震災復興と福島原発との闘い、そして「未来に誇れる日本」

東日本大震災発災から3カ月を迎えようとしています。未だに10万人以上の方々が、住み慣れた家を追われ不自由な避難所生活を強いられています。死者と行方不明者を合わせて2万3000人を超えてしまいました。尊い命を落とされた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災され温かい家庭や大事な財産を失った方々に心よりお見舞いを申し上げます。

国会を延長し、二次補正を何としても被災者へ届けよう!

一人でも多くの皆さんに1日も早く元どおりの生活を回復していただくために、与野党の協力で4兆円を超える第一次補正予算をフルスピードで成立させました。それにより、地震や津波で破壊された道路・港湾の復旧、がれきなど災害廃棄物の処理、仮設住宅の整備、被災者生活再建支援金など、応急措置が可能となりました。それでも、被災者が震災前に加えて新たな借金抱える二重ローン問題の救済、放射性物質を含んだがれきの処理、鉄道や防波堤等の基本的なインフラ復旧や学校施設・公立病院等の再建にかかる予算措置はまだまだ不十分です。これらを実行に移す第二次補正予算を成立させずして国会を閉じるなど言語道断。国会の最低限の責務を果たすため、超党派の同志議員と共に会期延長を求めているゆえんです。

原発政策をめぐる政府への三つの注文

その中で、私が最も憂慮しているのは次の3点です。第一に、情報をめぐって混乱をきわめる原発対処の現状です。私は、約1か月前から菅総理に「東京電力に任せるような今の体制では、国民の安心も、世界の信頼も得られない。国が前面に立って、東電を含むすべての企業や技術者の英知を結集して解決にあたる大掛かりな体制再編をすべきだ」と進言してきました。第二に、原発事故の賠償スキームです。資本主義の根本を破壊するような官房長官の「債権放棄」発言は論外としても、東電に無限責任を負わせるような現在のスキームでは社債や株式など金融市場への悪影響は避けられないと思います。第三に、浜岡原発を停止させた決断は結論として正しかったとしても、その決定プロセスの不透明さによって産業空洞化を招く危険を恐れます。本来は、国際的にも通用する安全基準を定め、すべての原発にストレス・テストを実施して、停止させる原発と運転再開できる原発をきちんと仕分けすべきでした。そのプロセスを飛ばしたために、他の原発を定期点検後に再稼働させる理屈が立てにくくなり、下手をすれば1年以内に54基の原発すべてが停止に追い込まれ、電力の安定供給を失った日本経済は壊滅的な打撃を被ることになりかねません。

現実的で、しかも未来に誇れるエネルギー政策を!

最後に、今後の我が国のエネルギー政策について、一言触れておきます。たしかに、日本の電力供給は、「経済性」「安定性」「環境」という三本柱で原子力推進に傾斜しすぎたと思います。しかし、今回の原発事故は、私たちにもう一つの柱として「安全性」も考慮すべきことを示しました。したがって、原子力発電については、まず国民が納得できる安全基準の厳格化が急務です。その上で、私たちの日常生活のみならず我が国の経済産業の基盤である電力の安定供給を確保するためには、天候などに左右されない安定的なベース電源としての原子力に代替できるものは、当面見当たらないという厳然たる事実も直視しなければなりません。もちろん、天然ガスのほか中小水力や地熱発電がベース電源として有力であることは間違いありません。ピーク時の補完に役に立つのは太陽光と蓄電池の組み合わせでしょう。日本が得意の省エネ努力もさらに加速します。そのような電力供給のベストミックスを確立し、何としても日本経済の巻き返しを図らねばなりません。

すべては、「未来に誇れる日本」を創るため。混迷する政局の中にあって、私もひとりの政治家として未来に誇れる決断をしたいと思います。
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