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【医者が患者をだますとき】私は告白する。”あなたたちの苦しみの原因をつくったのは、この私なのだ・・”

2012-07-29 20:21:24 | æœªåˆ†é¡ž

【医者が患者をだますとき】私は告白する。

”あなたたちの苦しみの原因をつくったのは、この私なのだ・・”

医者が患者をだますとき [単行本]

ロバート・S. メンデルソン

 

はじめに 私は告白する

 私は現代医学を信じない。私は現代医学に異をとなえる異端者である。私がこの本を書いたのは、世の中の人々に現代医学の呪縛から解き放たれてほしいと思うからである。

 とはいえ、私も初めから現代医学を信じていなかったわけではない。それどころか、かつては熱烈な信者だった。

 医学生だったころ、DES(ジエチルスチルベストロール)という合成女性ホルモン剤の研究がさかんに行われていた。現代医学を信じていた私は、この薬になんの疑いも抱かなかった。ところが20年後、妊娠中にこの薬を投与された女性が生んだ子供たちに、膣がんや生殖器の異常が多発したのである。これは当時の私は、夢にも思わなかったことだった。

 研究医だったころ、未熟児に対する酸素療法が最新の医療設備を誇る大病院で行われていた。しかし、この治療を受けた未熟児の約9割に弱視や失明などの重度の視力障害(未熟児網膜症)が起こっていた。そのことは知っていたが、治療法に原因があることを見抜く努力を怠っていた。一方、医療水準が劣ると言われていた近くの病院では、この病気の発病率は1割を下回っていた。発症率になぜこれほどの差があるのか教授たちに聞いたところ、こんな答えが返ってきた。

「あの程度の水準の病院では正しい診断法がわかっていないから、症例を見落としてしまうのだ。」

 私はその言葉を信じた。

 未熟児網膜症が高濃度酸素の投与で引きおこされることがわかったのは、それから1、2年後のことだった。経済的に豊かな病院は、最新式の高価なプラスチック製保育器を置いていたから、酸素は漏れずに器内に充満して未熟児を失明させてしまった。だが、「あの程度の水準の病院」で使われていたのは旧式の保育器だった。すきまだらけのフタがついた浴槽のようなしろもので、酸素はかなり漏れていたが、これが結果的に未熟児を失明から救っていたのである。

 こんなことがあっても、私は現代医学を信じ続けた。

 その後、私はある研究グループに加わって科学論文を作成した。

テーマは未熟児の呼吸器病にテラマイシンという抗生物質を使うことについてだった。論文の中で私たちは「この薬には副作用がない」と主張した。当然だろう。副作用が現れる前に論文を書いてしまえば、どんな薬でも「副作用がない」と言い切ることができる。

 実をいうと、その後の研究で、テラマイシンをはじめすべての抗生物質は、未熟児の呼吸器感染症にはあまり効果がないこと、そればかりかテラマイシンを含むテトラサイクリン系抗生物質によって数千人の子供たちの歯が黄緑色に変色し、骨にテトラサイクリンの沈着物ができてしまうことが確認されている。

 それでも、私は現代医療を信じ続けた。

 私は扁桃腺、胸線、リンパ節の治療に放射線療法が効果があると信じていた。この治療法について、教授たちは「放射線の照射が危険なのは言うまでもないが、治療に使う程度の線量ならまったく無害だ」と断言するので、私はその言葉を信じたのである。ところが「まったく無害」な線量でも10年から20年後には甲状腺線種を引き起こしうることがその後の研究で判明した。


 現代医学がまいてきた無数の不幸の種を刈り取る時期が到来した。

私がようやくそれに気づいたとき、かつて自分が放射線で治療した患者たちの顔が思い浮かんだ。

あの人たちの何人かが首にしこりを患って、いつか再び私の元に戻ってくるのではないか。その思いが私をさいなんだ。

 なぜ戻ってくるのか。あなたたちの苦しみの原因をつくったのは、この私なのだ・・・・・・。

 私はもう現代医学を信じない。

  

医者が患者をだますとき [単行本]

ロバート・S. メンデルソン

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