原発問題

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フクイチ周辺地域 鳥の個体数が減少、減り方はチェルノブイリよりひどいことが研究で判明

2012-02-07 12:30:01 | æœªåˆ†é¡ž

【英文記事和訳】英インディペンデント紙「フクイチ周辺地域で放射能の影響により鳥の個体数が減少、減り方はチェルノブイリよりひどいことが研究で判明」

金吾さんに記事の存在を教えていただき(いつもありがとうございます<(_ _)>)、英インディペンデント紙の記事(原文はこちら)の和訳をつくってみました。訳文をウルトラマンさんにも送ったところ、東大の森敏教授のブログやNHKのニュースと絡めて記事を書いてくれましたので、よろしければそちらのポストもぜひご覧ください。

こちらでは、記事の和訳文のみ掲載いたします。鳥の個体数の減り方がフクイチ周辺のほうがひどい、という記述が気になります。

「福島第一原発周辺で鳥の数が減少」
2012年2月3日 東京
記事:デヴィッド・マクニール

破壊された日本の福島第一原発の周辺地域で調査をしている研究者チームによると、周辺では鳥の個体数が減り始めている。これから地域の生物に放射性降下物の影響が出てくることを告げる恐ろしい前触れかもしれない。

今回の研究は、過去25年間で世界最大の核危機の影響を調べた大規模な研究としては初めてのものである。日本、アメリカ、デンマークの研究者からなるチームは、同じようなメルトダウンを起こしたウクライナのチェルノブイリと福島の両方に共通する14種類の鳥を調べ、個体数への影響は日本の被災地のほうがひどいことを示した。

来週『エンヴァイロンメンタル・ポルーション(環境汚染)』誌に掲載予定のこの研究は、「3月から7月の主要な繁殖期間中に放射能が鳥に即座に悪影響を与えた」ことを示唆している。

研究論文の著者のうち2人は、チェルノブイリ原発周辺に広がる2,850㎡の汚染地域内で長年研究を続けてきた。チェルノブイリは1基の原子炉をもつ原発で、1986年に爆発してヨーロッパの広い範囲にセシウム、ストロンチウム、プロトニウムなどの放射性の毒物をまき散らした。事故から四半世紀たった今、その周辺地域にはほとんど人が住んでいない。

ティモシー・ムソーとAnders Pape Mollerは、自分たちの研究によって鳥の個体群に深刻な悪影響が生じていることが明らかになったと語る。その悪影響には、寿命の低下、雄の生殖能力の低下、通常より脳が小さい鳥の誕生なども含まれる。

多くの種で、DNA突然変異率の「大幅な」上昇、発達異常、および絶滅が見られるとともに、昆虫の寿命も著しく低下していると2人は付け加える。

(デンマーク人と思しき研究者の名前は、カナ読みに自信がなかったので原文ママとしました。)

ただ、いかんせん「近々発表される論文の予告編」的な記事であるため、調査の手法や時期などが不明で、疑問点は多々あります。チェルノブイリの「いつ」の時期と福島の「今」を比べたのか。数か月(?)の調査でDNAの突然変異率とか寿命の低下というのがわかるものなのか(もっと何世代も追わないとわからないものじゃないんでしょうか、mさん?と名指ししてみる)。もしかして最後の2段落は、福島ではなくチェルノブイリでの研究を指しているんじゃないかという気もします(原文はその点がいまひとつ不明確です)。

詳しく知りたくば、近々発表される論文をちゃんと読め、ってことですね。



【追記】

と、ここまで書いたあとで、ウルトラ英語ブログのコメント欄を見たら、もう少し詳しい情報が載ったサイトを教えてくださっている方がいました。こちらのページです。
冒頭の部分を訳します。

2011年7月、Andersとティムが日本の福島へ

福島第一原子力発電所の事故と、その結果生じた広範囲にわたる福島県の放射能汚染を受けて、Anders Pape Mollerとティム・ムソーは2011年7月に福島県に赴き、立教大学、東京大学、長崎大学、および福島大学からの共同研究者たちとともに福島第一原発事故による放射性降下物の初期の影響を調査した。

県の広域にわたって、汚染レベルは研究チームの予想より高く、多くの地域で毎時10マイクロシーベルト以上を記録した。毎時100マイクロシーベルトを超える「ホットスポット」もいくつか見つかった。また、汚染のひどい地域(福島市や郡山市など)の多くは、放射線量が毎時1マイクロシーベルトを超えていた(年間約9ミリシーベルト)。これは、チェルノブイリで20年間被曝した鳥や昆虫に悪影響が生じることが確認されているレベルである。

第1回目の調査結果は近々『エンヴァイロンメンタル・ポルーション』誌に掲載される予定だが、発見のうち主なものを以下に記す。

どうやら昨年の7月(のみ?)に調査したようですね。この「主な発見」については、リンク先のページに日本語訳がありますのでご覧ください。この調査に加わった日本人研究者の名前(ローマ字ですが)も記されています。でも、個体数が減っている、以上のことは書かれていないようですし、どのように減っているかもはっきり示されていません。

いずれにしても、上のインディペンデントの記事にある少なくとも最後の2段落については、やはりチェルノブイリにおける長年にわたる調査の結果を述べたものではないか、というのがわたしの個人的な印象です。「福島の鳥がもう絶滅しているのか! 鳥に奇形が生まれているのか!」とかって慌てないでくださいね。

結局、詳しくは正式な論文の発表を待ったほうがよさそうです。

転載元:http://torajiyama.blog.fc2.com/blog-entry-375.html


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