杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・集団的自衛権を認める「閣議決定」をしたらどうなるの?

2014-07-02 00:38:10 | æ†²æ³•å•é¡Œ
7月1日午後5時前から、安倍内閣は臨時閣議を開き、
憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定しました。

国民が「反対」、「もっと慎重に、理解できるように議論して」とこれほど声を上げているにもかかわらず
閣議決定を急ぎました。
この閣議決定がされたら、このあとどうなるのか、考えてみました。


閣議決定って何でしょう?
閣議とは国務大臣の会議のことです。全会一致で決定するのが慣行です。

内閣法には
第4条「内閣がその職権を行うのは、閣議によ るものとする。」
第6条「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」
という規定があります。

つまり、内閣が行政をおこなっていく際に、閣議での決定がその指針に なっていくわけです。

「集団的自衛権を現憲法の下で認めること」を閣議決定したということは、
明日からは集団的自衛権を認める方向で行政が進められるということになります。

とはいっても、すぐに自衛隊を海外に派遣できるわけではありません。
自衛隊法なども、今は海外で戦えないことになっていますから、それができるような法律の変更を必要とするわけです。


法律を変えるには立法府(国会)で決めるのですが、
そのためには
「こんな法律の改正はどうでしょうか」
という法案の提出が必要になります。

国会の議員が発議した法律を「議員立法」、内閣が発議するものを「閣法」といいます。
内閣も法案を提出できるわけです(実際にはこれが多いのです)。

内閣は、集団的自衛権を実際に行動に移すための法案を、どんどん国会に提出して行くことが考えられます。
すでに「閣議決定、関連法案作成チーム結成へ」といった見出しのニュースも流れています。

これらの法案も、おそらく拙速に議会の多数を持つ与党の力で成立させていく予定でしょう。

これからの具体的な法律「改正」について、国民としては注視し、抑制していく必要があります。
閣議決定ですべて終わったわけではありません。


また、今後その悪い道筋をたどっていったとしても
閣議決定は、与党の構成が変われば変えられる可能性はあるわけです。※
そして、その閣議決定に従って変えられてしまった法律も、再度「改正」することができます。

ただし、その間に不戦の国家日本のあり方に大きな傷を付けるような事態が起き、
70年間培ってきた世界からの信頼を失うようなことになれば、取り返しがつきません。



※憲法の内容が閣議で変わるというのはあり得ないことですから、
今回の閣議決定は、法的には無効というべきだと思います。

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