだろう)、個人の救済は政府の仕事だと整理したい(原則として、政府は、企業単位、業界単位の補助や救済は行わない)。
 
(2)解雇の際の手続きと最低補償額を明確に定める

 会社は予想可能なコストで社員を解雇できる方が経営計画が立てやすいし、解雇される社員の側も解雇の予告期限や最低幾ら貰えるのか権利が明確である方が不利を受けにくい。手続きや補償額を明確化することで、労使双方が交渉コストを節約できる。
 現状では、社員はしばしば自己都合退社に「追い込まれて」不利な条件を甘受する事が起こっている。
 指名解雇の最低補償額を幾らにするのがいいかは難しい問題だが、期待年収の3ヶ月分から半年分位をイメージしている(額の多寡、条件の定め方には諸説あるだろう)。もちろん、これは、社内制度的にも、税制的にも退職金や年金とは別のものにすべきだ(妙な節税の余地を残すべきでない)。
 
(3)退職金に対する税制上の優遇を廃止する

 給与の後払いの形式として「退職金」を制度化することは企業の勝手でいいが、これに税制上の優遇を与える必要はない。税制上の優遇を無くすると、退職金は、多くの場合、縮小・廃止に向かうだろう。
 尚、現在の退職金に対する税制上の優遇を最も有利に使っているのは、たぶん複数回の「渡り」を繰り返す官僚(OB)だろう。官僚OBが退官後に何度も就職することがあっていいが、この際の収入に対して税制上の優遇を与える必要はない。
 また、ついでに言っておくと、通勤費や家賃を経費として認める必要はない。社員個人は、自分の収入の中から、通勤時間や住み心地などを考えて、自分の所得の中から住居や通勤手段を考えるといい。
(注;退職金への税制優遇や、経費を認めないことによる税収の増加分は、所得税の減税でバランスを取ってくれるといい)

(4)退職金・年金の勤続年数による差別を禁止

 会社に社員を縛り付けるためのインセンティブとして退職金や年金の制度を、会社がかなりの程度勝手にデザインできる(たとえば勤続15年以上ないと企業年金加算部分ゼロなど)現在の仕組みは、働く側にとって不利だ。
 退職金や年金は給与の後払いだと考える方がスッキリする。

(5)退職理由による退職金(あるいは年金)の差別を禁止

 社員が、自分に合った会社を選ぶことが出来るようにするためにも、自己都合と会社都合の退職に差を設けるべきではない。両者の差は(2)の補償のありなしで十分だ。

(6)官僚の解雇も多額の収入も可能に

 (ほぼ)絶対に解雇がない、長期的にメンバーが固定された利益集団である官僚の、自らの権益を目指す結束は堅い。この点に関する官僚の結束には、民間人も政治家も凡そ対抗できる感じがしない。
 また、人材の入れ替えが可能である方が、有能な人物を要職に登用できるし、政治の(時の政権の)意思を政策に実現しやすい。
 幹部職員(課長以上?)の任用と処遇は、実質的にすべて担当大臣の裁量とし、解雇も可能にする代わりに、多額の報酬も可能にする。加えて、こうした幹部職員の人事評価と処遇(年収の明細)は全て情報公開の対象とする(「お手盛り」がやりにくいように)。

(7)「天下り」も「天上がり」もあり。但し、不正には厳罰

 この点については、過去と考え方を変えた。官界で民間人材の登用を考える以上、官界から民間への移動を厳しく制限するのは対称性を欠く
 天下りを規制しても不正はあるし、癒着は生じうる。不正や癒着に対する監督と罰則を強化することで問題に対処すべきだろう。

(8)労務管理の責任は実質的な業務指示者が負うことを明確化

 製造業の派遣は禁止する必要はないが(禁止すると就労機会が減ってしまう)、就労者の安全や健康管理に対する責任は十分に責任を持って守られなければならない。

(9)副業の原則自由を明確化

 就業規則で副業を禁じることを原則として禁じる。副業は個人の権利であり、会社ごときが特別の事情無くこれを原則禁止する就業規則を設けることは不適当だ。
 「同業他社での副業」など、特別に不都合なケースについては、個別列挙的にその禁止を社員と契約する。
 現在の判例でも本業の(?)会社の業務に支障のない副業はOKらしいが、原則禁止されている副業の権利を社員個人が裁判で勝ち取るというのは馬鹿げている(裁判に勝っても会社員としては殆ど「終わり」だろう)。
 
(10)企業年金は確定拠出年金に一本化する

 確定給付の企業年金(DB)は企業にとって本業でない余計なリスク要因であり、不要だ(投資家にとっては普通株を買うのにDB部分の投資信託のようなものをセット販売されるようなものだ)。公的年金(サラリーマンの厚生年金と公務員の共済年金は同条件に「一元化」されることになっている)プラス、個人の自助努力支援の仕組みとしてのDCがあればいい。今後、官民の人材交流が必要であることも考えると、共済年金の三階部分はDCに移行することが望ましい。
 将来の理想型としては、公的年金の二階部分を廃止すると共に(どうして自営業者にはないのだろうか?)年金制度をベーシック・インカムに改変して、国民全てが「ベーシック・インカム&確定拠出年金(DC)」という共通の制度を利用するように整理したいところだ。
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コメント
 
 
 
感想 (大田区)
2009-02-20 15:46:15
独創的な提案で面白かったです。ただ「正社員の指名解雇」については、会社内の“政治”で人事が決まることが多いことを考慮すると、会社と社員の双方にデメリットが生じやすいことも考えられるので、熟慮が必要な気がします。
 
 
 
http://devo.livedoor.biz/ (あさのっち。)
2009-02-20 17:54:40
はじめまして。
雇用契約書を取り交わす文化が浸透すれば良いのになと思います。

 
 
 
Unknown (かくせいⅢ)
2009-02-20 19:03:51
基本的に賛成

現状は、中高年社員のノーワーク・ハイペイメントが多すぎる。(まあ、若いころ薄給だった人だから大目に見る必要もあるかも知れませんが)能力があるのに活用されない地位についてしまって、無能レベルで停滞するというピーターの法則の通りである。こう言う方も経験を生かせる職場が必ずあると思うし、周囲を見渡してもそう言う実例は多々ある。

そう言う窓際の方を多く抱える企業が存在するのは、終身雇用、年功序列賃金の性だから、正社員も解雇できる法整備をすべきだろう。

そして、解雇された方が次の職場に移動しやすくするには、年功序列賃金をやめて、職能給を広く企業が採用すべきである。それでないと、年齢給があると中高年の採用が難しくなる。また、職能給を採用すれば、当然、同一労働同一賃金になるから(法律でこれを規制すると年功序列賃金が排除されるだろう)、正社員も派遣も同じ賃金となるだろう。

店主のご提案に加えていただきたいのは、同一労働同一賃金で、年功序列賃金の排除である。
 
 
 
解雇の前段階 (ny)
2009-02-20 22:54:58
非常に合理的な案かと思います。
辞めさせたい社員から仕事を取り上げて何もさせないとか、意味不明なコトに会社が労力を使うのはもう辞めた方が良いでしょう。

いくつか付け加えて欲しいのが解雇にいたる前の「減給」や「降格」ですね。降格は社内の話ですが、減給も急激にやると今の法律では違法になるそうなので。。これが一般的になれば解雇せずに済むケースもあるでしょうし。

あとはこれも会社の自由ではありますが、新卒に偏る採用なども、中途の入社をやりにくくしていますね。会社を出て行くためには次の仕事無いと辞められない、でもなかなか行く先が見つからない、という問題にもつながっていると思います。流動性アップのためには新卒採用への偏りを改める必要もあるでしょう。学生の勉強の邪魔にもなるでしょうし。

ちなみにこの法律改正は社員の権利の保護のために、高校や大学の最終年次に労働に関する法律や仕組みをキッチリ教える、といった教育もセットでやって欲しいですね。対等に交渉できるだけの準備はある程度してあげたほうがいいとは思いますので。
公正な競争は公正なルールから始まる、といったイメージです。
 
 
 
職種にもよると思う。 (コアファイター)
2009-02-21 04:30:49
正社員の指名解雇は明確な数字が出ないような部署には運用できないような気がします。

試しにやってみない事には、どんな不具合が生じるかはわからないですしね。

どんな公正なルールでも使用するのは人間である以上、主観が入るのは必然でしょうし。

一番初めに私が指名解雇になったら悲しいなぁ。

 


 
 
 
Unknown (平ちゃん)
2009-02-21 11:06:39
転職の際に最も不利益が発生する事項として年金、退職金の不公平の指摘については、まさにその通りだと思います。

一方、転職を考える際にもうひとつ不利益になる大きなものとしては住環境(中古住宅売買市場)の問題が挙げられるのではないでしょうか?
現在の日本のように家の売却が低価格でしか行えないような環境の場合、持ち家であった場合には家の買い替えはどうしても憚られるために、転職先としては持ち家の所在地を中心に考えざるをえなくなってきて、転職先の候補が大幅に限られてくると考えられます。

転職をしやすい社会としては、住宅の売買によって金銭的な損失が発生しないような社会、あるいは、どのような家族構成についてもそれなりに納得のいく賃貸住宅が求められるような社会であることも必須のように思われます。
 
 
 
ベーシックインカム (大平@ベーシックインカム研究所)
2009-02-21 13:03:54
派遣村に絡んでいて雇用のルールに疑問を感じていました。

ベーシックインカムがあれば、企業側も過剰な正社員の保護をする必要が無くなり
>正社員の指名解雇
もしやすくなるでしょうね。

>年金制度をベーシック・インカムに改変して、国民全てが「ベーシック・インカム&確定拠出年金(DC)」
年金制度→BIと言うのは考えていましたが。
それだけでは物足りないとも思っていました。
そうか、DCが有ったか!と言う感じです。
素晴らしいです。
 
 
 
雑感。。。まとまりのない文章で失礼します。。昼間からのんでいます (へなちょこ技術者)
2009-02-21 14:33:05
下らないツッコミですが、”正規雇用のルール”ですね。ご提案には大賛成です。
30年もの長期雇用(正規雇用)が限界に来ているんでしょうね。
そもそも有期雇用であれば契約ベースで解決していくんだと思いますが。勿論、(ご提案のように)法律で最低水準については決めておくべきなんでしょう。
有期雇用を原則として考えると、同一労働同一賃金というよりは、長期契約の人が短期契約の人よりも同一労働で賃金が一緒(実際は高い)というのが異常な状態に見えます。


個人的にはフリードマンつながりで、法人税(企業献金)の廃止も付け加えて欲しいところですね。。組合と経団連がいると制度設計が歪みそうです。。




 
 
 
Unknown (arisutoterusu)
2009-02-21 17:58:56
どれもこれも賛成です
 
 
 
誰もが簡単に再就職できれば苦労しません (くまさん)
2009-02-22 22:28:23
山崎様の提案には、前提として、「解雇されても再就職できる」という考えがあると思われます。
しかし、現在問題になっているのは「解雇されても次の職場がない」人の存在です。ひとつは、技能の積み重ねが生じない職種の人であり、ひとつは技能の積み重ねがあっても、その技能自体にポータビリティの無い人です。「就職」ではなくて「就社」しちゃってる人です。

つまり、「安定した人生を送りたければポータビリティのある技能を身につけよう」ということになり、逆に言うと、「ポータビリティのつかない仕事は避けるべきだ」ということになります(現在でもすでにそうなってるのかもしれませんが...)。皆がそういう考え方をしても、日本という国が成り立つのならば、それはそれで結構なのですが、現実には職業の選択幅が狭い人もいれば、会社独自の業務を行う人もいるわけですね。

そもそも、大企業に顕著なのですが、新卒には広く浅く経験を積ませる一方で、中途採用では(狭く)深い技能を求める傾向があります。つまり、同じ会社においても、社員に身につけさせる技能と、転職者に求める技能がミスマッチを起こしているわけであり、こういった根本的なところをなんとかしないことには、単純に人を切りやすくしただけではハッピーになれないと思います。

社会の生産性が上がったところで、個々の労働者の生活が守られるとは限らないのであり、だからこそ労働法制などの規制が築かれてきたのであり、「規制=悪」という単純な図式は成り立たないと思います。
 
 
 
実際にはどうなるんでしょうか? (ドイツ特派員)
2009-02-22 22:54:51
最近、山崎さんの20年後の顔が与謝野大臣じゃないかと思っています(笑)。

確か、この議論は少し前にベストセラーになった梅森浩一氏の「クビ!論」でも出ていたと思いますが、一番の問題は再雇用の少なさでしょう。当然、解雇が増えればそのポスト分の再雇用は増えるわけですから、四則計算上は問題にはならないでしょうが、解雇される人がどういう人かを考えると、中々計算が成り立たない。会社の内定と同じで、複数取れる人は取れるし、駄目な人はどうにも取れないという状況が出るでしょう。その点で、くまさんのご指摘はよく分かります。

ただ、それはそれとして、制度として山崎様が指摘されている点は至極真っ当な内容だと思います。要は、まだまだ「転職なんかする奴は駄目な奴」ということを制度が引きずっているということかと思います。
 
 
 
後進のためにも、辞めてもらいたい。 (佐藤健)
2009-02-23 00:33:28
くまさん

解雇や、その後の就職は、大抵の人にとって辛いものです。また、解雇を受け入れ難い理由も、生活費の他、様々でしょう。

しかし、余剰人員を抱えながら、他社との競争に敗れ、倒れてしまったら元も子もないはず。今後も会社が、生活の糧を得る主な手段であり続けるでしょう。
その会社存続には、外国を含めた競争相手が立ちはだかります。世界を見渡せば、日本人よりずっと低い給料で働く人が圧倒的多数です。

仮に、ある技能が生涯安定と目され、多くの人が殺到したら、もうその職を目指すことは、不安定では?

現在の職場や賃金水準に拘ると、まるでドイツのように、高失業率という結果になって、社会に跳ね返ってくるのではないでしょうか。
 
 
 
究極の選択です (くまさん)
2009-02-23 01:25:42
>>佐藤健様

佐藤様は、再就職できない人はどうあるべきだと思われますか?

・職業を選ばなければ再就職できるはずだ。(不向きであっても、過酷であっても、低賃金でも)

・職業訓練すべきだ(その資金は誰が出しますか?訓練さえすれば企業は雇ってくれますか?)

・再就職できなくても良い。(ベーシックインカムで水平線すれすれの生活を一生送れば良い?)

極論じみた究極の選択ですが、「そういった選択をしたくない」ということを選択したのが、安易な解雇を規制する今の法律の仕組みだと思います。

国全体の生産性も大切ですが、個人の基本的人権というのはもっと大切ではないでしょうか?
 
 
 
仕組みを考えましょう (山崎元)
2009-02-23 03:03:38
>くまさん様

正社員の解雇に絞って、世の中の仕組みを考えてみましょう。

まず、正社員が解雇できない現状で、既に失業している人がいます。正社員が解雇できると、その空きポストに再就職できる可能性があるのですが、それが起こりにくいので、失業者が固定化しますね。

もっとも、この場合、ポストを空けるために、別の失業者が生まれます。

すると、「雇用の全体量が増えなければダメ」だということになります。ここは大事なポイントで、そのための対策(マクロの経済対策を含む)が重要です。ここのところは、雇用のルールとはまた別に頑張って貰う必要があります。

全体の雇用が増えない中で、個人の努力不足を責めるオクタニレイコさん風の議論は、ある種の根性論として一面の真理ですが、社会全体がこれに同調すると、失業者を弱い順から死に追いやりますね。

ところで、正社員の世界にも人材の入れ替わりはありますし、企業が正社員を雇おうとすることは起こります。この場合、企業の経営者にとっては、他の条件を同一とすれば、解雇が容易な正社員の方がそうでない正社員よりも総合的に見て「低コスト」(将来の不況の可能性も織り込んだコスト評価です)だといえますから、正社員の解雇が可能な状況を作った方が、そうでない場合よりも、雇用全体は増えるのではないでしょうか。

バブル崩壊後の不況を通じて、正社員のコストに懲りた、というのが、大なり小なり現在の企業経営者のホンネではないでしょうか。

働ける機会も、基本的な人権も、誰にとっても大事なものだとすると、これを、今正社員で働いている人だけを優先して尊重するのではなく、将来雇われることを目指す人も含めて社会全体の人々に対して均等に認めて、全体としての機会と権利の増大を目指すという考え方があってもいいのではないでしょうか。

もちろん、現実に働く人の失業の不運に同情・共感することは大切です。しかし、特定の層への共感にウェイトを置きすぎると、別の層に対してもたらされる残酷な影響を見落とすことがあります。

雇用の問題は、全体としてどうなのだろうか、という視点を持ちながら考える必要があると思います。

ここで、一つ、正社員解雇に関する注意事項も述べておきましょう。

現在の状況で、雇用の流動化だけを強調して、正社員の解雇条件緩和だけを選考させると、場合によっては景気をさらに悪化させる効果が生じる可能性があります。企業が人的不良在庫を集中的に一掃した場合、彼らに払っていた賃金が持っていた購買力がなにがしか失われる可能性があります。

もっとも、そのときの景気ばかりを判断材料にしていると、いったい何時望ましい仕組みを作るのか、という問題も出てくるので、制度を変えるとしても、そのタイミングはなかなか難しい。

それではどうすればいいのかを考えると、政府によるセーフティーネット作りを先行させて、間を置かずに、雇用のルールも変えていく、というような手順で物事が進むといいと私は思っています。



>かくせいⅢ様、皆さま

「同一労働同一賃金」の原則は、実のところ、入れるか入れないか、最後まで迷いました。

年功序列(賃金)をはじめとする本来は無用な既得権を解体する強力な概念になると期待する一方、「同一労働」の判断基準が難しいので、運用の仕方によっては、余計な制約になることが心配です。

今回は自由な交渉によって決めたらいいという方向で考えましたが、「同一労働同一賃金」は、どうなるか一度試してみたいルールの一つです。
 
 
 
雇用契約書 (bobby)
2009-02-23 12:18:28
あさのっちさん

弊社では以前に社員の解雇で揉めた時の教訓で、全社員の雇用契約を明文化して、契約書に各社員の署名をもらう事にしました。そのときに、解雇の条件も盛り込みました。香港でも小さい会社は暗黙の了解で「雇用契約」している事が多いですが、問題のもとになります。

くまさん
解雇を容易にする事と、労働者がポータビリティーのある技能を身につける事と、常時社員募集のある社会環境を構築する事は、すべてセットで行う事が必要だと思います。

以前に下記の記事で書きましたが、香港の労働者はポータビリティーの高い技能を修得し維持する為に、数年ごとの転職を繰り返しています。
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=535

山崎さん
常時社員募集のある(転職先を見つけるのが容易な)社会環境を実現するとっかかりとしては、沢山の有望な零細企業(販売、貿易、技術開発など)が常時たくさん起業する環境をつくる事が一つの方法だと考えます。その為には、下記の記事中の「営業の自由」度が日本は低いように思います。事務所を借りるにしても、敷金を1年分も取られたりするなど事務所開設の初期費用が非常に高い、新顔の会社は現金前払いでも直接取引きさせてくれないなど、超保守的な社内規則の会社が多い、などです。
http://bobby.hkisl.net/mutteraway/?p=590
 
 
 
技術系社員として (ケビン67)
2009-02-23 12:41:18
技術系の仕事には、その会社でしか通用しないスキルというものがあります。
その会社をクビになれば、もうそのスキルを活かすところはありません。
これは。「技術系」という仕事に運命的に宿命づけられているものだと思います。(もちろん、すべての仕事がそうであるわけではありませんが)

例えば、原子力発電所を作っている企業は、世界に3社しかありません。
東芝を指名解雇された人が日立に行くというのは、雇用慣行的にも、守秘義務的にも無理だと思います。

技術者がその会社でしか通用しない高度な専門技術を見つけようと努力することの対価は、長期雇用の保証やその技術が必要でなくなったときに方向転換できるまでの面倒を見るという約束だと思います。

そもそも会社がそんな約束を果たすと期待している技術者がバカなのでしょうか?

山崎さんが十数回転職したという記事を読むたびに、1つの会社でしか役に立たないスキルを身につけてしまった自分がバカだと思うようになりました。
 
 
 
価値の高い人を首にはしない (かくせいⅢ)
2009-02-23 14:01:19
ケビン67 さま

全然分野の違う業界で技術屋でやってきた人間として申します。(店主の代理の積りではないですが、店主には技術のことを具体的に解説するご経験はないでしょうから少しでしゃばってお話します)

その分野でしか使えない技術なんて、極めて少ないのではないでしょうか。原子力発電所に関連した技術で申しますと、核分裂の制御そのものは、特殊でしょうが、他の蒸気発生・冷却系、タービン、制御、等々は随分と広い分野で活用できる技術でしょうし、何よりも特殊な知見よりも、技術的問題を解決するセンスの方が重要です。個別の特異的な知識等は、経験者の指導を受けることが出来れば、入社して1年ぐらいでキャッチアップできる場合が多いのではないでしょうか。

もっと長い年数がかかるよと言う技術があるのなら、それを修得している貴兄を指名解雇すれば、会社が困るでしょう。指名解雇される人は、代わりを採用すればすぐ代替できるような、レベルの高くない技術を担当している場合ではないでしょうか。

いずれにせよ、他企業に行っても、この人を採用して儲けたと言わしむるような能力を磨いておくことが、いま働いている企業から指名解雇されない要点だと思います。

また、指名解雇されて競合他社に就職するのは何ら問題ないのではないでしょうか。自己都合退職で競合他社に就職するのとは訳が違うと思います。
 
 
 
技術系社員 その2 (ケビン67)
2009-02-23 15:39:41
かくせいⅢ様

ご意見、ありがとうございます。

◆合意できる点
「何よりも特殊な知見よりも、技術的問題を解決するセンスの方が重要です。」
「他企業に行っても、この人を採用して儲けたと言わしむるような能力を磨いておくことが、いま働いている企業から指名解雇されない要点だと思います。」

◆合意できない点
「その分野でしか使えない技術なんて、極めて少ないのではないでしょうか。」
→どのようなレベル・種類の技術者を想定されているのかによります。時として、技術者は、その分野の最先端までたどり着くこと要求されます。たどり着いた時点で、もうその技術はいらない、別の分野に行って、といわれて、はい、そうですかとはならないと思います。
「もっと長い年数がかかるよと言う技術があるのなら、それを修得している貴兄を指名解雇すれば、会社が困るでしょう。」
→例えば、日立が原子力発電所から撤退するとすると日立の原子力発電所の技術者はどのようになるのでしょうか?
原油高と地球温暖化が起こらなければ、十分にあり得ることです。
(大前研一さんのようにコンサルタントになるのでしょうか?)
 
 
 
補足にでもなれば・・・ (naka)
2009-02-23 18:02:42
ケビン67様

 反論みたいな内容になっているかも?知れませんが、そういうつもりではなく、感想を書きます。
「私の方が正しい」と言う主張ではありません。
(内容は、かくせいⅢさんの焼き増しとなっている気がしますが。)


→どのようなレベル・種類の技術者を想定されているのかによります。時として、技術者は、その分野の最先端までたどり着くこと要求されます。たどり着いた時点で、もうその技術はいらない、別の分野に行って、といわれて、はい、そうですかとはならないと思います。

 ★ これは、普通に考えると、会社側の方も大損害ではないでしょうか?
   パワー(費用や日数)をかけて、その人へ技術の取得をして貰っています。少なくとも、その人の人件費分はかかっております。
   確かに、タダで人を雇える、モノを買えるのであれば被害は少ないでしょうけど、実際は結構な高コストになるのでは無いでしょうか?(政府がお金を出しているものについては、確かに十分あり得ると思います。実例を挙げられる方も多いと思いますが、今は一般企業という話で進めております。)

   もちろん、上記のような事が起らない可能性は0ではありませんが、それが多発するようであれば、その企業や業界は、破綻するのでは無いでしょうか? また、その情報がオープンになっているとすれば、近づく人はいなくなるでしょう。

   あと、技術そのものの話ですと、結構20年前に取得した知識や技術が、今生きてくる事例とかもかなりあります。
   過去の、その当時は全く使えなかった技術が、その人・その会社に有ったから、ノーベル賞級の発見・発明が出来た事例とかも多々あります。
   つまり将来、どんな技術が必要になるか、誰も予測出来ません。予想はしますが、予想通りになった例は少ないでしょう。最先端技術と言う話であれば特にです。
   そう言う意味でも、ある技術が不要になったからと言って、その技術を保有している優秀な人材のクビをいちいち切っていたら、その会社は持たないと思います。(もちろん、無能な人材と見なせばこの限りでは無いでしょうけど、無能な人材に最先端の技術を習得させる様な判断を、会社はするでしょうか? もちろん間違いはあるでしょうけど。)




→例えば、日立が原子力発電所から撤退するとすると日立の原子力発電所の技術者はどのようになるのでしょうか?
原油高と地球温暖化が起こらなければ、十分にあり得ることです。
(大前研一さんのようにコンサルタントになるのでしょうか?)

 ★ もし、上記の技術者の心配をするなれば、究極には、「自分で会社を作りましょう!」しか答えが無い気がします。
   今までの雇用形態では無理が出てきている、という前提であると思います。
   (問題に無理があるのではなく、何か中間解になるもの(契約である程度ケアするなど)が無いと、無理な気がします。
    それが、ここの店主様の主張だとおもっております。)

   上記は心配ではなく、『今までの雇用体系の方が、店主の主張より良い』ということであれば、そちらで話をすすめて下さると有りがたいです。
   (個人的意見ですが、その可能性も大いにあると、思っております。)


   私がいる業界ですと、たとえばCOBOL が、DBが出てきたことにより、大量に不要な人材となってしまいました。(COBOLが最先端技術か? という疑問はありますが、例として) COBOLとDBとでは、生産性が違い過ぎました。以下が詳しいです。
http://www.pro.or.jp/~fuji/mybooks/okite/okite.6.6.html

   会社は無理矢理COBOLの仕事を作ったりなどしていたところも、有った様です。


   でもそのとき、機能として同じ事が実現できるのに、数倍高いお金を払っていたお客さんの方がどれだけ居るのでしょうか? 多分、
お客さんの数は0に近づく → 売上減 → 会社倒産 → 本人もクビ&失業
では無いでしょうか?(小企業では、このパターンは結構有ったと思います。)

   結局、生産性が違い過ぎるので、そのときの技術者はなんらかの転換をせざるおえなかったと言う話は、色々見聞きしております。
   でも、その中で本当に優秀なごく一部のCOBOL技術者は、あちらこちらから引く手あまただった事も、見聞きしております。
   (急には無くならないので。ある1名は「定年を超えているのに、会社が定年退職をさせてくれない」と嘆いている?人もいました(本人に直接聞いた話です)。)

   もし、技術が不要になれば、その技術(人材)を無理矢理温存するよりは、さっさと方針転換した方が、本人の為にも会社の為にも良いのでは無いでしょうか? また、社内にこだわるよりは、他社も含めて考えた方が、より今までの技術に近いところが見つけられる確率が高くなのでは無いでしょうか? そして本当に優秀な技術者なれば、技術は不要となっても、技術者は会社の中に留めておくという動きも働くのでは? でもそれがルール化されていないと、会社・社員ともに不幸では? と思っておりますし、感じております。


   それを、たとえば政府主導で終身雇用をなんとかしようとしても、結局は無理が出てしまうのでは無いでしょうか? 

   (ちなみにそのちょっと前の頃は、COBOL技術者は、政府主導のもとで大量に技術者を増やそう増やそう、としていた時代でもありました。
    時代の流れにより、無意味となってしまった技術者を大量に増やしていたという不幸もありました。)



   あとこれは余談ですが、終身雇用となっても、最先端技術を取得するとは限らないでしょう。
   もしそうであれば、公務員技術者は全員(とは言わないまでも、たとえは半数とか)、スペシャリストになっているハズです。
   この原理が働くのであれば、個人的には『技術者は全員公務員にする(収入・生活を、それなりのレベルで保障する)』とした方が、国家戦略的に良いと思います。(多分これは、共産主義国家の世界で、それを推し進めるだけであれば、失敗すると思います。(歴史的に見てですが。))

   またこれは個人的な感想ですが、「おじさん1人クビ切れば、若い人2~3名雇えるし、その方が会社としてもよいだろうなぁ」ということも有ります。その時の市場に若い人がいなければ、それは夢物語ですが、実際の市場には溢れておりました。もちろん、おじさんを社会的に切り捨てて良いわけではなく、たとえばBIという仕組みで救いましょう(生活水準は下がるでしょうけど、少なくとも死ぬ事は無い)という事を提案されているのだと思っております。
 
 
 
技術系社員 その3 (ケビン67)
2009-02-23 19:05:14
naka様

ご意見、ありがとうございます。
本当は長文を持って反論したいところではありますが、その余裕がないので、改めて、要点を書かせていただきます。

①世の中には、比較的転職しやすい汎用性の高い業務スキルとそうでない業務スキルとがあると私は思っている。(私は勝手に自分の業務スキルは汎用性が低いと思っている。また、1つの分野でスペシャリストになれば、別の分野でもそこそこやるのでは、という期待のもとに雇ってくれる会社があるかもしれないとは思う)

②最初の投稿では、それを技術系/非技術系という切り口で書いてしまったので、それは違うだろうという指摘を受けた。

③業務スキルが転職しやすいかどうかよりも、当の本人の異分野への順応性、器用さ、頭の切り替えができるかどうかの方が重要であることはいうまでもない。

④そもそも会社が終身雇用してくれるなどということを期待することがおかしい。沈む船からはいつでも逃げられるように準備しておくことが労働者が自分を守る術だ。

⑤以上を理解した上でも、会社が指名解雇できるようになれば、汎用性の低い業務スキルしか身に付かないような仕事では、相当にモチベーションが下がるだろうと思う。(少なくとも私は)

以上、いろいろ書きましたが、要するに「指名解雇」というのは、納得できない。それがなぜかをもっとうまく説明したいのですが、できなさそうなので、この辺でやめときます・・・。
 
 
 
変身、転身は世の常なり (かくせいⅢ)
2009-02-23 22:51:22
ケビン67 さま

打ち切ると仰っているのに追い討ちみたいになりますが、ご辛抱いただいてお読みくだされば幸甚です。

>例えば、日立が原子力発電所から撤退するとすると日立の原子力発電所の技術者はどのようになるのでしょうか?

2つあります。1つは、他社に部門ごと人付きで売却される場合。貴兄が貴重な技術を持っておられたら、多分買い取った会社で評価されるでしょう。ただ、買い取った会社も同様の部門を持っている場合が多いので、そこの技術者に劣るようでしたら、配転か解雇はあるでしょう。2つ目は、転売せずに閉鎖する場合、配転か解雇かがあるでしょう。この場合は、運が悪かったとしか言いようがありません。

でも、nakaさんの話のようにそれまでの知識が全く役に立たないような変化は大なり小なり技術者は経験します。私の知っている技術者は、真空管の技術者から出発しましたが、トランジスターが出て、真空管での知見は役に立たなくなりました。トランジスターもIC(集積回路)が出て、知見を変えないといけなくなりました。それに対応したら、LSI(大規模集積回路)、VLSI、と進化したのですが、知見を総入れ替えしたそうですが、最後はVLSIの研究所長をやってました。

ある人は、ミシンの会社の技術者で入り、不振でタイプライターの技術者に変身し、それもワープロで駆逐されて、ファックスの技術者となって定年退職しました。同じ仕事で一生終わるより、変化があって面白かったというのが本人の感想です。

誰しも、過去の経験なり技術なりが役に立たなくなる変化が来ることを覚悟して、変化が来たら自ら望んで克服する、それを楽しむぐらいの気持ちでおれたら最高です。

正社員にも指名解雇が出来る時にはセフティネットがしっかりしている時でしょうから、「よし!新しい分野の技術をマスターするか」と気楽に分野転換できるようになるはずです。デンマーク等では、解雇になっても悲壮感などこれぽっちもなく、失業保険を受けるには職業訓練を受けないと駄目となっているらしく、しかも数年間保障されているらしいですから、自分を高めて割りのよいところの職を得ることも可能だろうと思います。そうなれば、面子の問題も軽くなるでしょう。

もう一つ付け加えますと、振り返って見て、仕事で大事だったのは、技術ではなくて、人に自分の考えを納得してもらったり、協力してもらったり、私の思いどうりに行動してもらったりしたことで、これは技術ではなく、文系能力だったと思います。技術4割、文系6割という感じですかね。

nakaさま、ご丁寧な補充ありがとうございました。
 
 
 
汎用性の低いスキル (KZ)
2009-02-23 23:12:06
私も、論理的には山崎さんの意見に同意しますが、
おそらくケビン67さんと同様に、いざ自分のまわりにあてはめてみると納得いかない点があります。

同じ製品に関わる技術者でも、他分野に移行しやすい技術を担当する人もいれば、そうでない人もいます。
多くの分野で、1人前の技術者になるには、大学、大学院で学び、
そして就職してから10年以上経験をつむ必要があると思います。
このように時間をかけて習得したスキルであっても、
例えば、ソフト、分析、設計関係は、移行しやすいと思いますが、
製品固有の部分を担当する人は、比較的移行しにくいでしょう。
私が関わっているのは、原子力のような特殊なものではなく、
ごく普通の家電製品ですが、それでも他の分野ではまったく通用しないスキルも製品を作るためには必要なのです。

山崎さんの言うような制度が実現すれば、
汎用性の低いスキルが求められる仕事をすることには高いリスクがあります。
かと言って、それに見合った待遇が受けられるとも思えません。
結果として、担当する人がいなくなるでしょう。
簡単に指名解雇できる社会では、スペシャリストは育たないように思います。
もちろん、経営者以外は兵隊でいいという会社もあると思いますが。
 
 
 
くまさんへ 解雇されてもまだマシな国 (佐藤健)
2009-02-24 00:19:33
くまさん

私は、職を選ばなければ働き口はあると思います。その口は、終身雇用ではなく、多分低賃金の件を指します。再就職の準備は、ハローワークを利用するか、自分の貯蓄を使う方がいいと思います。逆に再就職先からの支援を当てにするのも考え物です。支援を受けた後に、そこを辞めたくなっても、良心がとがめますので。

失業者を立場の弱い順から追い詰めると言われれば、返す言葉はありません。

お客(売り上げ)あっての会社ですから、経営者自身が
責任を取って辞めることまでは出来ても、従業員の生活水準の終身にわたる保証などとても期待できません。

日本は食料・エネルギーのみならず、様々な完成品にいたるまで輸入している現実ゆえに、外貨を稼げる企業の存続が絶対です。
もし、その企業の多くが衰退すれば、失業の増加の他、先進国では有り余っている筈の食料や、機械、医薬品なども値上がりし、それこそ生活の困窮が多い国に後戻りするのではないでしょうか。
 
 
 
技術系社員 その4 (ケビン67)
2009-02-24 09:16:20
KZ様

言いたいことを代弁していただいて、ありがとうございます。
私の言いたかったとことは、KZさんの最後の段落に集約されています。

これまでの投稿は、自分自身のことと世の中のあるべき姿がごっちゃになっていました。

世の中のあるべき仕組みとして、スペシャリストが育ちにくい仕組みでいいのか、ということです。

このあたりは、山崎さん、いかがでしょう?
 
 
 
むずかしいですね (naka)
2009-02-24 10:04:32
山崎様ではありませんが、ちょっと責任の一端もありますので、私見を書きます。

> KZ様

> 山崎さんの言うような制度が実現すれば、
> 汎用性の低いスキルが求められる仕事をすることには高いリスクがあります。

スキルが低い仕事に対しての懸念が書かれておりましたが、私は指名解雇による弊害は余り無いと思います。スキルが低い仕事に対して、給料の3ヶ月分(もしくはそれ以上)を支払って指名解雇する理由が分かりません。また、自主退職した場合でも3ヶ月分支払わなければならないとしたら(そういう制度にするかどうかは別として)、会社としてはなるべく居てもらう様に努力する方が多いと思います。

以下、極端な例ですが、たとえば、指名解雇を乱発してくれる会社だとしたら、
 1.3ヶ月働く → 指名解雇で3ヶ月分貰う
 2.3ヶ月働く → 指名解雇で3ヶ月分貰う
という、もしかしたら指名解雇受けた人は、ラッキーかも知れません。企業に取っての利点は? です。
(このテクニックは、役人の天下りに使われそうな気もします。)

とはいえ、天秤にかけられるのは3ヶ月分の給料+OJT費用分となると思いますので、OJT分が余りいらない(スキルが低い仕事なので)分、指名解雇し易いのは有るとは思います。が、通常企業側は「トク」とは考えないでしょう。多分、手持ちのカードが1枚増えた程度でしょう。

また、かくせいⅢ様のおっしゃるようなセーフティーネットを設けるのも、解の1つになるのでは? とも思いますが、如何でしょうか?
> デンマーク等では、解雇になっても悲壮感などこれぽっちもなく、失業保険を受けるには職業訓練を受けないと駄目となっているらしく、しかも数年間保障されているらしいですから、

個人的には、会社にとって不要となった技術者を「解雇出来ない」と理由のみで居続けさせることは、社会にとって大損失だと思いますが、如何でしょうか? とくに優秀な技術者ならば、再教育によりまた社会に貢献していく道があっても良いと思いますが、如何でしょうか?


> 簡単に指名解雇できる社会では、スペシャリストは育たないように思います。
> もちろん、経営者以外は兵隊でいいという会社もあると思いますが。

私は、ここについては逆に考えております。スペシャリストを育てる為には、指名解雇はもしかしたら必須かもしれません。理由は、スペシャリストは得意分野に対しての結果を求められる立場で、それは比較的判定し易く、恣意的な判定は入りにくいからです。また、スペシャリスト側としても、結果を提供することを意識しなければならないでしょう。つまり、お互いの結果に対しての緊張した関係が良い結果をもたらすことが多いと思います。スペシャリストは一匹狼が多いのも、基本的には同様の理由と考えております。また単純に指名解雇出来るためにスペシャリストが育たないのであれば、たとえばアメリカなどでは育たない様に思えますが、実態は日本より多いと思っています。

指名解雇はむしろ、技術スペシャリスト未満の、でもチームとして機能することに長けた人材を育成することが阻害される可能性があると思っています。指名解雇の問題点は、「チームとして機能している人に対して、どうやって評価するか?」が難しく、指名解雇したけど、実はチーム(会社)にとって重要人物っだったと言うことが増えてしまうのが多くなると懸念します。縁の下の力持ち的な仕事については、評価されないことも多いです。そのことを評価出来ない会社(や人)が、折角のチームを指名解雇によりがたがたに崩してしまう可能性は、実は大いにあり得ると思います。その部分だけについて言えば、指名解雇よりは、解雇無しの年功序列の方が良いと思っています。

ここでの解は、結局のところ会社側(もちろん社員を含めて考えても良いと思います)で考えて貰うしかないと思います。(アイデアはいろいろ出せると思いますが、多分社風とかによっても変ってくるところでありますし、ある意味、経営の極意だったりすると思いますので。) で、会社に救わせる(でも人材を塩漬け)より、人材の流動化を図り、そこで不幸にも溢れてしまった人については、BIなどで救って行く方がよいのかな? と考えて居るところです。
 
 
 
技術系社員 その5 (ケビン67)
2009-02-24 10:31:06
私は、原子力発電に関わっている訳ではありませんが、以下のように思います。

①原子力発電のスペシャリストになれば、高い報酬が得られるかもしれない。
②原子力発電の市場ニーズが将来もあり続けるという保証はない。
③たとえ、市場ニーズがあっても、自分の勤めている会社がその市場に参入し続ける保証はない。儲からないと判断した時点で撤退するだろう。
④会社が撤退すると判断した時点で、自分は指名解雇される。
⑤そのときライバル企業に転職できる保証は何もない。そもそも原子力発電所の形式が違うし、仕事の進め方も違う。これまで築いた人脈も使えない。
⑥自分が新しいスキルを身につけることができるかどうかは未知数だ。

この条件のもとで、自分は原子力発電のスペシャリストになりたいと思うか? 私は絶対にイヤです。それだけです。なりたい人がいれば、どうぞ、ご自由に。

原子力発電の有力企業が日本に2社残ったのは、技術者の終身雇用を保障したからだと思っています。(フランスは国策として取り組んだから)
 
 
 
雇用契約を明確に (山崎元)
2009-02-24 11:47:56
ケビン67さま、皆さま

現時点で、特定分野の技術者がいきなり指名解雇される、というのは、私のような者にも、相当に理不尽に思えます。

それは、これまで、雇用は(当然)長期的に維持されるはずだという暗黙の了解があったはずだからです。技術系に限らず、日本の企業は、経営的安定性が相当にたよりないくせに、これまで社員にそうした期待を与えることで、多くの有能な社員を安く使ってきたように思います。

正社員の解雇が原則自由にルール化されると、たとえば原子力のような特定のビジネスが儲かると考えた企業は、有能な原子力の技術者(卵も含めて)と長期の雇用契約を結ぶか、かなり高い報酬を提示するかするのではないでしょうか。ケビン67さんがおっしゃるように、そうでなければ、技術者はその企業で働きたいと思わないでしょう。

これは、世間で一律に雇用を固定化するルールを維持するよりも、雇用契約を多様化し個別化することで対応すべきではないでしょうか。

技術者の側でも、汎用性のないスキルに特化する仕事に就く場合、長期雇用あるいは高額の報酬を求めるべきです。現実的には、長期雇用と、研究が成功した場合の高額報酬の条件を明確に契約すべきだと思います。

企業側としても優秀な技術者を雇おうとするなら、魅力的なパッケージを考えて提供しなければなりません。

雇用自体が流動化することで、雇用契約を個別に明確する必要性が出てくると思いますが、それは働く側にとってもいいことではないでしょうか。

クビにはなりにくいけれども、会社が傾くことは大いにあり(今の多くのメーカーのように)、しかも、労働条件に関する裁量は会社に握られっぱなし、というのでは、いかに技術者が経済条件に疎いとはいえ不用意すぎるのではないでしょうか。

制度がどうなるにせよ、将来世代の技術者は、もっと労働条件の契約に関してシビアになるべきだと思います。一般論ですが、日本の企業は、有能な技術者に対して、もっと多額の報酬を払うべきだと思います。
 
 
 
技術者の流動化は大事です (かくせいⅢ)
2009-02-24 12:32:03
店主のご意見>一般論ですが、日本の企業は、有能な技術者に対して、もっと多額の報酬を払うべきだと思います。<賛成です。

90年代の日本が半導体で世界のシェア1位であった頃、休日に人事部が成田や、福岡空港で、自社の技術者が韓国に指導に行かないように張り込んでいた事は、ご存知の方が多いと思います。

技術者の給料は、現場の従業員、営業の従業員、同期入社の人とのバランスで決め、その人の持っている技術の値打ちを全く考慮外で決めていました。そして、韓国にアルバイトで教えに行かぬように、モラルで縛ろうとするだけでした。勿論、法的には就業規則違反であるのは確かでしょうが、半導体製造の現場ノウハウには、何らの値打ちも見出さず、昇進や昇給には、反映していなかったシッペ返しの面もあったのでしょうね。そして現在韓国は半導体のトップグループにあり、日本は海外で生産するエルピーダメモリー社だけがやっとトップグループに食い込んでいるという状態になってます。

今、中国やベトナムに定年退職した技術者が、ノウハウや技術を教えに雇用されて言っていると言いますが、これもモラルの問題ではなく、もしそれが企業にとって都合が悪いのなら、コストを払って秘密化すべきでしょうね。

企業が技術の貢献度を評価して、それなりの給与を支払うべきとするなら、貢献度の低い技術者には給与を減らす、極端な場合は指名解雇を認めるのが、公平な着地点だと思います。また、そのことが技術を持った人材という重要資源の、不足する分野への移動を促進し、社会的にも善なる配分になり易くする路だと思います。

 
 
 
技術系社員 その6 (ケビン67)
2009-02-24 13:20:22
山崎様

ご返答、ありがとうございます。

山崎さんの「労働条件に関する裁量は会社に握られっぱなし」という一文を見て、ふと思い出したことがあります。

大学の工学部を出て、技術系の大企業に就職した私は、実は、30代になって、組合活動に関わるまで、会社と自分の契約(給与体系以外のこと)がどのようになっているのかというものをあまり真剣に考えることはありませんでした。
会社が指名解雇できないということは、組合活動をするまでは知りませんでした。
技術者村にいた私に誰も教えてくれなかったし、漠然と会社を信用していたこともあります。

このようなことは、基本的には、労働者が自分で勉強すべきことだとしても、社会の仕組みとして、ちゃんと教えておくべきことのような気もしますが、いかがでしょう?

その役割を、会社、組合、学校、NPO・・・のどこが担うかについては、アイデアがあるわけではありませんが・・・。

少なくとも、学校では、これから社会に出て行く人に、「将来変わるかもしれないが、現状の法律と慣習では、会社と労働者の関係はこうなっている」ということを教えておくべきと考えますがどうでしょう?

私以外の技術系の人たちは、ちゃんと知っているのでしょうか?
私の同僚を見る限り、そうとは思えないのですが・・・。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2009-02-24 17:56:42
転職ばっかしてる奴は何も分かってない。
自分で「それなりの会社」の経営を
1回でもやってみれば、自分の机上論の
恥ずかしさに気づくだろう。
 
 
 
Unknown (えるふ)
2009-02-25 07:11:26
今あるルールを守らすようにするのが
とりあえず優先でしょうね。
どんなに良いルールを作っても守られなくては
意味がない。

一番最初に作るルールは「そんなの守ってたら
潰れちまうから守れねえよ」から守った方が
合理的と経営者が考えるように罰則や文化を
変える事だと思う。
 
 
 
Unknown (とり)
2009-02-25 19:52:53
経営者層にとって都合の良いところだけをつまみ食いされる恐れがあまりにも強すぎて危険ですね。
改革、規制緩和という言葉が闊歩するようになってからの経営者のモラルのなさを考えると解雇を容易にすることは極めて危険です。
企業にセーフティーネットの一部を背負わせて全体でバランスを取る仕組みが成り立たないのはわかりますが、新自由主義者の排除をしてからでないとこのようなことは手がけられない感じです。
 
 
 
Unknown (大田区)
2009-02-25 20:19:28
優秀な人材が彼と対立する“無能な人事”によって排除される…そんなケースは社会人の誰もが目にしてきたでしょう。ルールは経済合理的に運用されるとは限りません。

強すぎる力は日本の企業向きでない気がします。将棋の駒がチェスのそれと比べて突出していないように。
 
 
 
Re:技術者の流動化は大事です (bobby)
2009-02-25 23:14:48
遅ればせながら失礼します。

店主のご意見>一般論ですが、日本の企業は、有能な技術者に対して、もっと多額の報酬を払うべきだと思います。<賛成です。

私も賛成します。日本の開発技術者や高密度実装にかかわる技術者は、もっと給料をもらうべきです。

多くの方は錯覚しておられるようですが、大企業が終身雇用を導入した目的は、企業が技術者の人件費を長期間低く抑え、技術投資の回収を容易にする為です。営利追求を目的とする企業にとって、それ以外の理由(社会的責任や労働者の福利厚生)は非合理的です。

ケビン67さんが心配しておられる「技術者が育たない」という事については、特殊な技術の開発に大企業が投資しなくなった場合、そういう技術は中小零細企業が開発し、大企業は半製品として購入するようになるでしょう。技術開発のコストが高くなれば、むしろ大企業は下請けメーカーの独自技術による製品(半製品)を購入して自社製品に組み込む事を選ぶでしょうし、そうなれば日本の技術系下請けメーカーがもう一度繁栄する可能性もあります。

特殊といっても原子力発電のようなメーカーのコアな原子力技術者などは、もう一社の方へ転職するか、あるいは教授として大学教授(国内あるいは海外)に転職するという方法もあるかと思います。ちなみに、技術者には「生存権」があるので、企業が技術ノウハウを守秘義務契約で一生封印する事は法律上できないのではと思います。以前つきあっていた弊社の英国人顧問弁護士はそのように言いました。(米国の軍事企業なら可能かもしれませんが...)

もう一度言いますが、特に技術者にとって、終身雇用は企業を利するだけで労働者自身の為にはなりません。技術者の流動性が高まり、企業が技術者の能力に相応の賃金を払うようになれば、企業は技術者へ価値相応の賃金を払わざるを得なくなるでしょう。そして技術開発コストがアップすれば、大企業は下請け企業の技術に相応の対価を払うようになるのでしょう。そして下請けメーカーにいる技術者の待遇は更に改善されるでしょう。大企業より下請けメーカー(中小零細メーカー)の技術者の人数の方が圧倒的に多いと思います。
 
 
 
労働市場の買いたたきが問題です (くまさん)
2009-02-26 01:11:01
>> 山崎元様
お返事ありがとうございます。おっしゃるとおり、このような話は常にセーフティネットと組に論じるべき問題だと思います。セーフティネットの話から切り離して単独で論じるだけでがらりと性格が変わると思います。何と言いますか、例えるならば権利ばかり主張して義務については触れないような感じです。また、切り離した瞬間からこっちだけが一人歩きし始める危険性もあると思います。

商売の秘訣は、「相手の足元を見て安く買いたたく」ことですよね。まさに松下による三洋の買収がこれでした。ビジネスの世界ではそれで良いのでしょうが、それを労働市場でやっちゃたのが登録型派遣の問題です。買い叩かれた結果がワーキングプアやホームレスです。一方で、使用者たる企業はそこまで酷い状態にはなっていません。非対称であり弱者たる労働者の方が悲惨な目に遭っています。つまり、本質的に企業の方が立場が強いため、単純に雇用の流動化を促すだけでは、強者たる企業が得するだけではないかと思います。「労働者が企業と対等に渡り合えば良い」という考え方もあるでしょう。腕一つで渡り歩けるような強い労働者ならばそれは可能でしょう。しかし、それをすべての労働者に求めるというのは無い物ねだりでしかないと思います。私はベーシックインカムに賛同しますが、賛同する理由の一つは労使を対等の関係に近づける点があります。

「格差社会」という言葉があります。これは経済的強者を優遇しても、潤ったのは強者のみであり弱者にはほとんど回ってこなかったからですよね。同じように、雇用の流動化を促しても不安定雇用が増える一方で雇用はそれほど増えなかった、という悲しい結末になる可能性があると思います。

私も、年功序列賃金は要らないと思いますが、解雇規制は必要だと思います。現在、「ワークシェアリング」という言葉が注目されていますが、そのようなハイカラな言葉ができる以前から、そのような概念はすでに存在しており、「帰休」という言葉がありました。これは、企業が「解雇」という安易な選択を選ばなかったために生まれた知恵ではないでしょうか。
 
 
 
退職金の案は大賛成 (かず)
2009-02-26 01:31:08
退職金の不利をなくすという点は大賛成。
退職金という制度さえなければより、従業員も転職をしやすくなりますもんね。
これをなんとか世の中の主流に変えれる人いませんか??
 
 
 
Unknown (nasio)
2009-02-26 10:22:33
う~ん
日本は雇用調整はやいのですよ
 
 
 
退出障壁 (まえやま)
2009-02-26 21:29:05
退出障壁を下げて、労働者の転職の可能性を確保するのが合理的なのでしょう。今になってやっと、こういう意見が公になって喜ばしいです。

社宅や寮なども、廃止してほしいですね。企業福祉は株主への利潤にも悪影響がでるので、廃止させるのが正しいでしょう。もちろんすぐにとはいかないので、段階を踏んで縮小させていくのでしょうけども。ベーシックインカムも実現できるなら世帯主に過剰な経済的負担がかからなくなるので、生活給のようなものも堂々と廃止できる。

ベーシックインカムについてもこれからの日本は就労できない老人が増えるので、必要でしょうね。就労できる老人もいるでしょうけども出来ない人は増える。老人を家族が養うときにもベーシックインカムがあれば家族の負担が減る。合理的だな。
 
 
 
Unknown (えるふ)
2009-02-27 19:32:54
雇用・労働者の流動化(企業が過剰な雇用をしない・労働者は不本意な働き方をしない)と、社会の安定(貧困の解消・賃金が低くても仕事はある)ことが理念のルールであってほしい。
 
 
 
時代の潮流、というか、抜けている論点 (ケビン67)
2009-02-27 20:55:09
製造業の派遣切りに関連して、以下のようなことを考えています。

①生産性の向上
製造業に関わる企業は、多額の研究開発費を投じて、生産性の向上を目指している。
すなわち、できる限り生産現場で人間は使わない(人件費が高いから)、それができないなら、何の技能も知識もない労働者(なおかつ低賃金)を生産ラインに立たせて、お前はこの部品をここに付けろ、と言って、その結果、高性能で高品質な製品をできるようにすることを目指す。
これまでの研究開発の結果、無知識・無技能・低賃金の労働者を使って、高性能・高品質の製品を作ることができるようになってきた。(私はこういうことに関わった仕事をしている)

②低賃金・大人口国の労働市場の参加
額に汗する労働なら、日本人の1/10以下の賃金で働きます、という労働者を抱える大人口国が労働市場に参加してきた。製品は、無知識・無技能・低賃金の労働者でも作ることができるように設計されているので、本当なら日本の労働者を切って、そういう国へ工場を移したいが、終身雇用の労働者がいるので、すぐにはできない。

③人間は人間のまま
大部分の人間は、普通の人間であって、堺屋太一の言うところの「知価」など作れず、額に汗する労働しかできない。額に汗する労働の生産性は、どこの国の人間もあまり変わらない。

④企業側の論理
「低賃金国の労働者と同じ労働しかできなければ、低賃金国労働者並みの賃金しか払えない」

以上を考慮すれば、少なくとも、製造業に限って言えば、圧倒的に企業側の方が立場が強い。
もはや制度や法律をどうしようが、この立場の強さを覆すことは不可能である。
むしろ、低賃金でも幸せに暮らせる社会のあり方に向いた方が現実的なような気がする。
 
 
 
Re:時代の潮流、というか、抜けている論点 (bobby)
2009-02-28 22:26:05
ケビン67さん

>以上を考慮すれば、少なくとも、製造業に限って言えば、圧倒的に企業側の方が立場が強い。

少なくとも製造業に限って言えば、日本(政府)は労働人口を他の業種へ、もっと早くに移転させるべきだったのです。しかしいま、輸出産業の派遣切りが引き金となって、製造業から医療・福祉へみごとに移転が起こっているようです。以下は総務省統計局の1月の集計結果です。

http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.htm


>むしろ、低賃金でも幸せに暮らせる社会のあり方に向いた方が現実的

それで良いのではないでしょうか。
 
 
 
同感です (naka)
2009-03-01 02:10:09
ケビン67さん

> むしろ、低賃金でも幸せに暮らせる社会のあり方に向いた方が現実的なような気がする。

同感です。少なくとも生きていくことが出来る社会であって欲しいです。
個人的には、これが可能であれば、賃金格差やグローバル化による低所得者との競争は、余り関係は無いと思っています。
また、いったんドロップアウトすると、生活するのも苦しく(派遣切りによって、切られた人たちの生活はかなり厳しいでしょう)、そこからなかなか抜け出す事が出来ない(仮に、本人に能力が有っても、やる気があっても)のも、実は終身雇用も弊害の一つだと思っています。この場合、終身雇用で守られている人は、私は一種の既得権益にみえます。(という私も、既得権益を享受している立場ですが。)もちろん終身雇用にも利点もあります。
しかし、終身雇用を維持するならば、それはそれで別のセーフティネットが必要(対企業に対しても)で、それがあるルールに則って無くしてしまえば、企業に対するセーフティネット(政治や官僚の企業への関与)の必要も少なくなり、否応となく変化せざるおえない今の社会においては、むしろすっきりとなるのでは? と思います。特に官僚の関与は経営の自由度を無くし、変化に対応できない可能性が多いと思います。(まぁ、その分、そう簡単につぶれないという信用はあると思いますので、銀行の国有化は、危機的状況下においては賛成です。)
以前(80年代前半ころまで)は、基本的には先進国の技術を追っていればよく、何が必要な技術か? はある程度予測可能なので、それを追うのに終身雇用は優れていたと思います。そういう意味で、終身雇用制度や官僚の関与とかは、あった方が良かったでしょう(もちろん、程度問題ですが)。しかし、技術最先端まで行ってしまった結果、手本が無い状態で何かを生み出さなければならないところまで行ってしまい、必要技術の予測がかなり難しくなってきました。予想外のところから必要技術が生まれることも多いです。その中では、むしろ足かせになりかねなくなってきた、というところでは無いでしょうか? 私は、他国との賃金格差より大きな問題だと思っています。賃金格差だけであれば、直ぐにではないにせよ、いずれ均衡がとれてきますので。(中国の賃金は高くなってきていると、新聞記事を見た事があります。多分、本当なのだろうと思います。)

近々の対策としては、どこかでブロック(一種の保護経済政策。雇用も経済として捕らえて考えれば。)して、すくなくともその中で富の分配をすべきと思っております。で、その分配方法の1つに、「個人個人の技術の向上」が含まれていると良いとは思います。(職業訓練への参加もその1つになると思います。)
個人的には、BI+社会へ参加できる窓口があれば良い(自主参加タイプ)と思います。これがあれば、たとえば趣味で好きな人が好きな事を勝手に技術を開発し、その技術の99%は不要のまま終わるでしょうが、1%ぐらいが「これは使える」という方へ結びつくのでは? とか思ったりします。趣味人の技術は、プロの技術を凌駕していることもあります。ただし、これはいささか楽観的過ぎるかもしれません。
 
 
 
自分を取り戻す (元は技術者でした)
2009-03-01 07:16:12
山崎さんの提案に賛成します。

私としては、企業と対等のパートナーとしてのサラリーマン(労働契約に基づいて労働力提供と報酬を交換する取引関係)でありたいと思います。そのためには、労働力の売り先候補が広がる方が望ましく思えます。

ケビン67さんは、特定の企業でしか通用しない技術しかもたないスペシャリストのお話をされますが、そのようなスペシャリストこそ、これまでの雇用制度が生んだ企業にとって都合よくつかわれてしまう存在なのではないでしょうか?

ケビン67さんのおっしゃる通りに、いままでの雇用制度では、「製造業に限って言えば、圧倒的に企業側の方が立場が強い」のは事実だと思います。それは派遣中心のラインの工員だけでなく、一見保護されているように見える正社員の技術者も同じでしょう。保護されている気になって、安心して特定の技術に固執し、ポータビリティ・エンプロヤビリティの低いままでは、結局は都合よく扱われてしまう。たまたま定年まで高待遇な技術者もいると思いますが、配置転換や退職強要などの目にあうことも稀とではないと思います。

結局、自分の面倒は自分で見るしかないとすれば、売れる能力を磨くしかありません。自分の能力の売り手としては取引規制がないほうが、売れるチャンスが広がり望ましいと思うのですが。

 
 
 
お邪魔します (ブロガー(志望))
2009-03-01 07:32:46
お邪魔します。
 人はパンのみのために働くのでは無く、「つなが
り」をも求めて働くのではないでしょうか。そうでな
ければ「(さしたる仕事も無く給料が貰える)窓際
族」はあこがれの存在になるのでは。山崎さまはおそ
らく仕事なり職場にそういった事をあまり求めない方
なので、条件(居心地?)等に応じてどんどん移動な
さっているのでしょう。それは本人の「資質」による
ものだと思います。例えば普通の車でオフロードを走ったら足回りがガタガタになるでしょうし、オフロード車は車高が高い分重心も高いので、「高速道路を100キロとかで走る」にはあまり向いていないのではないかと思います。無論そういった資質の人が不利益にならないようにする事は必要ですが、そういった資質で無い人にそういうようにするのもどうかと思われます。
 
 
 
続きです (ブロガー(志望))
2009-03-01 07:33:51
続きです。

 それから確か『肉食の思想』という本に「欧米の労働組合はギルドの流れをくむ職種別組合で、労働者はどちらかといえば組合に帰属し、会社には金を貰いに行っているだけ」といった事が書いてありました。かつて米アカデミー賞が脚本家の組合関連でお流れになりそうになった事や今の米ビッグ3の苦境の一因?である事を考えると、「強すぎる労働組合」もどうなのかなと思ったりします。
 
 
 
続きです (ブロガー(志望))
2009-03-01 07:34:52
続きです。

 最後に官僚ですが、彼らは「行政」を「人質」に取っているから「無敵」なのです。米ビッグ3が「私企業」なのに「税金」を貰えるのは「雇用及び経済を"人質"に取っている」からです。自分はかのGHQすら部分的にしか手をつけられなかったのだから変える事は「絶望的」ですらないかと思っています。プログラムでもバグが多すぎる場合はデバッグよりも最初から書き直した方が早いそうですから、どこかに「新日本(?)」でも作った方が早いのではないでしょうか。
 
 
 
難しい問題です (ポンプ)
2009-03-01 12:09:34
労使双方の都合と、好況不況の経済情勢の違いがあり、一つの考えにまとめることは困難であると痛感しています。
好況のとき、不況を見据えた雇用環境ではありませんから、雇用維持が最高目標である、どん底不況の今とは、正直バランスをとることがむずかいしいと思っています。
 
 
 
あまり余裕がないと思うのだが (かくせいⅢ)
2009-03-01 15:22:58
>趣味で好きな人が好きな事を勝手に技術を開発し、その技術の99%は不要のまま終わるでしょうが、1%ぐらいが「これは使える」という方へ結びつくのでは?<

ご自身で「楽観的過ぎるのでは・・」とお書きなので自覚なさっているのかも知れませんが、これから先の日本はそんな生易しい環境ではないと思います。

現在の日本経済の問題の一つは、中国等の新興国が造れるものしか造っていない企業が多いところにあります。米国は、80年代に製造業では日本に敵わないとして、ITと金融にシフトしましたが、日本はシフトする所が未だに判然としないまま、中国との競合分野に立ち止まって、結果、派遣などの形で働くものが低賃金の犠牲になっているわけです。

しかし、それなら競合分野を諦めたら良いかと言えば、代わりになる分野が見つかっていないのだから、食糧の5兆円、石油等の15兆円をいかにして用立てるのかの策なしに趣味をやってる余裕等ないでしょう。まして、ブロックする(鎖国するのでしょ)など、みんな飢えるだけですよ。

まずは国内的に需要のある医療とか介護に人が動けるような施策をして(いつまで土建国家を続ける積りなんでしょう。)、新規分野にチャレンジすることが無茶苦茶リスキーでないような制度も考案して、新しい日本の土俵を築くべきだと思います。その時にも、既存分野から人が、一定のスキルを装備しなおして新分野に喜んで移動できるような状態をつくるべきです。

その最低の条件が店主の提案だと思います。
 
 
 
労働市場 (まえやま)
2009-03-01 21:57:43
昔は産業化仮説が有効ではないかという、雰囲気もあったのですが、無効ですね。産業化仮説とは、おおざっぱにいえば社会が産業化して労働者が工場などで働いていれば労働者階級と中間階級の格差が是正されていく、というような仮説ですが。これは効きません。

やはり今は、日本国内で製造業の労働者になっても報われることは、あまりないので、労働者が別の仕事を選択できるように、職業訓練などのプログラムも用意してもらいたいですね。
 
 
 
Unknown (Unknown)
2009-03-02 01:55:13
>>共済年金の三階部分はDCに移行することが望ましい

見事なまでのポジショントーク
 
 
 
IT投資 (bobby)
2009-03-02 11:17:34
日経によれば、政府は3年間で3兆円の投資をしてIT分野で40-50万人の雇用を創設すると言っています。着想は悪くないと思いますが、一部のITゼネコンだけ儲けさせて、結局使えないシステムをつくって3兆円をドブに捨てないようにしてほしいです。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090302AT3S0100D01032009.html
 
 
 
【勝手に結論】技術者と派遣労働者の場合 (ケビン67)
2009-03-02 16:18:59
bobby様、naka様、元は技術者でした様

コメント、ありがとうございます。
ここにいろいろ書き込んで、それに対する反応を頂いて、モヤモヤしていたものがかなりクリアになった気がします。

◆技術者の場合
①雇用契約に関する法律・制度・慣習+自社の制度を勉強して、会社からいいように使われないように対策せよ。
②その会社でしか通用しない技術分野に行く場合は、転職できないリスクを理解するとともに、そのリスクに見合った報酬を会社に要求せよ。(追加報酬が得られなければそこに行ってはいけない)
③自分でも身につけられる汎用性の高い(転職に使える)スキルを探して、身につける努力をせよ。

◆派遣労働者の場合
①製造業に未来はないことを理解せよ。
 【今後、ますます高性能化する生産機械とは、どちらが早く作業できるか、また、低賃金国労働者とは、どちらが安い賃金で働けるか、を競争することとなる】
②競争は厳しくてもサービス業に活路を求めよ。
③少ない収入で幸せに生活する方法を模索せよ。

というところでしょうか?


 
 
 
ベーシック・インカムのアンケート (kyunkyun)
2009-03-12 16:56:16
ベーシック・インカムについての、新しいアンケートを作りました。

*もし月8万円のベーシック・インカムが支給されたら?
http://lislog.livedoor.com/r/22868
よかったら、投票してみて下さい。
BIの金額は、小沢修二先生が生活保護を基準に試算されている8万円を参考にしてみました。
1人暮しは月8万円、2人暮らしは16万円、4人家族は32万円のBI支給になります。
 
 
 
訂正です。 (kyunkyun)
2009-03-12 17:06:29
小沢修二先生 → 小沢修司先生
の表記間違いでした。 すみません。。(>_<)
 
 
 
ベーシックインカム月8万円 (山崎元)
2009-03-12 17:41:23
kyunkyunさま

アンケートのご紹介ありがとうございます。私の回答は「今と同じ時間働く」です。

月8万円となると、財源的に少し厳しそうですが、できないこともないでしょうね。

一人8万円もあると、特に低所得層で、子供を作ることの収益性が高まるので、意外な少子化対策になりそうです。3人子供が居ると24万円となると、奥さんが外に出て働くよりも、専業主婦で子育てするのが良さそうです。

子供を作らない人は、何人かで共同生活するとよさそうです。便利に暮らせて且つプライバシーを確保できるような上手い共同生活の方法論を考えると(プチ浪費家の私には不向きな企画ですが)人気を博するかも知れませんね。

なお、財源試算的には、月5万円なら、年金・雇用保険・生活保護を全て廃止してベーシックインカムに振り替えて、あとは消費税10%台で何とかなりそうに思えます。
 
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