Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

訂正:公務員は別に流動化しなくてもいいです

2011-05-22 20:20:55 | çµŒæ¸ˆä¸€èˆ¬
先日のエントリですが、どうも、普段僕が接している良識ある市民の皆さん
(民間企業の第一線で活躍するビジネスマン)と比べるとだいぶ感覚的にずれている方
がおられるようで、一部誤解を招いたかもしれないので、もう少し簡単に書き下して
おこうと思います。

以前も書いたとおり、日本のツケをこれ以上将来に先送ることは不可能なので、5年以内に
消費税でいえば10%代半ばくらいには増税されるはずです(中期的には消費税30%相当が必須)。
となると、多くの国民はたぶん相当フラストレーションがたまるはず。
大衆は常に分かりやすい(かつ自分は無関係な)敵を求めているので、必ず怒りの矛先が
どこかに集中するはずです。

普通、こういうときに真っ先にやり玉に挙げられるのは経営者とか資本家なのですが、今回は
関係ないので省きます。一部には日銀をあげる人もいますが、(是非はともかく)大衆には
どういうメカニズムで彼らが悪いのか理解できないと思うので、これもパスでしょう。
では、怒りの矛先はどこに向かうのか。恐らく、それは公務員でしょう。

2年前、あるシンポジウムに出席した際の話。増え続ける社会保障給付をまかなうために
増税するしかないという話題が出たところ、ある閣僚経験者がこんなことを言い出しました。
「皆さん!公務員の人件費を半分にすれば、社会保障も財政再建も出来るんです!」
僕の感覚で言うと、そりゃいくらなんでもやりすぎなんですが、会場は一番わいていましたね。
たぶん、消費税引き上げのタイミングで、公務員人件費は主要政党の草刈り場になるでしょう。
「我が党は3割カットいたします!」
「いいえ、我が党は思い切って4割カットしてみせます!!」

共産党とか社民党といったマルクス系泡まつ政党も、さすがに階級闘争史観じゃ援護しにくい
でしょう。
だって、この場合は搾取階級=国民ですから(苦笑)
公的資金投入後のJAL労組に対して見せたような、非常にあっさりとした対応に終始すると思われます。

というわけで、今後の中期的なトレンドとしては、公務員の賃金はほっといてもどんどん下げられる
はずです。で、唯一の武器は転職市場へのアクセスしかないという話を書いたんですけど、
脊髄で反応しちゃう人にはわかんないみたいですね。
もちろん「もともと終身雇用という特権を持たず、クビになるリスクを織り込んでいる他国の公務員」
と比べて云々するのは、まったくもってナンセンスです。

これから彼らは、終身雇用の本当の恐ろしさを思い知ることになるでしょう。
担当する仕事は以前と何ら変わらないのに、ある日突然、給料が下がる。それも毎年、下がり続ける。
合理的な説明もなく、個人の努力で挽回することもできない。
市場価格を持たない人間は、組織と運命を共にするしかありません。
終身雇用の不条理さは、色々な人が様々な場で訴えてきたことです。
自らの身をもって経験することで、彼らも雇用問題を構造的に考えるよい機会になるんじゃないでしょうか。

まあ一般国民的には、身動きできないように縛りつけといてゴリゴリ削るというのがおトクなわけで、
僕はどっちでもいいかな。別に公務員じゃないし。


追伸:
一応、日本は自由主義経済なので、世の中のすべてのものは市場価格で決まっている。
買い手と売り手の折り合う価格という意味だ。これは賃金も同じ。サービスの買い手である国民が
値下げしろと言えば下げるしかなく、イヤなら転職するしかない。サービスと価格の折り合ったところ
に、適正価格が形成されるわけだ。
そこに「いくら支払われるべきだ」とおかしな“べき論”をつけた結果、派遣切りという人災が拡大
したわけで、いい加減おバカな空論こねてないで現実を直視しなさい。




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Unknown (Unknown)
2011-05-22 21:22:48
それをあまりにやりすぎると公共サービスの低下がありえるんですよね。そういうのは目に見えない形でジリジリと出てきて、気づいた時には既に手遅れ、或いは元に戻すのに10年単位で時間がかかるということもあるのが怖い。

まあお役所の提供しているサービスなんて、そんなに重要で無いものや過剰な規制みたいにむしろ不要な物も多いので、この際便乗して無駄なサービスをどんどん削減して行ってくれるような立派なリーダーがいれば、日本は少しは住みやすくなるかもしれない。逆にリーダーが一律XX%削減とか、業務と関係ない指標(例えば国旗に敬礼するとか国歌を大声で歌うとか)で首切りとかやり始めると、市民生活にも著しい影響が出るかもしれない。
なまじ住宅ローンを抱えてたりすると、「イヤなら他の都市に引っ越せばいい」ができなくなる。そう考えると住宅の流動化も、今後の日本に必要な物の一つだという気がする。
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Unknown (nnnhhhkkk)
2011-05-22 21:33:49
公務員ネタは本当に盛り上がります。
なぜかと言えば若い人を除いて典型的な既得権だからだと思います。自分もかつては公務員と一緒に仕事をしていたのでよくわかります。彼らは本当に何もしていません。仕事も暇潰しに無理やり作っているだけです。
1年間壁などに掲げるの標語を作るために半日かけて会議やる組織なんて民間では考えられません。昔は勤務時間中にソフトボールをやって、終わりに焼き肉を食べていたこともあるそうです。今はさすがにそれもなくなり、暇すぎて仕方なさそうです。
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でも、今の政権は「財務省の子会社by池田信夫」らしいですよ。 (harappa5)
2011-05-22 21:54:55
 「公務員人件費は主要政党の草刈り場」には、ならないと思います。池田信夫氏によると管政権は「財務省の子会社」のようですし、官公労に支えられている政党が、公務員給与を減らす事に応じるとは思えない。将来、「海外で就職した人、公務員に就職した人が勝ち組。一方で国内の(大企業・中小企業問わず)民間企業で就職した人が負け組」にならないだろうか?不安に感じます。
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Unknown (d)
2011-05-22 21:58:10
夕張市が財政再建団体に転落したとき、かなり大幅な給与カットがありました。夕張のような産業の少ない土地(失礼)では、それでもしがみつく人が多いのかなと思ったら職員の半数が退職しました(部長・次長職は全員退職)。業務の停滞が危惧される事態になりましたがなんとか持ちこたえているようです(総務省や道、また東京都が職員を派遣して支援)。
夕張と国、あるいは夕張と大阪府などの大都市との差は決して借金の多さではないです。夕張は単に粉飾決算が咎められてああなったわけで、同じようなリストラを国がしなくていいわけはない。
アイルランドの財政再建計画では、30万人いる公務員のうち2.5万人程度を削減することにしています。これは日本で例えると50万人規模のリストラです。もちろんアイルランドの公債対GDP比は日本よりはるかに低いです。流行りの「国民感情」からすれば消費税増税をするならまず公務員を削減せよ、給与を減らせというのが当然で、公務員の方はそういう状況にあるということは理解した方がいいと思います。
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Unknown (QEE)
2011-05-22 21:58:15
均等待遇は市場原理なくしては達成され得ないわけですが、分からず屋さんが多いですね。格差には敏感なはずの左巻きの方々が、官民格差に関してはなぜあそこまで寛容なのか、不思議なものです。

すくらむの「シャドー階級闘争」は、もはや一つの芸ですね。読者も心得たもので、秀逸な突っ込みが散見されます。


>「これでいいのか!公務・公共サービス、なくせ!官製ワーキングプア」告発集会(3/13)のお知らせ

> 集会をとおして、臨時・非常勤職員等のおかれている現状に対する理解を深めつつ、正規・非正規労働者相互の連帯を広げ、たたかいの方向を明らかにします。


>1 ■無題
>正規・非正規労働者相互の連帯で誰と闘うの?
>その理屈だと公務員以外の人と闘って、増税するしかないw
>原資は今のままで、正規が譲歩して同一労働同一賃金にするなら話は分かるけど、そんな気はさらさらなさそうだし。
>nanasi 2010-02-04 18:16:48
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10450498156.html
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Unknown (赤旗読者)
2011-05-22 22:15:28
公務員の人件費が民間より低いというのは明らかにおかしい。

一部優良民間企業や大企業の給与を参考につくっているからです。

(城さんがよく言われる2階建て構造の上の企業ですね)

大多数の中小零細企業の賃金を参考に公務員人件費を設定すれば良い。

それで随分と国民からの視線も変わるはずです。

また、今のような公務員叩きが止まるラインもその辺りなのかも。


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Unknown (読者)
2011-05-22 22:36:20
河野太郎さん、いいこと言うなあ、なんて思うことも結構ある人なんですが、これはいただけないですね。
どう見ても、タイトルだけ読んで感想書いてるだろっていう。
中身読めば趣旨はそこではないというのは分かるはず
ですがね。
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Unknown (Unknown)
2011-05-22 23:23:52
週一部長とか月一部長とか民間にも腐るほど居ますね。

お役人さんの世界では年一部長もありとは驚きました。

月一回位しか来ないのにクビにもされない。

これは人件費どうのこうのとかコスト的な問題ではありません。

甘やかし過ぎです。
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愚民の喜ぶ給与カット (Unknown)
2011-05-22 23:48:29
嫌な職場からは転職できた方がいいよ。
縛り付けられてゴリゴリ削られるなんて勘弁してくれw

でも雇用問題を構造的に考えるよい機会になるって、誰に向かって言ってるの?
公務員に向かって言っているとすれば、それは見当違いだろ。公務員で「転職が簡単な社会」を作れるのって誰だよ。そんなの非正規労働者に向かって「嫌なら正規に簡単に転職できる社会を作れば?」って言うのと同じだ。

組合に言っているのなら無意味だ。組合は組合員の待遇が下がったって痛くもない。そんなことより労働者が転職なんていう武器を手にして組合をないがしろにすることの方がよっぽど問題なの。

公務員の給与を3割カットして愚民どもが喜んだとして、その後何が起こるか。公務員は転職できないから生活できない給与になっても今まで通りまじめに公平に働いてくれるとでも思っているのか?
公務員に満足な給与を払えない途上国の行政や司法がどうなっているのかよく勉強してみろよ。

別に公務員じゃないし、どっちでもいいなんて言っている奴は泣きを見るだろうよ。
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深遠な戦略でしょうか (NS(現国家公務員))
2011-05-22 23:56:33
公務員の話題ってなんでこんなに盛り上がるんでしょう?(笑)
可能なら、城さんには厚労省か人事院の幹部として2,3年働いて欲しいです。

>一応、日本は自由主義経済なので、世の中のすべてのものは市場価格で決まっている。
電力やマスコミの賃金も?
雇用規制に守られた大企業のフリーライダーや、そのツケを払う人たちの賃金も?
規制(電波とか雇用とか)があるところは、市場価格にはならないんじゃないですか?
規制がないところでさえ、規制で守られた人らのあおりで市場価格が歪められてるのでは?

要は、公務員の賃金を下げまくることで、逆説的に流動化の突破口にしようってことでしょう?
公務員は民間と違って労働基本法に守られてないですから、突破口にはぴったりかもしれません。
城さんのいつも言うような改革は日本が破綻するまで無理じゃないかと思ってましたが、こういう手もあるんですね。
そうか!今政府が人件費10%カットと言ってるのは、将来のあるべき姿を描き、戦略的にやろうとしてるのですね!

こんな↓戦略かな?
昇給カット
↓
新卒採用カット
↓
給料10%カット←今ココ
↓
給料50%カット、定期昇給廃止
↓
人材流出が加速
↓
空洞化により、中途採用がメインに
↓
年功序列・終身雇用廃止
↓
人材の適材適所達成!
↓
政府の「隗より始めよ」作戦により、流動化が民間大手にも波及。雇用規制撤廃。
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